長距離バスターミナルが纏う憂い
夜明け前の長距離バスターミナルには、否が応でも旅愁を感じてしまう。
眩しいくらいに明るいバス会社の看板が、ひとけの少ない暗闇のバスターミナルを照らしている。早起きして重い荷物を運んだからか、それともこれからバスに長時間乗り続けることを憂慮してだろうか、待合室でじっと出発を待つ人々の顔は、皆一様に青白く疲れている。きっと僕も彼らのうちの1人なのだろう。
バスターミナルに集う僕らは、性別も世代も違えば、パーティー構成も行き先も目的も異なる。しかし、共通しているのは、バスに乗っ