最近の記事

長距離バスターミナルが纏う憂い

夜明け前の長距離バスターミナルには、否が応でも旅愁を感じてしまう。 眩しいくらいに明るいバス会社の看板が、ひとけの少ない暗闇のバスターミナルを照らしている。早起きして重い荷物を運んだからか、それともこれからバスに長時間乗り続けることを憂慮してだろうか、待合室でじっと出発を待つ人々の顔は、皆一様に青白く疲れている。きっと僕も彼らのうちの1人なのだろう。 バスターミナルに集う僕らは、性別も世代も違えば、パーティー構成も行き先も目的も異なる。しかし、共通しているのは、バスに乗っ

    • イスタンブール:おいしかったものと雑感

      食について 中東各国どこにでも下記のフードはありそうだけど、料理に手間がかかっているのは見た目からも想像できる。ルックスが良い。単調な味の料理は少なく、噛む度に味が変化し、奥行きというよりは水平方向への広がりを感じる。ソース文化でありまたスパイス・ハーブ文化でもある。東欧同様に土壌に恵まれているのか野菜の質も高い。簡単に作れそうな料理もある。その場合、素材が活かされているというより、素材が主張しているように感じる。食材にも国民性が表れるのだろうか?きっとそうだろう。 トル

      • 香港もいいよ。

        台湾もいいが、香港もいいぞ。 香港に存分にあって、台湾には少ないかなと感じるものの1つに、「猥雑さ」があると思う。 比べるつもりもないのだけど、あまりにも台湾旅行記が多いんで、香港ラバーの僕としては少し妬いてしまっている。。。なので、僕が感じる香港の魅力「猥雑さ」について少しだけ語ってみたくなったのだ。 香港の「猥雑さ」を僕なりに因数分解してみる。それは、金銭欲と色欲と旧と新の文化、ハイエンドとローエンドのヒエラルキー、西洋思想と中華思想、自由主義と管理主義、土着と移民

      長距離バスターミナルが纏う憂い