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ブリーダーという職種

桜の花がピークを過ぎつつある。
日当たりの悪い場所にある桜の木
だと、丁度見ごろだったりするが、
概ね葉桜になり始めている木が
多い。

春なので、桜に限らず、
色とりどりの花々が咲き誇る。
川沿いを走っていたら、
菜の花が一面咲いているのに遭遇
したり、ほかにも目を楽しませて
くれる花がそこかしこにあって、
ありがたい。

鶴見川水系の川沿いには、
「はまなし」
と呼ばれる、横浜産の梨を植えた
畑がところどころ広がっており、
丁度その花が見ごろを迎えていた。
白くてかわいらしい花が咲き、
これから人工授粉されるのを
待っている。
ネット越しにしか見られないのが
玉にきず、ではあるものの、梨畑
がいくつか連なっていると、
なかなかの壮観である。

梨というと思い出すのが、
私の母の実家。
今も、叔父と叔母が二人三脚、
梨農家として現役で美味しい梨を
作っている。
その梨をめぐる品種改良の物語を
大変な取材力と、読ませる文章力で
新書に仕上げ、読む者の知的好奇心を
大いに掻き立ててくれた本がある。
竹下 大学 著
『日本の品種はすごい
 うまい植物をめぐる物語』
である。

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昨年12月にこの本が出版された折、
こちらのnoteは始めていなかった
ので、Facebookの方で紹介を
させてもらった。
梨の花を見て、再びこの本のことを
思い出したのと、
最近 J-Waveで岡田准一さんが
パーソナリティを務める番組

竹下さんがゲスト出演されたことも
あって、再度ご紹介したいなと
思い立った。  

彼は、「ブリーダー」を自称する。
この名前を聞くと、私などは
「ペディグリーチャム」を
真っ先に思い浮かべてしまう。
覚えていらっしゃるだろうか、
「トップブリーダーが推奨する、
ペディグリーチャム」
というCMが昔は大量に投下されて
いたのを。

オンライン辞書で、ブリーダーの
元になる動詞の意味を見てみると、

【breed】産む、かえす、養育する、
(…に)仕込む、(…に)育てる、育てる、
(…を)繁殖させる、飼育する、作り出す、
改良する

とある。

犬や猫などの動物のブリーダーは、
「飼育する人」
「繁殖させる人」
という感じの意味合いとなろう。

これに対して、竹下さんの場合は
植物のブリーダー。
上の意味から抽出すれば、
「作り出す人」
「改良する人」
という位置付けなのである。

つまり、植物のブリーダーというのは
品種改良などを通じて、新しい植物
を作り出すという職種。

竹下さんに出会うまでは、そんな
職種があることは薄々としか知らず、
ましてやそれが「ブリーダー」と
呼ばれていることも全く知らなかった。

しかし、冒頭に挙げた梨は勿論のこと、
本書に挙げられている植物、
ジャガイモやダイコン、カブ、リンゴ、
ダイズ、ワサビといった植物たちは、
人間にとって美味しくなるように、
あるいは収量が上がるように、
長きにわたって品種改良の努力が
続けられてきている。
その背景には、様々な物語があり、
とてもドラマチックな逸話も多く、
読み手を飽きさせることがない。

本書で取り上げきれなかった植物も
当然ながら同様の努力が続けられて
おり、いずれも「名もなき」
ブリーダーたちが日夜努力と研究を
重ねているのだという。
私たちが美味しい野菜や果物を
口にすることができるのは、彼ら
ブリーダーのお陰に負うところが
大きいのだ。

今日もブリーダーの皆さんに、
そして自然に感謝しながら、
美味しく食事をいただくことと
しよう。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。