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クラフトビールはストーリーと共に味わう

写真にあるのは、FAR YEAST BREWING
いう、山梨は小菅村に本社工場を構える
クラフトビールの醸造元

「FAR EAST」というのは「極東」、
欧米で使われる世界地図では日本が最も
東に位置しているところから来る呼び名。
その「EAST」の代わりに、
「YEAST」即ち「酵母」をあてがった

なかなか乙なネーミング。
海外輸出を最初から意識しているの
であろう。

このサイトを見てもらうと分かる通り、
とても洒落ていてセンスが良い。

「源流醸造所」と名前が付いているが、
多摩川の源流域となる小菅村にある
ことが名前の由来。
澄んだ水、寒冷な気候といった、
ビール醸造に最適な条件が揃っている
ということで、ここに醸造所を作り、
本社機能も移転したとのこと。

富士登山で訪れた富士吉田にて、
「源流ホワイト」を味わう機会を得た。
これが、ベルギービールを思わせる
本格的な味でありながら、
とてもフルーティーで華やか。
特に女性に人気が出そうな、
素晴らしい味わいだった。

普通のビールに比べると、
お値段は2~3倍はする。
それでも人を惹きつけるのは、
優れた味わいに加えて、
クラフトビールの持つ世界観だったり、
ストーリーだったりする。

「よなよなエール」で有名な
ヤッホーブルーイングが成功したのも、
ストーリー重視のマーケティング
功を奏している。

「水曜日のネコ」
「インドの青鬼」
「僕ビール君ビール」

ネーミングを聞いただけで
「えっ、何それ?」
と興味を惹かれる。
そして、そのネーミングの背後にある
ストーリーをお客様にアピールし、
トライアルにつなげる。

クラフトビールは独特のクセを持つ
商品が多い。
ストーリーを理解した上で買ってくれる
お客様は、そのクセを気に入ってくれる
可能性が高く、更にその先の「ファン化」
につながることも多そうだ。

富士吉田で見かけた、もう一つ面白い
クラフトビールも紹介しておこう。
Bright Blue Brewingという名前の
小さな醸造所である。

ここは何と、毎週土日のみの営業
女性のブルワー(造り手)が担っているのだが、
平日はフルタイムの仕事をしながら、
副業のような、趣味のような感じで
醸造所経営をしているというのだ。

詳しくはこの日本ビアジャーナリスト協会
のホームページにある取材記事を読んで
いただきたい。
なかなかにパワフルな女性である。

こういう「ストーリー」があるが故、
なのだろう。
こんな不便なところに?!と思うような
場所に醸造所があるにもかかわらず、
車で通りがかった際には10人程のお客様
らしき人々が集っているのを確認。
購入して、家に持ち帰る人もあれば、
その場で楽しんでいく人もいる様子だ。

このマイクロブルワリーは、
非常に挑戦的な商品も手掛けている。
同じ富士吉田市にある井出醸造店の
酒粕を副原料にした、
「富士北麓 吟醸酒粕IPA」
というのがそれ。

このビール、見た目はまるでシャンパン。
750mLで2,500円という強気の価格設定
限定500本というから、父の日などの
ギフト需要狙いだったのかもしれない。

ちなみに、IPAというのは
「India Pale Ale」の略称で、
ホップの苦みが効いた、
上面発酵タイプのビールである。

いずれにしても、付加価値を高めた
新世代クラフトビールの動きとして
興味深い。

ただ酔うために飲むのではない。
その背後にあるストーリーを含めて
味わうことで、
豊かな気持ちでひと時を過ごす。

そんな提案が、消費者の気持ちを
動かすのである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。