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ピン留めの惑星|全アーカイブ

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いつのまにか失くしてしまった“たいせつなもの”たちが辿り着くどこかの星のだれかの物語―。  ◉《大島智衣の読みもの》と《つきはなこの漫画》との週替り交代+おまけ付きでお送りするシ… もっと読む
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#マンガ

可憐

(*本編は最後まで無料でお読みいただけます) 「ねぇ中澤さん、友達にならない?」 そう後ろの席の中田さんから言われたのは、高校に入学したての春だった。 澄んだ清らかな声だった。 友達というのは、そんな風にしてなるものだったろうか? すこし違和感をおぼえたけれど、私は中田さんと友達になってみたくなった。 見るからに可憐で、育ちの良さそうな中田さんと、じぶんが合うとは思えなかったけれど、憧れがまさった。 * 中田さんの後ろの席には、中田さんが私立の中学から一緒で仲の良

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リンコとアスミ(ネーム)

今、新しい漫画について考えていて、やっと1話描いてみました。今度担当さんに見ていただこうと思っているネーム(設計図)です。今後打ち合わせしていい作品に育てていきたい漫画です。ピン留めの惑星マガジン購読者限定で公開します。感想などコメントいただけるとうれしいです。

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うたた寝

(*本編は最後まで無料でお読みいただけます) 隣のデスクでうたた寝を始めてしまった小田島さんを起こさないように、分厚いASKULのページをそっとめくった。寝息がここまで聞こえてくる。 ひとが本当に寝入ったかどうかは、だいたいは呼気でわかる。 「すう」と深めに吸ったあと、「すっ」と息が勢いよく吐き出されると、そのひとは眠りに落ちている。 私はそれを、こんな風に隣で居眠りをする小田島さんの寝息で知った。 今日もオフィスは午前中から人が出払っていて、この空間には小田島さんと私

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乙女の生きざま(リメイク)ー途中経過2ー

こんばんは。つきはなこです。前回に引き続き「乙女の生きざま」のリメイクについてのお話です。おまけは大島智衣さんのお花見エッセイ『春、逸る』です。最後までお楽しみください。

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口実

(*本編は最後まで無料でお読みいただけます) ○映画館のレイトショー/夜 割と混んでいる上映中の映画館の場内。 客席の最前列、いちばん端っこの二席に並んで座り、スクリーンを見上げている男女。 ふたりの頬がスクリーンに反射した光で明るくなったり暗くなったり。 ひじ掛けに置かれた男の手を見る女からの視線。 女の手は膝の上のバッグをかたく抱きしめている。 ○刀削麺屋/同日夜 中国語が飛び交う刀削麺屋のカウンターで麺をすする男女。 男 うまいね。 女 そうここ、うまいん

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乙女の生きざま(リメイク)ー途中経過ー

今回は見せられるお話がなくてすみません。。 タイトル通り、以前描いた「乙女の生きざま」を印刷に耐えるデータに描き直しています。おおっぴらに話すのが照れるので、こちらの記事orマガジン購入者限定で途中経過をお見せしていこうと思います。 (もちろん、大島さんのおまけ付き☆)

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受粉

*本編すべて無料でお読みいただけます 村上くんに彼女がいることを知ったのは、ふたりとも早番上がりで「軽く飲んでく?」と寄った先のバルのカウンターで、どの動画配信サービスを契約しているかをお互いに言い合っていたときで、村上くんが「僕はアマゾンプライムと、Huluと……あとNetflix。や、Netflixは彼女のか」と言ったそのときだった。 なんだ彼女いるのか。 口には出さなかったけど、それに、全くそこには食いついたりしないでスルーしたし、なんにも気にしていないフリをした

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あなたの視線(後編2ー最終話ー)

前回のお話はこちら ーfinー ・゚・。。 ・おまけ付録。。・゚・。・゚ 全4回に渡ったつきさんの作品『あなたの視線』……回を重ねるごとに、物語への愛着って増すものですね。最終話を迎えるのが惜しかった読者のうちの一人、大島です。こんばんは。 今回のおまけは、そんな『あなたの視線』の印象的だったフレーズを、いつまでも心に留めておくべく、そして読まれた方々とその想いを分かち合うべく、思うままに感想を綴っていきたいと思います。 よければあとで、あなたの感想も聞かせてくださ

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「1112324493」

*本文すべて無料で読めます 藤野君がなんでウチに来たのかはおぼえていない。 なんでだか藤野君は、大学を卒業したあとも住みつづけた早稲田の私の部屋を訪れてひと晩だけ泊まっていった。しかも風邪を引いて具合が悪いとかで、来て早々にひとの布団で寝込んだ。 だから、私が記憶しているウチに来た藤野君の姿は、私が敷いた布団にすっかりとくるまって、掛け布団を乱すことなく綺麗にじっと寝込んでいる姿だった。 なんだったのか。 藤野君についてはわからないことが多い。 私はたしか、あの頃藤

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あなたの視線(後編1)

前編はこちら 中編はこちら -続く- 。・゚・。。 ・購読特典。。・゚・。・゚ こんばんは。春が小刻みに「春っていいでしょ?」と姿を見せては寒の戻りを繰り返すもどかしい天気がつづきますね。春って小悪魔……♡ そして気づけば、もうすぐバレンタイン! 今回のおまけは、「こんなバレンタインだったら♡」なシチュエーションを大島が積極的に妄想してみましたので、どうぞご一読くださいませ。 (もちろん、つきさんにも訊いてみましたよ♡)

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17時16分。

夕方の5時を過ぎて、あと15分でようやく退勤時間だ。 今日も定時でしごとは終わりそう。 労働というゆるい拘束からほっと解き放たれることはうれしいけれど、替わりに別の思いが押し寄せてくる。 今日もこのあと、なんの予定もない。 誰かと会う約束も、行きたいところも、買いたいモノも。 ひとつずつに思いをめぐらせて確かめてゆくけれど、どれも思い当たらない。 このまま家に帰ったとしても、なにをしよう。 Netflixでイッキ見したいようなドラマも最近見つけられていない。 17時1

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あなたの視線(中編)

前編はこちらから ー続くー 。・゚・。。 ・購読特典。。・゚・。・゚ こんばんは。寒い冬には編み目が荒めのセーターを着た大好きな人の、コートとの間に永遠にはさまっていたい大島智衣です。冬も本格的な寒さになってきましたね。 今回のおまけは、「大好きな人を目の前にしたときの胸アツな思い出」として、大島が大ファンである作家・穂村弘さんに読書会でお会いしたときのイタイ……いや、アツイ思い出レポ・エッセイをどうぞ! 巻末にはつきはなこさんの胸アツ☆エピソードもご用意してございま

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strawberry candy

信号待ちをしていると となりの親子連れの小さな女の子が 「青にな〜あれ! 青にな〜あれ!」 と 赤信号に向かってしきりに大きな声でさけんでいた 「こうやってると 青になるんだよ」 彼女は得意げに 嬉しそうに 母親にそう教えてあげていた そうなのか 赤信号はそうやって 青信号に変わるものだったのか──── 小さな女の子は その〈魔法の呪文〉を 懸命に 願いを込めて 唱え続けていた 私は 青になってほしく なかった 願えば届くなら ずっと赤信号のままでいて

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あなたの視線(前編)

-続く- 。・゚・。。 ・購読特典。。・゚・。・゚ 新しい年となり、十日余りが経ちました。 今日、東京では初雪が降ったそうですね。 これからまた益々冬濃くなってゆくなかで、心はまだまだ“新年”気分に浸っていたい大島です。 ということで、今回のおまけは、この時節ならではの「初詣デートの思い出」について、わたくし大島とつきさんとの思い出を比較しながら(笑)綴ってみたいと思います。 *** というか、我が家には「初詣」の習慣がなかった。 母がクリスチャンだったからだ

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