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アフターコロナの世界経済 ~世界に生まれた3つの断層とは?~

コロナ禍が始まった当初は、その影響で世界経済は大きく落ちこみました。それがたったの2か月ほどで急回復し、今は不自然なほどの好況に湧いています。この先はいったいどうなるのでしょうか。

英エコノミスト誌では、世界経済には3つの断層ができたと分析しています。

1つめの断層は、ワクチン接種が進んでいる国と、進んでいない国との間の分断です。

「だが、ワクチンの1回目の接種を受けたのは世界で4人に1人だけで、2回目の接種を完了したのは8人に1人だけだ。」
"But only one in four people around the world has had a first dose of vaccine and only one in eight is fully protexted. "(英エコノミスト 2021年7月10日号 "Fault lines in the world economy"より。以下引用同じ。)

2つ目の断層は、需要と供給のアンバランスです。コロナ禍に対する政府支援が実施されてからは、好況によるインフレや、多くの労働者が支援金をもらっての自宅待機を余儀なくされた影響もあって、マイクロチップの供給不足、輸送費の高騰、サービス部門の人手不足、住宅価格や家賃の上昇といった現象が起きています。

3つ目の断層は、緊急支援金などの景気刺激策をやめた後の経済がどうなるか、つまり現在の好況は持続可能なのか、ということです。緊急融資の返済期限が来たとき、企業や店舗は返済できるほどに経営回復しているでしょうか? また、政府が経済に大きく介入したことで、資本主義の健全性が損なわれた一面もあります。

アメリカでは、政府が巨額の支援金を投入したことでインフレ率が高まり、経済が過熱気味になっていますが、ワクチン供給が不足し、コロナウイルスの新しい波に襲われ続けている低~中所得国では、経済成長がかなり遅れることが予想されます。

「2021年は、ワクチンが絶対的に不足している最も貧しい国々では、経済成長のスピードが富裕国よりも遅くなると予測されているが、そのような事態はこの四半世紀でこれまでにまだ2回しか起きていないことだ。」
"In 2021 the poorest countries, which are desperately short of vaccines, are forecast to grow more slowly than rich countries for only the third time in 25 years."

アメリカや日本のように経済が成熟しきった国では、当然成長のスピードが遅くなりますが、これからどんどん成長していくはずの途上国の経済がストップするというのは異例の事態です。

アフターコロナは「3つの断層」に気を配りながら、経済の安定化を図っていかなければならないとエコノミスト誌は述べています。途上国にワクチンを供給し、労働力を呼び戻し、経済支援という形の政府介入を時機を見て引き上げていくこと、これらがカギとなりそうです。

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