チュニジア１(先史時代など)

世界各国史まとめ、今回はチュニジア共和国の先史時代などについて書いていきます。

カプサ文化

マグリブと呼ばれる北アフリカ北西部にはベルベル人の祖先であるカプサ文化の人々が住んでいた。エルメクタ遺跡を標準遺跡とする晩期旧石器時代の文化で、石器、貝殻、骨が混在した貝塚からなる遺跡が多い。

カタツムリの貝殻が目を引くが、大型獣の骨は少なく狩猟は為されなかったようである。

やがてサハラは砂漠化し、サハラ砂漠に分断された人々はマグリブ地域に住むベルベル人として残ってゆく。ベルベル人についてはモロッコの記事で書く予定。

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フェニキア

フェニキアは独立した複数の都市国家からなる古代文明で、現在のシリア、レバノン、イスラエル北部にかけて地中海沿岸に存在していた。優れた航海技術を持った彼らは海上貿易を中心に勢力を広げてゆく。

フェニキアは海上貿易と製造業の中心として繁栄し、造船、ガラス工芸、染料の生産、贅沢品や日用品の洗練された技術で高く評価された。

アルファベットの起源はフェニキアにあり、フェニキア人カドモスによってギリシアに導入される。他にもギリシア神話に出てくる多くの神々がフェニキアから輸入されたと考えられている。

フェニキア由来の工芸品はエジプトやイギリスからも出土しており、フェニキアの高級品が取引先の各文化から極めて高く評価されていた事が窺える。

アッシリア帝国(西アジア)の圧迫から逃れたと思われるフェニキア人がチュニジアに辿り着き、ウティカの街を作ってこの地に根付いてゆく。

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ディードーの伝説

フェニキアの都市国家ティロスの国王の娘ディードー(幼名エリッサ)は叔父で神官のシュカイオスと結ばれ巫女として神に仕えていた。父の死後、彼女の兄と仲良く国を統治するよう遺言されたが、兄は王位の独占と叔父の財産目当てにシュカイオスを暗殺し、ディードーの命をも狙った。そこで彼女は全てを捨てて少数の家臣達と共に航海に出たのである。

キプロスの女神に捧げられる筈だった娘達を保護しつつ地中海を彷徨い続けた一行は、現在のチュニジア――カルタゴの地に辿り着く。彼女はベルベルの王に土地の分与を求めるが、王は牡牛の皮一枚分だけなら分け与えると答えた。そこで彼女は牡牛の皮を薄く切り裂き、長いヒモにしてヴュルサの丘を囲いその地を得たといわれる。

ディードーには二つの伝説が残されている。一つは当時のベルベル王にその才覚と才能を見初められ求婚されたが、亡き夫への愛を貫く彼女は自ら火の中に飛び込み自殺したというもの。

もう一つはトロイア戦争に敗れたトロイアの英雄アイネイアースとその身内が流浪の末カルタゴに漂着、ディードーは彼らを歓迎した。二人はアイネイアースの母ウェヌス(ヴィーナス)の策略もあり恋仲となるが、トロイア再興のための神託が下されたアイネイアースはイタリア半島へ向かってしまう。捨てられた彼女は絶望し、火の中へ飛び込んで自殺したというもの。ちなみにアイネイアースの物語はその後のローマ建国に繋がる。

ともあれ、後に地中海の女王と呼ばれる都市国家カルタゴはこうして建国された。

−つづく−

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カルタゴは私の大好きなハンニバル・バルカを生んだ国なので名前を聞いただけでワクワクします。まあ後に共和政ローマによって完膚なきまでに破壊されるのですが、それはまだまだ先の話。

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参考サイトなど

『チュニジア旅行専門店 - 現地旅行代理店 TRAVELSUN』
https://travelsun.jp/?page_id=4569

『広辞苑無料検索 日本大百科 −カプサ文化−』
https://sakura-paris.org/dict/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E7%99%BE%E7%A7%91/content/12919_1492

『世界史百科辞典 −フェニキア−』https://www.worldhistory.org/trans/ja/1-183/

『アクアマリン オフィシャルウェブサイト −チュニジア旅行記 カルタゴ−』https://aqumari.com/journey/aqumari/15/15_01.html

『チュニジア：ポエニ・ローマ遺跡調査(2009年11月13日～20日) 小方 登(京都大学名誉教授)』http://kyotohumanities.jp/ogata/tunisia2009/index.html

『Wikipedia −History of early Tunisia−』https://en.m.wikipedia.org/wiki/History_of_early_Tunisia

『Wikipedia −ディードー−』https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BC