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1・7~1・9、または素晴らしきかな接客業

 1月7日(土)
 となり町で蚤の市がある。過去にも行ったことのあるもので、すべて「スタイリスト」の方々が出品者。特に潔癖なわけではなくふつうに古着屋で買い物もするが、そういう出自と予め分かっていることは、ひとつ敷居が低くなる。
で、11時スタート、しかし混雑が予想されるため9時より整理券を配布、とのこと。
9時に到着となると、ちょっと早起きだなぁと就寝前迷う。しかも雨模様かも。それで朝目が覚めると、なんとも絶妙な時刻。雨も降っていない。よし行くか! と朝の支度もきびきび。
冬のしっかり午前中からの外出チャンス到来なら、逃すのはもったいない。そうでもなければただ無為に部屋で時間を溶かしてしまう。

 ショック。9時5分くらいに着いたら、「13時からの回にお越しください」と「3番」と書かれた整理券が渡された。すんでのところで、11時からの回は規定数に達していたのだ。
約4時間、どう過ごそう、と路頭に迷う自分ではなかった。前回も同じケースだったのだ。そして前回は、見事に迷ってしまったのだ、路頭に。

 その経験を生かし、今回は本もノートもタブレットも持ってきていた。耳にはradiko。何時間であっても怖いものなしである。
駅方面に行けばカフェ的なものは潤沢にあるはず、とここからの一手一手は間違えることなく指し続け、首尾よくミスドにイン。1つのつもりがついつい2つ、とカフェオレ。
果たして約3時間半、持てあますことなくむしろ慌てるように店を出たのだった。「13時の回のご縁をもらえてよかった」、そんなふうにさえ思ったかもしれない。いつか書いた、「未来が過去をつくる」理論である。

 蚤の市では、破格のお皿など気になったが、いかにも古いヨーロピア~ンな柄の陶器のボトルを買う。一輪挿しに使うつもり。だから、一輪挿しを部屋に置くような男になるのだ、俺は。
階下のレジの前に古本棚がある。いつか読んで大変おもしろかった小説『世界の果てのビートルズ(ミカエル・ニエミ 岩本正恵訳)』があったので一緒に購入。岩本さん翻訳本はすべて大当たりなのだ。

 14時過ぎ。この日メインの予定に据えていた町へ。大好きなお店から、初売りの案内が届いていたのだ。毎年行かせてもらっているもの。
たぶん何も買わなかったのは初めてだけど、いつもの店員さん、そしてお久しぶりの社長にご挨拶できたので良かった。
夜にその店員さんからメールが来た。「店内ばたばたしていてお伺いできなくてすみませんでした」と。なんとご丁寧な(全然かまわないのに)。「こちら、おすすめだったのですが」と、その服の写真まで添付。確かに良い。しかしなぜだ、確実にすべての陳列をチェックしたはずなのに、そのときの自分は何も思わなかった。
でもまぁ、そういうもんだなぁとも思う。だから接客は奥深く、素晴らしいのだ。

 ちょっと散歩して夜になる前に帰る。母から、「来月の誕生日会、この日でいい?」とメールがくる。孫(僕の甥)と僕の誕生日が一日違いで、合同でお祝いだ、ということらしい。色々考えると本格的に感涙しそうなので、考えるのをやめる。
ラジオとYouTubeを駆使して、「あ、安部礼司」の特番をがっつり聴く、視る。かれこれ15年くらいは聞いているかもしれない。懐かしさと、「やっぱりいいなぁ」が何度も押し寄せてきて、ついにちょっと感涙。ちょっと心が弱っている。

 1月8日(日)
 昼食は、近所の商業施設の個店でやさしいラーメンとミニチャーハン。今日は近場でのんびり過ごす。
久しぶりの喫茶店で、コーヒーとロールケーキ。しかしここの店主さん、いつもちゃきちゃきと気持ちの良い仕事ぶりで、何よりお客さんのことをさりげなくよく見てくれている。メニューから顔を上げたタイミングですぐに「お伺いしますね」と溌溂と一声。簡単なことじゃないと思う。radikoで「爆笑問題の日曜サンデー」、読書。カリフラワーのパスタをつくる。色々と具材を足してみたが、やはり闇雲に入れればよいというものでもない。

 1月9日(月)
 成人の日。街へ。ちらほらと晴れ着姿が視界に咲く。厳寒とか悪天候でなくて本当に良かったね、と思う。
まず、断捨離として愛用していたものをセカンドショップに売りに行く。別の店での寂しい査定よりも嬉しい提示だったのでお願いした。免許証を見せるために財布を出したとたん、「ア」と店員さんがめちゃくちゃ人間らしい声をあげた。「私も、同じ財布使ってます」。ブランドものでもない、なかなかマニアックな財布なので話が盛り上がった。セカンドショップは数多あるが、ここに来てよかった。

 行きたかった馴染みのカレーは、「本日完売」。カレーの口を切り替えてくれるのは、天下一品しかないだろう、と。満腹。外にはまた晴れ着姿。
前日にネットで見つけた時計屋へ。やはり時計を見に行くのはおもしろい。(聞こえが悪いかもしれないが)セカンドウォッチを探して。
接客してくれた方が、とても商品知識豊富でさすがだな、と思った。時計、何度実感したか知れないが、ネットや雑誌で見るより、実物で見ると何倍もかっこよく見える。
ROTARYというイギリスの時計が妙に気になる。HAMILTONが筆頭候補にあり続けこそすれ。15日までセール価格らしい。うぅむ。


 radikoで大好きなAM番組を聞きながら、本屋。全国のコープさんを紹介するシリーズ本が平積みされていて、最高の意味で「正気か」と思った。カフェでぐだぐだになる。楽器屋でまさに必要だったギターを加湿できるアイテムを購入。
件の本になぜか掲載されていなかったコープさんで食材を買って帰宅。あぁ、冬休みの終わり。お味噌汁を作る。

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