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ピン留めの惑星|全アーカイブ

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いつのまにか失くしてしまった“たいせつなもの”たちが辿り着くどこかの星のだれかの物語―。  ◉《大島智衣の読みもの》と《つきはなこの漫画》との週替り交代+おまけ付きでお送りするシ… もっと読む
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2018年11月の記事一覧

悪魔沸く

ーfinー ・。。・゚・。。 購読特典・。。・゚・。。 今回の特典は、恋する乙女を悪魔に変えるヒドい過去の恋愛体験をつづった大島智衣の“半分懺悔”エッセイをどうぞ。 魔女をつくる男たち/文・大島智衣 ある男の子をめぐって三角関係になったことがある。

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私が触わっていい人

週末だけ手伝いに行く小さなワインバルのオーナーの三上さんには、もうずっと長いこと付き合っているカノジョさんがいる。 結婚はまだだけど、三上さんの左手の薬指にはいつも指輪が光っていて。日ごとどんなに彼に惹かれようとも、見えないバリアで私は決して三上さんには近づけない。今以上には1ミリも。 だけど───ぬか床をかき混ぜるときにだけ、彼は指輪を外す。 そのとき、そのあいだくらいは、三上さんとの恋を想像するくらいは許されるんじゃ、ないかな? ……そう思って、さりげなく彼を眺め

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隣の車両

-fin- ・。。・゚・。。 購読特典・。。・゚・。。 今回の特典は、本編への大島智衣によるアンサーエッセイのようなものを。 かつて、バンドマン男子に恋をした女子の切実な迷走劇をふり返りながら。

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彼が席を立った隙にリップを塗りなおした。恋をしている。

「ひさしぶりに仕事でこっちに来てるんだけど、終わったらメシでもどうでしょう」 彼からのメッセージが届いたスマホの画面を思わずスクショしたくなる。 「どうでしょう」って、行きたいです。 半年前に仕事の現場で一緒になったとき、好感ばかりが募った彼とのメシだ。返信をしながら、心に決めた。 今日は新しいリップを買おう。 ポケットに入れて持ち歩いているリップというのは、たいていいつの間にかどこかに失くしてしまう。ハンカチを取り出すときなんかに、ふいに落としてしまっているのかも

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