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子どもの読みたい本とは?

時々人から「何を子供に読ませたらいいのか」「おすすめの本は何か」と
尋ねられることがある。
色々ある。
でも一番は子供が自分で選び、読もうとしている本を否定しないでほしいということに尽きる。
学校の先生や大人たちがすすめする本=子供本人が喜んで飛びつく本であるという幻想は捨ててほしい。
私もそうであったがとかく子供とは大人から見ればくだらないと思う本を熱心に読みがちである。
ざっと思いつくだけでも「幽霊」「怪奇現象」「未解決事件」「UMA」etc……。
大人から見れば眉唾物、とるに足らないモノと感じるだろう。
自身が大人になった今ならよく分かる。
「そんな子供っぽい本ばっかり読んで!」
「そんなくだらない本ばっかり読んで!」
読みたい本に対して、大人から受けるこのセリフほど本を読みたい意欲をそぐものはない。

その上でこれまでの経験上非常に役に立ったと感じた本をいくつか紹介したい。
①『声に出して読みたい日本語』
初めて読んだのは小学校低学年頃。
様々な古典文学の冒頭部分が掲載されており、古文の翻訳、作者の簡単なプロフィール、エピソードなどが解説として添えられている。
子どもなので古文の意味を分からないままに音で楽しんでいた。
「いずれのおおんときにかにょーごこーいあまたさぶらいたまいけるなかに……」「しらざあいってきかせやしょう」
有名どころの文学作品は古典から近現代まで幅広く掲載されているので、『平家物語』『源氏物語』『方丈記』の冒頭部分は学校で習うよりも前にこの本で得たものが大きい。
②『まんが世界ふしぎ物語』
考古学入門として最適。
ツタンカーメン、トロイ、ピラミッド、ミイラ……とにかく考古学関連の基礎知識、関連人物などはこのコミックによるものが大きい。
そもそも、始まりは世界の七不思議や怪談などでミイラに触れたことから、考古学関連を知りたいと思って手に取ったのが始まりである。
一見して役に立たなさそうなオカルト系の話が飛躍に結び付いた好例と言えると思う。
③『まんが世界なぞのなぞ』
上記シリーズの後継作である。
今回は伝説に重心を置いている。
ノアの箱舟、チンギス・ハーンの伝説、ムー大陸、バベルの塔etc……。
ギリシア神話や聖書の話等も絡んでくるため、前作よりも教養の部分が大きいと感じた。
④『黒蜥蜴』(ポプラ社版)
ご存知、江戸川乱歩作。
子供向けの乱歩作品の中でも群れを抜いてダークな作品である。
これを読んだことで、作品の幅が広がった。
端的にいえば、どんな作品でもどんと来い!という気になったのである。
作者の濃密ともいえる美への執着心など、圧倒されすぎたせいか、偏見の目がずいぶんと取っ払われた。
ああ、こんな世界を美しいと表現するのもありなのか……と。
まあ、学校へと感想文を提出したら問題になりそうではあるが。

まずは自発的に「これを読んでみよう」と思った子供の意思を尊重してあげてほしい。
そこから興味関心を引いた分野を自発的に開拓していく様を見守ってあげてほしいと思うのである。

#創作大賞2023
#エッセイ部門


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