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【活動報告】オンラインイベント「ユースクリニックから考える若者の性の健康サポート」開催

ピルコンでは、7月3日18時~19時に、オンラインイベント「ユースクリニックから考える若者の性の健康サポート」を開催しました。

▼イベントページはこちらから

今回のイベントは、休校・自粛期間を境に中高生からの妊娠の不安をはじめとする性の相談が急増している今、スウェーデンのユースクリニックを例に、日本に必要な若者向けサポートを考えてみませんか?というもの。

当日は、学生、社会人、医療従事者の方を含め、約30人の方にご参加いただきました。
イベント進行は、ピルコン代表の染矢明日香に加え、金沢大学4年でピルコンフェローとしても活動する嵐柴綾(あらしばちゃん、写真右上)がメインファシリテーターを務めました。

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ユースクリニックとは?

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まずあらしばちゃんより、ユースクリニックの概要と留学時にユースクリニックに訪問した時の実体験についてお話ししました。

▼当時の報告のnoteはこちら

ユースクリニックとは、欧州などに見られる若者のための公的な医療機関です。
たとえば、スウェーデン国内には約250箇所、公的な医療機関として存在し、18~25才の若者が無料で利用することができることが特徴。スウェーデンの若者のうち9割はユースクリニックを利用したことがあり、そのうちの2割は10回以上利用したことがあるほど、スウェーデンの若者にとっては薬局や小児科くらい当たり前の存在となっています。

友人や家族関係の悩み、セックスに関する疑問、性感染症に関する相談、避妊、緊急避妊の他、たばこ、アルコールの問題、デートDVなどを幅広い悩みやテーマに対応しており、常に交代制で勤務している助産師、看護師、臨床心理士、産婦人科医に相談することができ、必要があれば、妊娠検査や避妊器具の装着の処置を受けることもできます。

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また、「ユースクリニックと日本の保健室はどう違うのか?」という観点から、その違いは大きく分けて3つあると紹介。ユースクリニックは日本の保健室と違って、
⑴教育機関からは独立した公的な医療機関であること
⑵性教育や相談受付もしつつ、その場で処置や検査を受けることができること
⑶身体の悩みや自分自身のセクシャリティ、家族やパートナーとのトラブルなど、学校生活からプライベートまで幅広く相談でき、同意がなければ親や学校には絶対に伝えないこと
が挙げられます。

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また、ユースクリニックに実際に訪問した際の感想として、日本の婦人科などの診察室と違い、若者の気持ちに寄り添った明るい雰囲気づくり、一人一人に真摯に向き合おうとするスタッフの献身的な姿勢が印象的であったことが挙げられました。加えて、教育機関とは独立しながらも、依頼があれば出張性教育を行ったり、クリニック内にミーティングルームが設けられているなど、行政機関同士が連携して若者へのサポート制度を整えている点にも言及されました。

#中高生の妊娠相談 がトレンド入りする日本の現状と課題は?

次に、これまでのスウェーデンの若者の性の健康サポートのトピックから、「日本の自粛期間中・コロナ禍の日本ではどんな問題が起きていたのか」「日本にはどんな性の健康サポートが敷かれているのか」についてお話ししました。

その日本の自粛期間中・コロナ禍の日本ではどんな問題が起きていたのかの一つとして「中高生の妊娠相談の急増」が挙げられました。ピルコンが行っているメール相談でも、月あたりの10代の性の健康についての妊娠相談件数が休校前の約2倍に増加し、LINEで妊娠相談が自動応答でできる「ピルコンにんしんカモ相談」の相談件数は月1万件を越えています。また、10代の予期せぬ妊娠の不安に関するメール相談内容の59%が成功後72時間以降と分かる相談であったことから「若者の自分の身体や性の知識の乏しさ」、「医療機関への行きづらさ、性暴力やDVに関する相談の多さ」が日本の現状として挙げられました。

そんな中、日本では上記の「ピルコンにんしんカモ相談」の他、当番医や休日診療を検索や、オンライン診療を通してアフターピルを処方する病院があることについてお話ししました。

グループディスカッションで、必要な施策について考えてみた

次に、以上の話とも通じるテーマについて、少人数でグループディスカッションを行う時間が設けられました。

ディスカッションテーマ①「日本の若者(男女)が医療機関に行きやすくするためにはどんな工夫が必要か」について、一部ですが、以下のような意見が出ました。

・保健所などの医療機関と、若者が性やセクシュアリティについて話す場所(大学のサークルや学生団体など)が連携してイベントを開催することが効果的ではないかと思った。

・個人的にできることとして、性やセクシュアリティに関するイベントなどに友達も誘うなどして性のタブー感を少しずつでも無くしていくことが大事だと感じた。

・医療機関が若者に対して価格を下げるもしくは無料にすることで、来院のハードルを下げると若者は医療機関に生きやすくなるのではと思った。

・身体に悩みを持っても何科に行けばいいのかわからないので、情報が集約していて便利にアクセスできるようなサイトがあれば良いと思った。

また、ディスカッションテーマ②
日本の若者の性の健康サポートを全国に推進するためにどんなアクションがとれるか」については、
・全国の若者に対して情報発信をするには、SNSが特に効果的だと思った。

・学生サークルや同世代が集まる場で勉強会や発信をしていく

・教職員の養成課程で「性教育」を必須化すれば、教育者の知識差もなくなるのでは?

・このコロナでオンライン化が進み認知度も上がったので、どんな機関もオンラインイベントなどを開催できるのではないか。

といった意見が挙げられました。

質疑応答の時間も、ユースクリニックに関する質問、性教育や性教育活動に対する質問、日本の性教育とヨーロッパの性教育の違いに関する質問など、参加者の方とバラエティ豊かなお話をすることができたこと、「ディスカッションの時間が足りなかった!」というお声をいただくほど、終始和やかに楽しくイベントを進めることができました。

1時間という短い時間ではありましたが、参加者が双方向な学びを得られる、実り多い1時間になったと感じています。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

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次回オンラインイベントは7/17(金)「大学生のSNSリアルと活用術」

そんな全国の学生さんも社会人も気軽に性について学べる!と大好評のピルコン主催オンラインイベントは、次回7月17日(金曜日)18:00〜開催!

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テーマは「大学生のSNSリアルと活用術
オンラインを通して人と関わる機会が多い今だからこそ、情報との関わり方やネットのサバイバル術をピルコンフェローと一緒に考えてみませんか?

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今後もピルコンでは、コンドームやボディイメージ、男子の性教育などをテーマにオンラインイベントを定期的に開催していきます!

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この記事を書いた人:フェロー 嵐柴綾(あらしばちゃん)
金沢大学経済学類4年。大学3年次のスウェーデンへの交換留学を経験。現地でリプロダクティブヘルスについて学ぶ傍ら、現地学生や政府へのヒアリング調査などのフィールドワークを経験。帰国後は、所属大学にフェミニズム団体WannaBeME(https://note.com/wannabeme_ku)を設立し、2020年5月からピルコンフェローとしても活動している。
note: https://note.com/_deep4breath

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