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春はぐじゅぐじゅ

ごきげんよう。
塩野義ピル子です。

4月ももう後半…早い…
私の周りでは春が苦手という意見をあまり聞かないのですが、他はどうなのでしょう。
こちらは梅雨よりも春が嫌いです。
この3週間、とても調子が悪かった。
もともと花粉症のアレルギーで春はダメなのですが、環境の変化するタイミングなのでそもそも楽しかった思い出が乏しく良い印象が無い。
落ち込むと桜が美しくても辛いので、散歩もなかなかハードルが高いという。
目に映る麗かな景色からも記憶からもチクっとヤラれてしまいます。
得意の思い出しムカツキ・思い出し傷付き。

自ら弱りに行ってどうするのか。
分かっちゃいるけど…と言うやつで、本当に疲れます。

何日かは起床できないこともあったので、またあの鬱の底に落ちていくのか…と覚悟していたのですが。
覚悟できるぐらいには元気が残ってる?と思い直し、ボチボチ大丈夫になってまいりました。


これはキツそうだ、寝込む手前だ、と判断すると、何もしない、本もTVも情報も入れない、を心掛けているのですが。
気持ちが浮上してくると本を読み始めます。
そういう時に最も多く手に取ってきたのが向田邦子のエッセイ「父の詫び状」です。
必然的に、この時期によく読む一冊となっています。

出会いは「寺内貫太郎一家」のワンシーンを懐かしドラマ特集みたいなので見た時だったと記憶しているのですが。
お茶碗の中のご飯を、他の人のお茶碗の中へヒョイっと投げ入れるのを見て、私は笑いが止まらなくなってしまったのです。
劇中は大真面目に家族の会話が続いている。
毎日囲む食卓ですから、画面には物凄い量の日常が溢れているのです。
そこへご飯を投げ入れる表現が入り込んでいるものだからもう可笑しくて。
脚本のト書きなのか、演出の指示なのか、役者さんがやり始めたのか詳細は知らないのですが。
その時に一緒に見ていた母が、向田邦子という作家のドラマはみんな面白かったで、と教えてくれたのです。

そこから沢山の小説やエッセイを読みました。
作品が面白いと、お人柄も知りたくなる。
少しでもお近付きになりたくて数々ある解説や書評にも少し触れました。
遅筆乱筆だったこと。
ずっとおひとりでいたこと。
飛行機事故でお亡くなりになったこと。
もっと知りたい!もっと読みたい!と惜しむばかりです。

「父の詫び状」の中で最も好きな一編は「海苔巻の端っこ」です。
美味しい物の話が沢山出てくるエッセイですが、好物を通してお人柄がよく現れていると思います。
特に京都の、鱧料理屋の仲居さんとの会話は読む度にシビれます。
向田さんもいい酒飲みだったんだろうなー。

いつまでも春の所為にしてぐじゅぐじゅしている訳にもいかず、いい加減に社会復帰を果たさねばならないのですが、順調に働き出せた時には向田邦子全集を手に入れたいと思っています。
本棚の一番いいところに並べる予定。

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