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マラソン大会で垣間見た世界について もどかしくてもきっと少しは進んでると信じたい

2020年になって7時間後、私は公園ですっかり登った初日の出の光に包まれていた。

近所で行われるマラソンの手伝いをするために、お布団から身体を引きずり出して何とか集合時間に間に合った。紅白を見た後ぐうたらしていた6時間くらい前の私が、朝日で浄化されて、何かいいモノになったような錯覚に陥る。 

今年も天候に恵まれてとても良いマラソン日和だ。年末にひいた風邪は治りかけているので、半日ほど外にいても大丈夫だろう。

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この元旦に開催されるマラソン大会は、今年で42回目を迎える。マラソン大会の存在は薄々気がついていたが、まさか手伝う日がくるとは思っていなかった。 正月の朝から走るとは、前世でどんな業を背負ったのかと以前は思っていた。数回、このマラソン大会に参加した後、なんだかんだと大会の手伝いをすることになった。人生はたまに不思議なことが起こる。 手伝いは今年で2回目だ。

受付で参加者に名簿を記入してもらい、ゼッケンを渡す係を今年も承った。 手伝いの説明を聞いていると、今年からスタート時間が変更になるらしい。普通に走りたい人とゆっくり走りたい人・小学生でスタート時間を15分ずらすことになった。

年々参加者が増え、去年参加者が1,000人を超えた。その時に接触事故があり、事故を無くすための改善策の一つとしてスタート時間を分けることにしたそうだ。参加費無料で開催しているマラソン大会だが、事故があれば継続できなくなるかもしれない。 以前も大会後にお汁粉を振る舞っていたそうだが、参加者の増加や毒物事件があったこともあり、今はお汁粉の配布は廃止されている。主催者の開催したいという爽やかな熱意をとても感じる。たんに毎年やってるから、今年もやりたいというだけなのかもしれないが。真実は分からない。

マラソン大会と言っても、とても簡単なもので、公園の周回コースを何周か走るというものだ。タイムの測定や優勝などは無く、健康のために走るのを楽しむ、身近に感じてもらうことを趣旨としているので、とてものんびりとした大会だと思う。

それでも楽しみにしている人々は多いらしく、色々な地域から参加者は来てくれる。 受付でスタート時間の説明をする。主催者はスタートが半々くらいに分かれればいいかなと言っていたが、一応マラソン大会だしみんな一般で走りたいんじゃないかと私は仮定していた。しかし聞いてみると色々みんなの希望があって面白い。

子供と走りたいというご家族、孫と走る祖父母、乳母車に乗った赤ちゃんと走りたいというご家族、愛犬と走りたい女性、夫婦で各々のペースで走りたい、車椅子で参加したいなどなど。 去年は「名前書いて下さいー。ゼッケンは大会後に返却して下さいー。」しか話さなかったので分からなかった。 

スタート時間ギリギリまで参加者はやってきた。今年も大盛況だ。 ひと段落ついた所で、一般の部がスタートした。見ると大学名がついたノースリ短パンユニフォームを着た人が数名、駅伝の様にすごい勢いで駆け抜けていく。その後にガチ勢、普通に走る人が続く。ガチ勢の中に鬼滅の竈門炭治郎のコスのお兄さんがいて、全集中の呼吸ですごい速さで走っていく。 

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その後にゆっくり走りたいグループのスタートがきられた。大人の膝くらいまでのちびっ子がわちゃわちゃ駆け出し、大人が追って走る。愛犬も走る、車椅子の車輪が爽快に回る。 いい感じだ。各々がそれぞれのタイミングでペースで走る。調和が取れていてとても平和だ。問題も懸念もあるかもしれないが、みんながそれぞれお互いを気をつけて走る光景に、社会が全てこうはならなくても、こういう世界観もあると分かれば、異世界転生してチートしなくても楽しいのではないかと思った。

ふと昔バンクーバーマラソンに参加した時のことを思い出した。ハーフマラソンに参加したのだが、制限時間が4時間位あり後方のランナーは結構のんびりしていた。私も早く走れる方ではないので、後方からスタートしたのだが、のんびりお話しながら歩くおばあちゃん、クロスカントリースキースタイルでストックを使って走る集団、写真を撮りながら走る人、それぞれがバンクーバーの街を楽しんでいるようだった。

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マラソン大会はつつがなく終わり、撤収に入る。給水係に市議が2名いたのだが、遅れて来て早く帰り、ろくに準備や片付けを手伝わず、参加者にちょこっとお水を配ってるだけだった。来年からは来ないでほしい気もするが、そういう人も必要な側面もあるかもしれないので、もうちょっと適当な係に任命して、準備が大変な給水係からは外した方がいい。他の係の人が重労働だ。

そんなちょっと気になることもあったが、この大会は自分がいいと思う価値観に合致していて、これからどう生きたいのかという自分への質問へのヒントになる気がした。

みんながそれぞれ生きていける社会をつくりたいなんて漠然としているし、知識もないしどうしたらいいか分からないが、自分の周りだけでも少しは実行可能なのではと思う。全部は無理だけど。

少しの余裕と気遣いと遊び心を持って行動したいと思う、2020年元旦だった。少しの人が少し変わるだけで、結構社会は変わるんじゃないのかと希望をもってしまった。柄にもなく考えていたからか、この後、風邪がぶり返したか、受付業務で胃腸炎を貰ったかで、嘔吐発熱し5日までほぼ布団で過ごすことになることをこの時の私はまだ知らなかった。


皆様もご自愛くださいませ。

いつも有難うございます!