2022年 読書体験
2022年は63冊を読み終え、読書中なのが1冊、中断した本は1冊という読書歴になった。
今年の一番の読書活動は、大学時代の友人たちと立ち上がったオンライン読書会だ。住む場所も仕事も、興味も、全くバラバラになった4人(そもそも一緒になったことはない)がZOOMを介して2か月に一度、課題本について語り合う。なんて素敵で、魅惑的で、病みつきな会なんだろうと思う。回を重ねるごとに、幸せを噛みしめられる会になっている。会がだんだん楽しくなってきた頃に手に取った本、向井 和美氏の「読書会という幸福」は、そんな自分の波長にピッタリで、どんどん楽しみなさいと後押しをしてくれた本でもあった。「幸福になりなさい、幸福を探しなさい」と幸福を押し付ける世情だが、それでも自分で見つけた幸福は読書だし、読書会なんだなと再確認できた。読書の幸せは紅茶に浸したマドレーヌのようだ。甘くて少し苦い、そしてフニャとしてる。
もう一つ今年のダイジなイベントに、3年ぶりの開催となった神保町の古本まつりで古本の狩猟ができたことである。亜紀書房や帝国書院、化学同人は印象に残っているし、古本たちとの一期一会はかけがえがない。
今年印象に残った本は以下の5冊。
『まとまらない言葉を生きる』P.91の、”私たちが議論しなければならないのは、「障害の有無ではなく人を隔てることなく、共に生きるために何が必要か?」という点です。しかし、「障害者は生きる意味がない」という言葉に反論しようとすると、論点が「障害者が生きる意味とは何か?」に変わりかねない怖さがあるのです。”にハッとした。課題設定、問題設定次第で、思考を誘導しかねない恐ろしさを実感した。リサーチクエッションの立て方を再考しないとと思った。
久しぶりに数式を扱いたいと思い、『ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論』を読み解く。三角関係、指数関数の微分積分、ベクトルがまったくできなくなってる自分に愕然とする。でも数学と物理はめっちゃ面白い。
『測りすぎ』は名著。定性だけでも、定量だけでもだめ。バランスとることがダイジだなと思う。
1000ページ以上ある『東京の生活史』は一日一人ずる読み進めた。癒やしの時間を過ごさせてくれた。次は『大阪の生活史』らしい。
『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』の著者 東畑開人氏の文章は素晴らしい。読みだしたら止まらない。
来年も、今年以上の豊作の年になりますように。
2022年 とくに印象にのこった5冊
・まとまらない言葉を生きる 荒井裕樹 柏書房
・測りすぎ ジェリー・Z・ミュラー みすず書房
・なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない 東畑開人 文藝春秋
・東京の生活史 岸 政彦 筑摩書房
・ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論 小林晋平 森北出版