ドミナント出店戦略
月に1回主催しているマーケティングの
セミナー、昨日が8月度の期日だった。
テーマは「Place」。
いわゆるマーケティングの4Pの中でも
最も地味な要素。
しかしながら、「縁の下の力持ち」と
でも言おうか、なかなか重要であるし、
学ぶべきところの多いところだ。
「Place」は直訳すると「場所」。
全てを「P」の頭文字に揃えたために、
少々無理やり感があるのは否めない。
通常は、「Channel」「チャネル」と
呼ぶことが多い。
訳すと「流通経路」である。
マーケティングを行う上で、商品を
作ったり、値段を決めたり、販促を
打ったり、というのはとても重要。
そして、その商品がお客様の手元に
着実に届くこと、これもまた大変に
重要な要素だ。
届いて初めて、お客様は商品から
ベネフィット(便益)を得ることが
できるわけで、その
「ちゃんと届ける」
という機能を誰がどのように果たすと
最も望ましいかを考える必要がある
というわけ。
「チャネル」と一口に言っても、
色々な切り口でお話ができるわけだ
が、昨日は流通業の業態について、
様々な種類があることと、その特徴
についてザーッと一通りなめるよう
に説明をさせてもらった。
その中に、コンビニエンスストアと
いうチャネルも含まれていたが、
そのコンビニチャネルの雄、セブン
イレブンが採用している
「ドミナント出店戦略」
について少々紹介しよう。
新聞や雑誌などのメディアで何度も
取り上げられているので、知って
いらっしゃる方も多いかもしれない。
ドミナント出店とは、あるエリア
一帯に集中して店舗を出店する
戦略のことである。
「ドミナント」とは、「支配的な」、
「優位に立つ」といった意味。
同じ地域内に、雨後の筍のように
沢山出店することで、他のチェーン
に対して圧倒的な数の優位に立つ。
そんなことをすると、同じチェーン
同士でカニバリ(食い合い、足の
引っ張り合い)が起きるのでは?と
心配になるところだが、この戦略を
遂行する裏には、実はとても多くの
メリットがあるのである。
一つには、配送効率を高めることが
できる。
コンビニ店舗には、一日に2回も3回も、
トラックが納品のためにやってくる。
一店一店が遠く離れていると、その分
トラック輸送の効率が落ちるが、
ドミナント出店をしていると、店舗
同士が近いので、輸送の手間が格段に
減り、その分コスト競争力の点で優位
となるのだ。
二つ目に、認知率や好意度の向上が
見込めることが挙げられる。
同じ地域に沢山あれば、当然その地域
の人たちは頻繁にその名前を見ること
になるわけで、認知の向上という点で
メリットがある。
そして、何度も目に触れていると、
人というのは不思議とそれを好きになる
ものなのである。
知らない人よりも知っている顔の方が
安心するという心理を、きっと誰もが
経験しているものと思うが、それと
同じだ。
認知向上のためにTVCMなどの施策を
打つにしても、ドミナントで出店して
いるエリアのみ出稿することで費用を
節約できるのもメリットだったりする。
三つ目に、同じ地域である程度の店舗
数がまとまると、その地域専用の工場
をあてがうことができるようになり、
他チェーンなどから差別化された商品
を開発することが可能になるのだと
いう。
この三つ目は、私も今回受講者の方
から教えていただいたことで、なる
ほど!と思ったポイントである。
製造から販売への流れを、地域密着で
やることができれば、輸送効率だけで
なく地域色を前面に出したユニークな
商品での差別化というメリットが
付いてくるのだ。
というようなことを私がレクチャー
しつつ、いくつかお題を出して各自
発表してもらう時間も設け、飽きが
来ないよう双方向でのセミナーを
実施している。
第1期全6回が来月8日に終了するが、
第2期を現在企画中で、間もなく募集を
開始する予定。
を発表する。
1人でも多くの人に、マーケティング
は面白いな、仕事の役に立つな、と
思っていただけるように努めたいと
考えている。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。