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ちょっとレンタカー旅を思い出しただけ ~棚田と案山子~

(続きです)
 質の良い睡眠がとれたのか、年齢によるものなのか、良い感じに早く起きられた。朝食付きのプランだったので階下へ。時間がたっぷりあるので、ゆっくりとご飯をいただく。
9時半に友人とロビーで合流。車を駆って二日目の始まり。

 BGMは懐メロが調子いい。今回はthe brilliant green。好きだったのだ。聞けばたちまち小~中学校の頃に戻る。そして今聞いてもやはり良い。これから先も俺は良い鼻歌を口ずさめる、とまたひとつ強い気持ちを抱く。

 岡山県は美咲町。目指すは棚田である。運転はもっぱら友人。大変お世話になっているわけだが、厚かましいことに空腹を訴える自分。
さっきあれだけゆっくり、たっぷり朝食を食べたはずなのに、異様な空腹に襲われる。原因があるとしたら、夕べ、実はそれほど量を食べていないことか。
友人に頼んでコンビニに入ってもらう。いちばん良い肉まんを頬張る。テトリスのあれかな、というほどに完璧に良い具合にはまってくれた。
小腹をなだめるなら肉まん。岡山が教えてくれた。

 棚田への道のりは大変な山道隘路の連続だった。そういう地形条件だから田を棚状にする工夫が生まれたのだから当然といえば当然なのだが、それにしても助手席ダブルブッキンガーは冷や冷やしながらブリグリを口ずさむ。いわんや運転席をや、である。

 だからこそ、到着したときの達成感はひとしお。
【大垪和西(おおはがにし)の棚田】。平成11年に、「日本の棚田百選」に認定されたそう。その際の農林水産省作成パンフレットの表紙を飾ったらしく、「カバー棚田」でもあるのだ。
棚田の「底」には、おあつらえむきの休憩スポットがあり、そこで一服。そばには公衆トイレがあり、中はとてもきれいだった。大切に整備されていることが十二分に伝わってきた。そんなこんなをぼんやり考えていると、「今来たばかり」の風景を通じて、この町のこれまでやこれからを流れていく時間も、ふっと想像できた。とてもゆるやかな、静かな時間だった。
時期が時期なので、田んぼは土づくりの状態。当然色はなく、棚となった地形を見回しては、水を張った緑の景色を思う。

 前回の三重県「丸山千枚田」、そして今回の「大垪和西の棚田」。この一年で、うっかり2棚田を訪ねた。そして今回、農林水産省作成の「棚田めぐりMAP 棚田に恋」をGETしてしまった以上、「ライフワークにしよう」と友人と決起。「ゆるく、な」。
「この先、棚田が増えることってあるんかなぁ」とか「棚田で収穫されたお米食べたいなぁ」とか、現場に来たからこそ生まれる実感を言い言い四輪は走る。

 次なる目的地は「誕生寺」。法然上人の生誕の地なのだそう。広々とした境内。参拝者はほとんどいなく、観光寺ではないのだろう。巨大な公孫樹(いちょう)は見ごたえがあった。
色々見させてもらうと、檀家に大切にされていることがよく伝わってくるお寺であり、今日この瞬間がそうでないだけで、にぎやかな日はたいそうにぎやかなのであろうことが分かる。子どもの声がよく似合いそうな。
山陽新聞社作成の「まいられえ岡山」という神社仏閣パンフレットを頂いて辞去。

 14時ぎりぎりのランチタイムにすべりこんだ喫茶店でミックスフライ定食。小鉢がたくさんで嬉しい。
行けるね、行っとこう、ということで、「牛窓オリーブ園」に向かう。ウルトラマンのロケ地になったことがあるそうで、控えめにフィギュアが置いてあった。高台に上って瀬戸内海の小島を一望し、友人は桃饅頭を、僕はオリーブ塩を買う。

 最後の目的地は備前焼。窯を色々見られたら、と思っていたが時間が少々心もとなかったので、「備前焼伝統産業会館」に。ここでは一挙にたくさんの作品が見られるのでうってつけ。
僕は、ふだんの晩ごはんのおにぎりを載せる小ぶりな器を所望し、友人は焼酎を飲むためのタンブラーを。制限時間30分。お互い上手く良いものと出会え、僕はきれいな円形に低い縁のついた皿も購入。時刻ぴったしである。

 19時帰阪。レンタカーを返したら我々も解散。
中山律子かしらと思しきを象った立像は一体なんだったのか。

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