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TMR編集室月報23.01|「逃げ場がたくさんあった」

Podcast「Temple Morning Radio(略称TMR)」編集・配信を担当する遠藤卓也の、お寺や音に関する活動月報(2022年12月21日〜2023年1月20日分)

音の巡礼/TMR のこと

2023年スタート。1月は「音の巡礼」的な活動になかなか時間が割けなかった。Temple Morning Radioで配信したいくつかのお経は、2023年VerにMixしなおしたけど、音を聴いて気づくほどの変化はないかと、、、。
1月は岡山と伊豆へ出張。しかしお寺の音やお経を録音する機会はなかった。2月〜3月も各地へ行くので、マイク&レコーダーを携えて参りたい。

TMRは昨年の暮れから再配信が始まった。聴き返してみて印象的だったのが、都会のお寺育ちの石上桜子さんの「逃げ場がたくさんあった」という言葉。

お寺に育つこと。しかも様々な人の行き交う都会のお寺というのは特殊な環境だと思う。桜子さんの住まう光明寺に「お寺の音楽会 誰そ彼」でお世話になり始めたのが2003年頃。当時は "変な大人たちがまた本堂で何かやっているな"、と思われていたのかもしない(笑)周りにいた変な大人たちとの雑談が「逃げ場」として、少しは役にたっていたならば嬉しい。

幼少期に限らず、お寺という特殊な環境で生きて行くことって、そこに生まれた人も、嫁いだりして住まうことになった人も、逃げ場が欲しくなる時があると思う。
仕事柄、僧侶でも寺族でもないのにお寺という環境についてやけに詳しくなってしまった。たまに相談を受けることもある。そんな自分だからこそお寺にいる人たちにとっての "逃げ場" というか、”ひと息つける場”になるというのも役割/できることのひとつかもしれない。


お寺のこと|納骨堂にカフェがある理由

新年早々、岡山へ出張。市内にある浄土真宗本願寺派 正善寺さんにて、未来の住職塾の勉強会「分院・納骨堂建立による新しい拠点づくり」を開催した。住職塾としては久々の、対面による個別テーマの勉強会だ。

会場にさせていただいた正善寺さんは、本院が玉野市にあるが過疎化がすすんでいる地域のため、24年前に岡山市内に分院を出した。そこで建立した納骨堂がじわじわと評判を呼び、今では多くのご縁をもつ市内有数のお寺になった。
昨年、納骨堂スペースを拡張するにあたり、1階のカフェスペースをなくしたのだが、わざわざ増築をしてカフェスペースを作ったという。
正善寺の篠崎正光ご住職曰く「うちにはカフェスペースは必須」。納骨堂にお参りしたあとにコーヒーを飲みながら故人についてゆっくりと話す時間をもっていただくこと。ご法事で久々に集まった家族に、お手製のカレーを食べてもらいながらくつろいでもらうこと。その時間があるからこそ「またこの納骨堂にきたい」と思ってもらえる。だから納骨堂にはカフェスペースが必須、なのだそう。
もちろん施設の維持には光熱費も人件費もかかるが、それでも対面のコミュニケーションを重視する(それによって法事が増えればコストはまかなえる)
お参りする側も、お墓参りのあとにコーヒーが飲めるなら、カフェに行く感覚でお寺にお墓参りに行く。そんなお寺が近くにあったら、そこにしたいなって思うだろうな。

住職歴40年の篠崎ご住職が「納骨堂にカフェ」というひとつの方程式に至っていらっしゃることがとても興味深いし、なんだか嬉しい気持ちになった。

お寺には見えない正善寺の外観

音のこと|追悼 高橋幸宏さん

年末からミュージシャンたちの訃報が相次いでいる。テリー・ホールマーティン・ダフィ(ex. Primal Scream, Felt)、デヴィッド・クロスビージェフ・ベック。そして、国内では高橋幸宏さんが、、、細野晴臣さんの言葉を借りるならば、宇宙へ還っていかれた。

20代〜30代、細野さんの音楽で育ったような自分だが、その横で楽しそうにされている幸宏さんのことももちろん好きだった。Sketch Showの三作品は今でも繰り返し聴く。10年くらい前にラジオか何かで「青空」という曲を知り、そこから急に熱があがって幸宏さんのソロ作品を遡って聴き漁った頃もあった。
Beatlesを歌う幸宏さんが好きだ。YMOは後追い世代だけど「DAY TRIPPER」や「LOTUS LOVE」を聴いた時に、そうか!って何かわかったような感じがあった。ディランやプレスリーも歌っている。
それで深夜に「TECHNODON」(2020年リマスタリング盤 byまりん)聴きながらライナー読んでたら止まらなくなって、自分の好きな幸宏さんの楽曲・歌唱をあつめたspotifyプレイリストをつくってしまった。
かなり偏ったセレクトになったけど、僕なりの「あとがき」ということで、ここにシェアしたい。


酒場の巡礼

大しま(三島)

カク一(豊橋)


取材記事|地域と仏様をむすびなおす

『地域寺院』1月号巻頭コーナー「まちに聞く、まちを拓く」にて、八戸市 普賢院さんの本堂建替えプロジェクトを取材。
建替えを機に数々の仏様も修復し、この地にお寺が続いてきたルーツを掘り下げたことが、これから新本堂での活動に活かされていく。
歴史のあるお寺において、おまつりしてきた諸仏諸神の信仰を現代的に伝えることを活動の軸にされるのは、とても確かなひとつの道筋だと実感する。

普賢院 住職の品田泰峻さんはまだTMRトークには登場なさっていないが、お経は何度か配信させて頂いている。

取材記事|お寺でも活躍するコミュニティ・コーディネーター登場

『月刊住職』連載(49)は長崎県佐世保市 本願寺派 教法寺 和田智暁さんにインタビュー。
幼稚園・保育園をやっているお寺の住職やご家族の多忙さは量り知れないものがある、、、。お寺も園もどちらも疎かにしないために「雑巾を絞るように」して仕組み化をはかり、型を整えてきた和田さんの努力が垣間見える。

さらに行政の仕事で佐世保に来ていたコミュニティ・コーディネーターの石田奈津子さんに、園やお寺でも活躍してもらい県立大学の学生とのプロジェクトや、地域一体を巻き込むようなイベントを開催。コロナ禍でも「元気なお寺」として地方新聞等に取り上げられたという。

幼稚園や保育園の分野で注目されているコミュニティ・コーディネーターは、地域と人をつなぐ役割を担う。外の目線を持ったコミュニティ・コーディネーターが、お寺と地域の間に立つことで、今まで見えてなかったソーシャルキャピタルに気付き、活かす。その歯車がはまった教法寺は先端事例のひとつだ。

告知|まち寺ソー研 〜まち寺へ行こう!〜 #8 向井真人さん(東京都江東区・陽岳寺)

TMRに出ていただいたこともある「ボードゲームのお坊さん」こと、向井真人さんとのオンラインイベントを2/28に開催予定。
下町・深川にある陽岳寺では「お寺ゲーム部」やオンライン坐禅会、落語会など楽しいことをたくさんなさっていて、特に東京近郊の方には知っていただきたいお寺。ご興味ある方はぜひ!

まち寺ソー研 〜まち寺へ行こう!〜 #8 向井真人さん(東京都江東区・陽岳寺)
日時:2023/02/28(火) 19:30〜21:00
場所:オンライン
参加費:無料
参加方法:以下の「まち寺」Webサイトより申込みhttps://machitera.net/articles/event/9055


2023年1月の月報は以上です。来月もお寺への出張・取材が盛りだくさん。何か音を録ってこなければ!

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