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Sound24.山崎秀典さんの「自元寺の朝課」

音がつなぐ、あたらしい巡礼の道「音の巡礼」へようこそ。
全国各地のお坊さんのお経を聞きながら、お経のこと、お坊さんのこと、お寺のことに思いを馳せ、ここから始まる旅路をお楽しみください。

山崎さんが寄せてくださった「自元寺の朝課」でお唱えされているお経についてお聞きしました。

お経のこと

曹洞宗では、朝のお経、お勤めのことを「朝課諷経(ちょうかふぎん)」略して「朝課」と呼んでいます。
朝課は、修行道場、それぞれお寺でやり方、あげるお経が違います。
自元寺における朝課の紹介ですが、そこから何か感じていただけるものがあれば幸いです。
【仏殿諷経・ぶつでんふぎん】
お経:自元寺では、奇数日には「妙法蓮華経観世音菩薩普門品・みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぼん」、偶数日には同じお経の後半、「普門品偈・ふもんぼんげ」をおよみしています。永平寺でも同様でした。仏殿諷経では、曹洞宗が大切にしている一仏両祖・いちぶつりょうそ(お釈迦様、永平寺を開かれた高祖道元禅師、總持寺を開かれた太祖瑩山禅師のお三方)と自元寺ご本尊である「無量寿阿弥陀如来」、さらには土地や仏教を護って下さる神さまに対して行います。
※仏殿とは、仏様が祀られている建物です。一般の寺院では本堂がそれにあたります。
【応供諷経・おうぐふぎん】
お経:みんな大好き!「摩訶般若波羅蜜多心経・まかはんにゃはらみったしんぎょう」をお唱えします。よく写経などでも用いられます。
お釈迦様の十六人の弟子(阿羅漢・あらかん)を中心に、それ以外全ての阿羅漢に対して回向を行います。阿羅漢とは、仏教において最高の悟りを得た、尊敬、施しを受けるのに相応しい聖者という意味で、この阿羅漢のことを別名「応供」と言います。
【祖堂諷経・そどうふぎん】
お経:「参同契・さんどうかい」を奇数日、「宝鏡三昧・ほうきょうざんまい」を偶数日におよみしています。漢詩を和文に書き下したものになります。
お釈迦さま以前、お釈迦さま、達磨大師さまを経て、道元禅師、瑩山禅師、住職の師匠にいたるまで、97名の祖師方に対して、お勤めします。
とても興味深いのは、お釈迦様がこの世に現れるまで出現した七人の仏(過去七仏)の存在です。つまりお釈迦さまはそれに気づかれ仏教を確立した貴い方がけれども、この概念は普遍的にこの世に存在していた、という考え方です。
【開山歴住諷経・かいさんれきじゅうふぎん】
1570年に開山された初代より、28世までの自元寺歴代住職への読経です。自元寺では前述した開山諷経では祖堂諷経とともにお勤めしています。
禅宗が特に歴史的系譜、師資(師匠と弟子)の関係を重んじていることもありますが、過去の方々が一人でもいなければ今がないことの稀有さに想いを馳せ、毎日歴史を振り返るように、感謝の気持ちを込めてお勤めしています。
【祠堂諷経しどうふぎん】
お経:「妙法蓮華経如来寿量品偈・じゅりょうほんげ」
長い歴史の中には、歴住以外にもお小僧さんや、補佐的役目などで関わったお坊さんがいらっしゃいます。(自元寺にもそんな方の墓所があります)
また自元寺を再興する際に多大なご尽力をされた開基(かいき・現代のスポンサーです)・馬場美濃守信房(信春)公、馬場家先祖、お寺のお檀家さんの祖先さまに対してお勤めします。亡くなって四十九日の間の方はとくに読み込みを行い、篤く供養しています。
この諷経はまだ対象の方々があるのですが、長くなってしまうので今回はこのへんで。
基本的には四つのお経をおよみしています。時間的に忙しいときは大略といって、3つのお経に短縮する日もありますが、仏教が興り、インド、中国を経て、2500年以上の長きを経ていまに至って、自元寺を護り、地域を担ってきてくださった方、皆々様が平穏であるよう祈りをこめて、ほぼ毎日、お勤めしています。

お坊さんのこと

山崎 秀典(やまざき しゅうてん)

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1984(昭和59)年自元寺生まれ、白州町育ち。大学では体育連盟卓球部に所属。中央大卒業後、大本山永平寺にて3年安居、平成22年5月、25歳で徒歩にて帰山して、まもなく先代である父が死去、翌年29世住職就任。現在東北大学にて臨床宗教師を目指し、総合病院の療養病棟を中心に実習中。温泉とみんなで呑むお酒をこよなく愛する。野球はヤクルトスワローズのファン。

特に力を入れている活動(趣味でも◯)

死について語り合ったり、学んだりするデスカフェ、将来を語り合えるちょい呑み屋や、檀信徒のみなさまから提供していただく地元の食材を使った精進調理をいただく会、森のなかで自分をみつめる森活など、坐禅会を基盤としたつながりを大切に、地域のためになる行持を展開しています。令和4年6月に落慶した庫裡を活用できるよう、日々模索しております!

みなさんに参加してほしい催し・活動などがあれば教えてください。

月例坐禅会(お粥の朝食付き)、ほぼ毎日の坐禅(要問合)、古式ヨーガ(第2,4金曜日)、茶道教室(第1、3金曜日)、森活・お寺コワーキング(毎週月曜日)など、参加者としてはもちろん、主体的に携わって下さる方々とともに、行持をおこなっています。

お寺のこと

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名称:自元寺(じげんじ)
宗派:曹洞宗(そうとうしゅう)
住所:山梨県北杜市白州町白須1364
HP:https://jigen-ji.jp

トーク@Temple Morning Radio

山崎さんのことをもっと知りたい方は、ポッドキャスト番組「Temple Morning Radio」でのトークを聴いてみてください。

山崎さんへのメッセージや質問

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