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サウナな人々 - フロ悟りは突然に

サウナ、ほの暗く汗ほとばしる空間。

今日もまたそこで、女子たちのよもやま話に花が咲き、熱風が吹き荒れる。

「あら〜久しぶりじゃない。もしかして今年に入って初めてじゃない、会うの?」

サウナの扉を開いたおばちゃんを見て、もう一人の元気はつらつおばちゃんが声をかける。

「そう久々に来たのよ。」

はつらつおばちゃんの隣に座りながら、久々おばちゃんは答えた。サウナの中の空気がぐっと動いて、再び止まる。

「どうしてたの?日曜日、忙しかった?」

ほんの少し間があった後、

「実は年末から大病してて、やっと良くなったから、今日はサウナに入りに来たのよ。」

と話しにくそうに久々さん。

「え、嘘でしょ、あなた?大丈夫なの、体?」

「本当なのよ。年末に風邪ひいたと思ったら、そのまま肺炎になっちゃって。入院してたの」

「大変だったのね。でもまた来れるようになって良かったわ。」

安心した様子のはつらつさん。久々さんが、話を続ける。

「そうね。体はだいぶ良くなったんだけど、一旦痩せた体重がまた戻ってきちゃって…。せっかく痩せたのに」

その一言に、突然、はつらつさんのボルテージがマックスになった。

「あなた!目方じゃないわよ!」

熱波が、顔面めがけて、ぶぅんと吹いた気がした。

「健康でここに来れるっていうのが、大事なのよ。そんなこと言ってちゃだめよ!また入院したいの?病気になればなるほど、体力が奪われていくんだから!目方じゃないのよ!」

久々さんは、その勢いに圧倒されてか、「そっそうよね。」ともごもごと言った。その汗は冷や汗かもしれない。


私事で大変恐縮だが、アラフォーで代謝が悪く太り易くなってきた体を気にしていた。全然痩せず、微増する体重に落ち込む日々だったが、はつらつおばちゃんの一言が脳を駆け抜ける。

目方ではないのだ。

私に言われた言葉でも何でもないのに、元気いただきました。有難うございます。


サウナでの人間関係は面白い。サウナでしか会わない間柄なのに、時に相手をとても心配したり、元気づけたり。この空間での語りはとても濃いものなのか、それとも私たち、おばちゃんは、そういう生き物なのか。

いつも有難うございます!