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サイゼリヤの1円値上げの後日談

丁度3週間ほど前、東洋経済オンラインに
載ったサイゼリヤの1円値上げをネタに
書かせてもらった。

価格の末尾を「8」「9」にした方が、
心理的に安く感じる。
その傾向を踏まえて、サイゼリヤでは
メニュー価格を299円、399円、499円
といった具合に展開してきた。
それを、今回のコロナ禍に際して、
お釣りのやり取りを減らす目的で
「1円値上げ」し、300円、400円、500円
といった具合に切りのいい数字に揃えた
という話だ。

件の記事では、サイゼリヤが感染防止を
主眼に置いて、お釣りのやり取りを
減らすのが趣旨であるように書かれて
いたが、私自身はレジの効率化、時間
短縮に伴うメリットや意義も相当ある
のではないかと考えていた。
丁度今日、その後日談とも言える
記事が上がっていた。

直近の業績が、コロナ禍の影響で厳しい
ということに触れつつ、「1円値上げ」の
成果に関して社長自らがインタビューに
答えている。

価格改定の効果は思った以上にあって、
面白いし、びっくりしている。

というコメントから始まるこの記事では、
その効果として4つほどポイントを
挙げている。

1.コインの受け渡しが6~8割減!
これは元々意図した目的であり、狙った
通りに減らすことができたそうだ。

2.会計にかかる総時間が30%減!
これも、コインの受け渡し減により、
ある程度は見込まれていた効果だろう
が、最初の記事を読む限りではあまり
強く意識はされていなかったのかも
しれない。
というのも、この30%減には、次の
3が関わっているからだ。

3.個別会計が25%減少!
これは、2名以上の会計時に、ひとり
ずつ払う組数がかなり減ったという
意味合いだ。
切りのいい金額になったことで、
グループ内で先にお金の受け渡しを
しやすくなり、レジでまとめて払って
くれる「親切なお客様」が増えたの
である。
サイゼリヤの側もこれはほぼ予想して
いなかったようで、嬉しい誤算だ。

4.客単価増加!
更に嬉しい誤算がもう一つ。
これまで700円台前半だった客単価、
今回の「1円値上げ」で下がることも
覚悟していたフシがあるが、下がる
どころか上がったのだ。
これには、「1,000円ガチャ」という
サイゼリヤのオーダー合計額が
1,000円ピッタリの組み合わせを
ランダム表示するというサイトが
Twitterでバズった影響もありそうだ
とのこと。


スーパーやドラッグストアなどで
今もチラシなどに使われ続けている
末尾「8」「9」作戦は、早晩行き
詰まるのだろうか。
それとも、サイゼリヤの今回の
「1円値上げ」成功を受けて、
「ピッタリ価格」作戦を取るところ
が勢いを得るのか。

サイゼリヤは未だにほとんどの店で
キャッシュレス決済ができない。
そのため、今回の「ピッタリ価格」
作戦がはまりやすい土壌があったと
言える。
キャッシュレス決済が根付いている
他の店舗においては、お釣りのやり
取りも避けられるし、やはり「8」
「9」が持つ「魔力」を無視する
訳にはいかず、まだまだこの作戦の
有効性は保たれるのではないか、
私自身の見立てはそんなところだ。

創業者の正垣さんの本も面白い。
タイトルは、マーケティングの本質を
見事に言い当てていると言っても
よさそうだ。
お客様が正しいのだ、ということを
自社のフィールドに引き寄せて、
端的に分かりやすくコピー化している
ところが実に興味深いのである。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。