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シンプルを極める

最寄駅から徒歩20分。
さびれた(失敬)商店街の奥に、
その店はある。
それっぽい看板もないので、
初訪問の人は分からずに通り過ぎる
ことも多いらしい。

食べログの百名店にも選ばれている
煮干し醤油ラーメンの人気店、
北区豊島にある「中華そば屋 伊藤」
が目的地である。

日曜日、開店時間の11時丁度に
たどり着いた。
おおよその勘で、距離を見てから
徒歩にかかる時間を割り出し、
お腹を空かせるべく40分ほど歩いて
の到着だったのだが、うまいこと
ピッタリに到着。

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お店の中は、カウンターに6名、
小カウンターに2名、テーブルに4名
程度入れる感じ。
到着時には、前に3人いただけで、
私が4人目の客。

メニューがとてもシンプル。

そば    600円
肉そば   750円
 大盛り  150円

たったこれだけ。
選ぶ手間が省ける。
折角なので肉そばを頼む。

なんでこんな辺鄙なところにやって
来たかと言えば、以前の同僚に
今ハマっているラーメンはどこかと
聞いた際、この伊藤を真っ先に挙げて
くれたのがずーっと気になっていた
からである。
聞いたのはかれこれもう6年以上前だが、
場所的に何かしら他の用事もないと
行きづらい。
今回、昨日紹介したイベントに参加
がてら、スケジュールをうまいこと
調整できたので、いよいよ初のご対面
とあいなった。

聞いたときから、食べログの点数は
高かったとは思うが、いつの間にか
3.8を超える高得点。
そして百名店にも4年連続で選出。
ということで、時間をかけてわざわざ
訪れる価値もあろうというもの。

5分程度の待ち時間だったろうか。
お姉さんがどんぶりを持ってきた。
肉そば、である。
いよいよ、である。

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メニューもシンプルだが、
実物もシンプル。

麺とネギとチャーシューが、
煮干しの香りを漂わせるスープと
共に、真っ白などんぶりの中に
収まっている。

実力がなければ、こういう
一皿は出せないのではないか。
潔さと共に、自信というか、矜持を
感じる、と言うと大げさだろうか。


まずスープを口に含んでみる。
あぁぁ、煮干しである。
あごだしが最近好きだったが、
やっぱり煮干しも旨い。
それにしても、しょっぱ過ぎず、
クセが強すぎず、丁度良い塩梅の
煮干し加減。

続いて麺へ。
私自身、小麦の香りがどうのこうの
というコメントができるほど優れた
味覚は持ち合わせていない。
ではあるが、この麺が大変に美味い
ことだけは保証する。
噛み応え、のどごし、香り、
ファンになる人が多くいるのは
当然だろう。

肉そばの「肉」は、豚バラ肉の
チャーシューと思われる。
程よい味付けで、脇役に徹する
感じがよい。
妙に醤油の味付けが濃い店が
あるが、麺との相性を考えれば
あまり濃い味付けはいただけない。
その点、さすがの配慮なのだろう。

量はやや少なめ、女性には丁度良い
サイズかもしれない。
あっという間に食べ終わり、
少々名残惜しい。
それ位がいいのだろう、
また来たくなるから。

タイトルに書いた通り、
「シンプルを極める」
とこんなラーメンに行き着くよ、
という一つの解だと思う。
ラーメンに絶対欠かせない要素、
麺とスープを徹底的に磨き上げ、
絶対の自信を持ってお客様に
供している。

人通りの多いところ、繁華街、
駅の近く、ショッピングモールの
そば、、、
他人の力でお客様が勝手に集まって
くるところでの商売ではなく、
完全に自分の力量次第で繁盛するか
否かが決まる立地。

そんな場所で勝負するためには、
日々自分の商品を磨き続け、
お客様の期待値を超え続けなければ
ならない
はずである。
それを実践している店なのだと
いうことを感じながら店を後にした。
ご馳走様でした。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。