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EU離脱でバラバラになりつつあるイギリス連合王国

"The bonds that hold the United Kingdom together are fraying. The government needs to try to mend tem"
「イギリス連合王国を結ぶ絆はほぐれつつある。政府は修復する努力をするべきだ」
~英エコノミスト 2021年4月17日号 "Future of the union: The United Kingdom"より。(以下、引用部分はこの記事からのものです)~

イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国で構成されています(北アイルランドの南にあるアイルランド共和国は、連合とは別の国です)。

"Boris Johnson, the prime minister, has done it carelessly, by putting party above country and espousing a hard Brexit."
「ボリス・ジョンソン首相は、軽率にも国よりも党派性を優先して、ハードブレグジットを強行している。」

「ハードブレグジット」は、無関税貿易などのメリットを残す「ソフトブレグジット」と違って、EUの単一市場から完全に決別する離脱方法です。

”If the Scots, Northern Irish or even the Welsh choose to go their own way, they should be allowed to do so—but only once it is clearly their settled will."
「もしスコットランド、北アイルランド、あるいはウェールズまでもが連合から離れる道を選択するというなら、それは可能かもしれないが、それらの国々の意思が固まってからの話であることは明白だ。」

スコットランドと北アイルランドはEU残留を決めているので、イギリスから独立するべきという世論が高まりつつあります。

"No doubt its constituent parts would embrace similar values, but when independent England or Scotland piped up in defence of Hong Kong, they would be easily ignored—especially if they lost their permanent seat on the UN Security Council."
「イギリス連合を構成する国々が同様の(民主主義的な)価値観を持っていることは間違いないが、イングランドやスコットランドが独立した国として香港の自由を守れと声をあげても、国連安全保障理事会の常任理事国の席を失ってしまえば、その声は簡単に無視されてしまうだろう。」

もしスコットランドが独立したら、イギリスは国連の常任理事国の地位を失う可能性があることが指摘されています。

"Mr Johnson was elected prime minister to “get Brexit done”. In carrying that out, he has endangered his country's integrity."
「ジョンソン首相は「ブレグジットを実現する」と公約して首相に選ばれた。それを実行に移す中で、氏は自国の統一性を危機にさらしている。」

ジョンソン首相がこのままハードブレグジット強硬路線を進めればイギリスの分断は避けられず、世界の安定と平和がまた一歩遠のくことになりかねません。今後の動向が気になります。

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