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コロナ禍は地球温暖化対策の好機となるか?

パンデミックによる経済活動停止のおかげで空や海がきれいになった、という話が聞かれますね。でも、コロナ禍が落ち着いて経済活動が再開されたら、元に戻ってしまいそうな気がします。これからの気候変動対策は、どうしたらいいのでしょうか。

経済活動停止でCO2排出が大幅に削減されたと言っても、まだまだパリ協定の削減目標には程遠いようです。

「せっかく人々が生活様式の大きな変化に耐えても、その厳しい試練で明らかになったのは、パリ協定で定められた、産業革命前と比較して1.5℃の気温上昇のみにとどめるという目標を軌道に乗せるには、必要な脱炭素化(温室効果ガスの排出削減)がまだ90%超も残されているという事実だ。
"Even if people endure huge changes in how they lead their lives, this sad experiment has shown, the world would still have more than 90% of the necessary decarbonisation left to do to get on track for the Paris agreement’s most ambitious goal, of a climate only 1.5°C warmer than it was before the Industrial Revolution." (英エコノミスト 2020年5月21日号
Seize the momentより。以下引用同じ)

これだけ飛行機や工場が止まっても、そんなもんなんですね……。

しかし、そのおかげで今原油価格は下落しています。

「エネルギー価格がどん底にまで落ち込んでいることで、化石燃料に対する補助金をカットし、炭素税を導入しやすくなっている。」
"Rock-bottom energy prices make it easier to cut subsidies for fossil fuels and to introduce a tax on carbon.  " 

ガス、石油などの従来エネルギーに対してはどこの国でも政府が補助金を出していて、それで私たち消費者は生活に欠かせない電気を比較的安い料金で使える、という仕組みになっていますが、ここまで原油価格が下がれば補助金は要らないはず。そのお金をクリーンエネルギー開発に充てるべきですよね。

そして、今こそ炭素税などの「カーボン・プライシング」を積極的に導入すべきだとエコノミスト誌は述べています。要するに、CO2排出に対して課金しちゃうよーってことです。課金すれば、それが企業にとっても消費者にとっても最大の動機づけになり、CO2排出削減がどんどんはかどるはず、というのはいかにもエコノミストらしい意見ですが、今は再生可能エネルギーにかかるコストが以前よりは下がってきており、化石燃料に対して補助金カットや課金をすれば、再生可能エネルギーとのコストバランスがとれるはず、という合理的な意見でもあります。

また、covid-19禍に対する各国の経済刺激策によって、環境が悪化しないように注意する必要があります。

「アメリカでは、パンデミックの間は環境関連の規則をさらに緩めている。重工業に力を入れて、国際金融危機以降の世界のCO2排出量を押し上げている中国は、いまだに石炭による火力発電所の新規建設を続けている。」
"America has been relaxing its environmental rules further during the pandemic. China—whose stimulus for heavy industry sent global emissions soaring after the global financial crisis—continues to build new coal plants."

これでは元のもくあみ。コロナによるピンチを環境改善のチャンスに変えられるように、世界が協調する必要がありそうですね。各国政府が再生可能エネルギーにもっとお金をかけて、転換を急ぐことが急務だと思われます。

もっと電気が欲しい、もっとお金が欲しい、という、この「もっともっと」をなんとかすることがCO2削減の特効薬のひとつじゃないのかな? と、個人的にはそう思っています。現代資本主義がこの「もっともっと」で回っているのだとしたら、一筋縄ではいきそうもないですけどね。

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