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【活動報告】#ピルコンルーム no.11「性教育×国際協力~世界と日本の性教育ってどうなってるの?~」

皆さんこんにちは!ピルコンフェローのみのりです。

今回のピルコンルームでは海外の性教育についてのイベントの報告をしていきたいと思います。アフリカ、カナダ、ラテンアメリカの性教育やその活動について講師の方をお招きしてお話を聞かせていただきました。

「日本の性教育の現状はある程度把握できているけど、そういえば、海外の性教育についてはあまり知らなかった」という人も多いことでしょう!ぜひ、この機会に覗いてみてくださいね!!

・タンザニアでの性教育活動(ちゃんゆなさん)


ちゃんゆな

ちゃんゆなさん
JICA青年海外協力隊として10代の妊娠が多く、また性について学ぶ機会がないことが社会問題になっているタンザニアで性教育などの学校保健活動を実施。

 タンザニアでの性教育活動については、ちゃんゆなさんにお話ししていただきました。彼女は、性のことで悲しい思いをしている人を少しでも減らしたいという想いから、性教育授業をするために海外青年協力隊の一員としてタンザニアに旅立ちました。

 アフリカには、女性を取り巻く様々な困難があります。タンザニアでは、保険の授業がない、10代の妊娠がかなり多いなど、多くの問題を抱えている現状がありました。これを踏まえ、ちゃんゆなさんは、若年妊娠予防・性感染症予防を主とした性教育活動を中学生に行うこととなりました。

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 ちゃんゆなさんは、授業を行うたびに質問シートを配っていました。その内容からは、男性優位な社会が見えたといいます。

  性教育を通して、性に関する正しい知識をもつだけではなく、自分の身を守ること、相手を傷つけないことにつながるかもしれない、そんな思いを持って彼女は活動に取り組んでいるそうです。さらに、活動を続けているなかで、自身が性教育を行い、若年妊娠を防ごうとしている姿をより多くの人に見せること自体にも、性教育としての意味があると感じるようになっていったと言います。

 また、ちゃんゆなさんは活動していく中で、宗教や習慣の違いに困難を感じていたようです。授業のなかで質問を受けたとき、文化を尊重するべきか、自分の考えを貫くべきか悩まされる場面があったと言います。

 現在、ちゃんゆなさんはコロナの影響で一時帰国中です。彼女は日本に帰国して、「性教育の現状において、日本はタンザニアとほとんど変わらない」ということ感じたことを語りました。そのうえで、「日本の性教育の質も上げていきたい」と熱い想いを話してくださいました。

・カナダでの性教育活動(たかさん)

たかさn

 たかさん
JICA青年海外協力隊としてマラウイでのエイズ対策活動、またカナダの性の健康NPOで勤務。オーストラリアの大学院で性と生殖の健康について学び、現在は日本の包括的性教育の研究をしながら、国際協力のジェンダー平等を推進する部署に勤務中。

 カナダでの性教育については、青年海外協力隊で経験を積まれた、たかさんにお話ししていただきました。

 たかさんは、青年海外協力隊での活動が終わった後、「性教育のプロになりたい」と思ったそう。さらに、長年カナダで性教育を行ってきたメグ・ヒックリングさんの性教育本に出会ったことをきっかけに、本格的な性教育を学ぶためにカナダに渡ることになりました。

 カナダでは、メグさんが以前働いていた組織のOptions for Sexual Health(Opt)で性教育の修業をすることとなりました。Optでは、Optの主催する性教育関連の研修へ参加、Optが経営するセクシャルヘルスクリニックの運営など、様々な活動に関わっていたそうです。また、メグさんの後継者であるサリマ・ヌーンさんの性教育現場も視察されたそうです。

 たかさんが活動を行っていたカナダのBC州では、幼稚園から性教育おり、また、州のカリキュラムで性教育の実施が定められていました。性教育を行う上で、保護者にもその必要性を理解してもらうための説明会が設けられており、非常に充実した性教育が行われていることが分かります。

 以下のスライドに記載の「教えるべき項目」からも、いかに幼少期の性教育がしっかりしているのかが分かります。ぜひ、以下のスライドをチェックしてみていくださいね!

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出典:『メグさんの性教育読本』メグ・ビッグリング
https://www.amazon.co.jp/メグさんの性教育読本-メグ-ヒックリング/dp/493883006X/ref=mp_s_a_1_1?dchild=1&keywords=メグさんの性教育読本&qid=1621402899&sprefix=メグさんの&sr=8-1

さらに、性教育内容からは、多様性を尊重していることが感じられます。

 そして、カナダでは広い意味での性教育体制が整っています。たかさんによると、緊急避妊薬が処方箋なしで薬局で買える、性の健康の相談場所が街にたくさんあるそうです。また、プライバシーを尊重された状態で医療を受けられるため、未成年でも安心して医療を受けられる体制が整っています。

 さて、ここまでカナダの性教育について見てきましたが、これを踏まえて日本にはどのような課題があるのでしょうか。たかさんは、「性教育体制が整っていない」「性の健康、若者向けサービスの不足」「性暴力の被害者非難がある」などを課題としてあげました。

 彼女は、「カナダを参考に日本のこういった現状をひとつひとつ改善していきたい」と語り、カナダから帰国後は性教育に関わる様々な活動を日本でも行っています。

・ラテン・ホンジュラスでの性教育活動(てっちゃん)

てっちゃん

てっちゃん
 JICA 青年海外協力隊の感染症・エイズ対策隊員として中米ホンジュラスに派遣され、若年妊婦を中心に診察する思春期クリニックでの性教育に協力。現在は国立感染症研究所に勤務。

ラテンの国での性教育については、てっちゃんにお話しいただきました。てっちゃんは、青年海外協力隊として、ホンジュラス共和国で活動を行っていました。

 ホンジュラスには、男性優位主義があり、多くの少女が性暴力の被害者となっていきたという事実があります。NGOが米国で保護した移民少女のうち、64%が性暴力の被害者であるそうです。

 てっちゃんは、現地で2年間ほど感染症やエイズ対策として、思春期クリニックの活動サポートを行っていました。青年海外協力隊の活動には、大きく分けて性教育、健康教育、環境教育の3つがあります。てっちゃんは、性教育として、イベントでの啓発、出張授業、性教育ピアエデュケーションを行いました。

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 健康教育では、待合患者への講義、健康フェア、現地人主催の健康フェアを、環境教育では、毎週日曜日のゴミ拾いを行いました。

 てっちゃんはホンジュラスでの活動を通して、保健の授業がない、性の多様性を考える機会がない、雇用が少なすぎて計画が難しいなど、現地での性に関する困難を感じたそうです。一方で、性教育に介入する組織の多さや、地域全体で子育てをする習慣など、日本にはない良さも感じられました。

―今回の講座を通して―
 世界の性教育の背景には、その国の文化が深く関わっているということを強く感じました。タンザニアやホンジュラスの例にあったように、海外で性教育を行う上で、文化を尊重することは大切であると感じました。しかし、それが、性教育において困難になっていることがあるということを知り、性教育の難しさを改めて感じました。

 カナダでは、性教育が徹底されていました。特に、保護者にも性教育についての理解を得るために説明を行っているといったところに、性教育を積極的に行っているということを感じられました。

 海外の性教育について知ったうえで、改めて日本の性教育について振り返り、良いところはぜひ取り入れていきたいですね!

この記事を書いた人:みのり
上智大学総合人間科学部社会学科4年生。大学で上京してきたことをきっかけに様々な人と接するなかで、現代社会で女性が置かれている立場に興味を持つと同時に、自身の性についての知識の乏しさに気づく。現在、性やジェンダーについての知識を深め、参加者のみんなと一緒に学び、考え、そして伝えていくために、Pilconでフェローとして活動中。毎日、授業、就活、バイトとバタバタな生活を送っている。

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