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そのお経、ポリフォニーにつき - 神谷町・光明寺の朝の音

音の巡礼、管理人の遠藤卓也です。
一月某日、神谷町にある光明寺でおこなわれたTemple Morning(テンプルモーニング)に参加しました。"こんな時" だからこそ、オープンエアでのお寺の場づくりは、ささやかな心の拠り所となります。
お正月にあがった墓前のお花のにぎやかさを見ても、先祖への墓参は不要不急ではないことを示しているようでした。

Temple Morningとは

Temple Morningとは、各地の寺院で行われているお寺の朝を楽しむ会。神谷町 光明寺では、朝7時半からの読経と境内のお掃除。そしておしゃべりの時間で構成される1時間となっています。終了後はそれぞれ出勤したり、登校したり、各々のセカンド・プレイスへとむかいます。
月2回の頻度で開催されていますが、この会こそが忙しない日々の中で「自分をとりもどせる時間」として、大切に感じて通っておられる方も少なくありません。

今回の参加者は10名程度。まずは換気の良い本堂で距離をとりながら参加者全員で正信偈をおとなえします。いつもは松本紹圭師がご本尊の前でお経をリードしてくれますが、今回は参加できなかったので初めて光明寺のご長女が導師(お経のリード役)をつとめられました。
気づけば男性の参加者は自分ひとり。今までの神谷町 Temple Morning では、こういうことはあまりなかったように思います。

めずらしいシチュエーションだったのでマイクを設置させてもらって、読経がスタート。女性の声ならではの高音の優しい美しさに、少しのベース音として自分の声を足していきました。堂内の音の調和をとるイメージです。

朝に声を出す気持ちよさのあとは、みんなで境内をお掃除。お正月の墓参であがったお花はいつもより少しはなやかな感じ。どんな思いでお供えしたのだろうか?と想像しながら、枯れてきたお花を抜いていきます。

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そのお経、ポリフォニーにつき

ひとしきりお掃除が終わると、本堂にあつまって感想シェアタイム。導師をつとめてくれた光明寺・石上桜子さんの感想が印象的でした。

はじめて松本さんなしでテンプル・モーニングをやってみました。
自分が前で導師としてお経をあげるというのは、ご法事など他の場面ではやったことがありますが、前にいても後ろから太い男性の声が聞こえてきて、自分の声はかき消されるような感じになります(笑)
今日は逆に、後ろにいらっしゃる方の声が全員やわらかくて、正直「ちょっと、大丈夫かな、、、」と少し不安になったのが新鮮でした。お経って、自分が後ろに座っている時は「いつも同じ」のようで、他にいらっしゃる方が違ってもあまり大きな差は感じられません。お経をとなえる集団の中に自分が加わっているだけ、という感覚です。
でも今日、前で皆さんの声を背中にうけながら読経をして「あ、お経って一回一回違うんだな」ということをはじめて思いました。それによって、緊張の高まりがすごかったですけど、、、笑
仏教でいう縁起のような「色んな要素が組み合わさって出来ているんだな」ということに気づけたありがたい経験でした。ありがとうございます。

いつもなら男性の声にかき消されてしまうはずの自分のお経が、今日は違った。その変化による心のうごきに気がつくことがあったと、素直な気持ちを話してくれました。

僕としては、女性ばかりで珍しいから自分は読経せずに黙っていようかと思ったが「あ、ベース音足りてないな」と、思わず加わってしまったことを共有しました・笑
すると桜子さんとしても、僕の声が少し支えになっていたとのこと。まさにポリフォニー。

他の参加者さんの感想では

女性のお経を生で聴くのはじめてでした。男性とちがってすごく優しい感じがして、心地よかったです。

といった声に、一同が頷きました。

桜子さんの経験としても、お寺にお参りに来られた女性から、お坊さん側に女性がいるとキーがあわせやすいと言われたことがあるそう。
浄土真宗本願寺派では女性の場合は剃髪せずとも僧侶になれるので、お坊さんの女性率が高く、これから女性の僧侶に出会う機会も多くなるのでは?と結ばれました。

Withコロナの不安な生活はまだまだ続きそうですが、"こんな時" だからこそ開放的なお寺の境内や本堂で、小さくとも生身の交流ができるといいですよね。この日の桜子さんの気付きの共有も感動的でした。いろんな人の「声」、そしてお寺をとりまくやさしい「音」を耳にすると、とても平和で安心した気持ちになります。



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