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ピン留めの惑星|全アーカイブ

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いつのまにか失くしてしまった“たいせつなもの”たちが辿り着くどこかの星のだれかの物語―。  ◉《大島智衣の読みもの》と《つきはなこの漫画》との週替り交代+おまけ付きでお送りするシ… もっと読む
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2019年1月の記事一覧

あなたの視線(中編)

前編はこちらから ー続くー 。・゚・。。 ・購読特典。。・゚・。・゚ こんばんは。寒い冬には編み目が荒めのセーターを着た大好きな人の、コートとの間に永遠にはさまっていたい大島智衣です。冬も本格的な寒さになってきましたね。 今回のおまけは、「大好きな人を目の前にしたときの胸アツな思い出」として、大島が大ファンである作家・穂村弘さんに読書会でお会いしたときのイタイ……いや、アツイ思い出レポ・エッセイをどうぞ! 巻末にはつきはなこさんの胸アツ☆エピソードもご用意してございま

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strawberry candy

信号待ちをしていると となりの親子連れの小さな女の子が 「青にな〜あれ! 青にな〜あれ!」 と 赤信号に向かってしきりに大きな声でさけんでいた 「こうやってると 青になるんだよ」 彼女は得意げに 嬉しそうに 母親にそう教えてあげていた そうなのか 赤信号はそうやって 青信号に変わるものだったのか──── 小さな女の子は その〈魔法の呪文〉を 懸命に 願いを込めて 唱え続けていた 私は 青になってほしく なかった 願えば届くなら ずっと赤信号のままでいて

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あなたの視線(前編)

-続く- 。・゚・。。 ・購読特典。。・゚・。・゚ 新しい年となり、十日余りが経ちました。 今日、東京では初雪が降ったそうですね。 これからまた益々冬濃くなってゆくなかで、心はまだまだ“新年”気分に浸っていたい大島です。 ということで、今回のおまけは、この時節ならではの「初詣デートの思い出」について、わたくし大島とつきさんとの思い出を比較しながら(笑)綴ってみたいと思います。 *** というか、我が家には「初詣」の習慣がなかった。 母がクリスチャンだったからだ

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わたしたちの「篠宮くん」

篠宮くんが私の目の前に現れたとき───正確にいうと、私に対面するために7メートルほど向こうから近づいてきた彼が私の視界の端に入ってきたとき、私は咄嗟にそれまで「残りの人生もうどうでもいいや、見えてれば」と自暴自棄に掛けていたブルーライトカットの不穏な色付きメガネをばさりと放り捨てた。 そして、「はじめまして」と挨拶を交わした。にこやかに。感じ良く。 あのとき、私は裸眼で彼の顔はぼやけて全く見えていなかったのだけれど、私にはわかった。 パソコンやスマートフォンから発され眼

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