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TMR編集室より|22.05.14 オンラインじゃない!

【TMR編集室より】ポッドキャスト「Temple Morning Radio」の編集・配信を担当する遠藤卓也がお届けする、お寺やお坊さんや仏教文化に関する副読的エッセイ

先日、名古屋で久々のオンラインではない研修の講師をつとめさせていただきました。

愛知県第一曹洞宗青年会45周年記念事業として開催された「これからのお寺をデザインする会」。全5回の研修講師のお役目を頂いて昨年から取り組んできたのです。
お声がけしてくれたのは、以前Temple Morning Radioにも登場してくれた、愛知県瀬戸市 慶昌院の伊藤祥文さん。

コロナ禍においてお坊さんたちの研修も中止やオンライン化が当たり前となる中で、5回中2回はコロナの波間を縫って現地開催できたのはラッキーでした。
オンラインの研修だとやれないことの一つ

模造紙に付箋をペタペタ貼っていく系のグループワークを久々にやりたい!

という個人的な願いもあり、最終回は後半全てをグループワークに充てました。

日本のお寺「二階建て」グループワーク

TMRリスナーにはおなじみの「日本のお寺は二階建て」という考え方があります。

松本紹圭さん考案のこのフレームワークをつかい、これからのお寺に必要と思われる取り組みを「お寺の二階(仏道)」「お寺の一階(死者供養)」「縁側(縁づくり)」の3つの分野にわけてアイデア出しするというグループワークをやってみました。

愛知県第一曹洞宗青年会のみなさん

まずグループの中で題材とするお寺を一つ決め、そのお寺の方にお寺をとりまく現状をヒアリングして付箋に書き出していきます。ポジティブなことも、ネガティブなことも。

例えば、課題(ネガティブ)としては「町の少子高齢化がすすむ」とか、強み(ポジティブ)としては「お寺の敷地が広く自然豊か」みたいな付箋がいくつも貼られていきます。

次に、貼り出した付箋を見ながら、アイデアを発想していきます。例えば「少子高齢化」という課題に対して「婚活イベントをやる」「魅力的な仏前結婚式をつくる」という案がでてきます。
これは檀家さんの数を維持していくという意味では「お寺の一階(死者供養)」の枠か、または「縁側(縁づくり)」の枠に、この付箋を貼ります。

「敷地が広く自然豊か」なら、境内に畑をつくって町の人たちにレンタルしてもらうというアイデアがでました。「縁側(縁づくり)」の枠に入りそうですね。

そんな風にグループメンバー全員の発想力を駆使して、一つのお寺のためのアイデアをどんどん出してみましょうというグループワークです。

お寺の周辺環境や固有の歴史に根ざした面白いアイデアがいくつも出てきましたが、伊藤祥文さんが各グループの模造紙を見ながら一つの傾向に気づきました。
「お寺の二階(仏道)」「お寺の一階(死者供養)」「縁側(縁づくり)」の3つの枠がある中で、「お寺の二階(仏道)」に貼られる付箋の数が特に少ないのです。

確かに、縁作りのアイデアというのは発想しやすいですし、お坊さん同士が集まれば葬儀やお墓の話はよく盛り上がります。「仏道を伝える」ことはブレインストーミングでパッとアイデアが出るようなことではないのかもしれません。
しかし伊藤さん曰く、曹洞宗には坐禅をはじめ身体的にも仏道を伝える方法が比較的多いはず。意外にも「お寺の二階(仏道)」のアイデアが発想しにくいというのは一つの気づきですね、というお話しをしました。

もちろん、「縁側(縁づくり)」のようなライトなイベントでも、お坊さんが取り組むことで仏道に通じる内容になっていくという一面もあるでしょう。逆に言うと、それがなければ企業や行政でも実施できる取り組みと変わらなくなってしまいます。
お寺だからこそできること」をたいせつに発想していくことが、「お寺の二階(仏道)」に通じていくのだと感じます。
いくつかのアイデアをかけあわせて考えてみるのも良いですね!

いつでもだれでも坐禅ができる部屋

今回、研修の会場にさせていただいた、名古屋市熱田区にある白鳥山 法持寺さんに新しくできた納骨堂には「いつでもだれでも坐禅ができる部屋」があります。

ふらり立ち寄って、静かに坐ることのできる部屋。近所にあったら最高だなと思います。ギャラリーや休憩所にもなっていて、ホッと一息つきにいける場所です。
日本のお寺「二階建て」グループワークでは、「お寺の二階(仏道)」に当てはまる取り組みです。都市部のお寺ならではの発想です。

(いつか法持寺さんにもTMRに出ていただいて、この部屋をつくった思いや、利用者の反響についてお聞きしたいですね。)

こういった新しい場所や、出張や対面での会議やイベントなど、徐々にはじまりだしている感じがあって、ワクワクしています。
また各地のお寺へ行きたい!


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