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「非」北欧生活|12. フィンランド出身のぼくとサウナの関係について

フィンランドと言えばサウナ。
ここ2年の間、本当によく耳にするようになった。「サウナでととのってきた」とかね。笑
特に、自分の周りにいるような、カルチャー好き人間?(ごめんなさい、呼び方分からないけど伝われ)にはサウナ好きの人が多いように感じる。銭湯が好きな人も多くてよく話題に出てくる。でも実は、銭湯好きの街高円寺に長く住んでいたフィンランド出身のぼくは、つい最近まで10年間もサウナに入っていなかった。

家のサウナ

 日本のお家にお風呂があるように、フィンランドのお家にも当たり前のようにサウナがある。ぼくの実家には、トイレと洗面状の横にシャワーがあって、その向かいに大きさ3畳くらいのサウナがある、割と一般的な感じだった。ちょうど3〜4人くらいの家族が一緒に入れる大きさ。毎週末サウナを温めて、父親と一緒に入っていた。サウナドリンクとして父親はビール、ぼくはムーミリムという、ムーミンキャラクターのラベルがついたベリー味の炭酸をいつも飲んでいた。サウナで飲むの?と思うのかもしれないが、フィンランドではサウナでお酒などを飲むのが割りと普通だ。特に男性は、同僚やサークルなどの仲間でサウナ飲み会を開くこともよくあって、父親もホッケーチームの飲み会によく行っていたの覚えてる。サウナでお酒飲んで本当に大丈夫なのかは、ぼくもよく分からない。

外のサウナ

 フィンランド人は田舎にサマーコテージを持っている人が多く、サウナに入って湖で泳ぐのが夏休みの楽しみ。田舎のサウナは家の中ではなくて、庭や湖のそばにある小さな小屋みたいな感じ。夕方にサウナを温めると空気中に優しい木の香りが広がって、それが自分にとってのフィンランドの夏の匂い。
プールにもサウナが当たり前のようにあるので、プールが終わった後に体を温めるために入るのが一般的。家の近くのプールには温度−10度前後の水風呂もあったので、水風呂で泳いでサウナに入っての繰り返しを友達とよくしていた。今思うと、子供の頃に日本でいう「ととのう」を感じていたかもしれない。

サウナの妖精

 実は、サウナに妖精がいる。サンタの手伝いさんでよく知られているトンッテゥという妖精さんは、サウナにもいるのだ。サウナトンッテゥ(saunatonttu)はサウナを守る管理人なので、怒らせたりしたら痛い目にあう。昔はサウナの誤った使い方をした少女がトンッテゥに怒られて殺されたと言う噂もあったみたい。子供の頃は、大人からサウナトンッテゥの話をよく聞いていたので、正直少し怖かった。火事などから守ってくれるのはありがたいけど、一人で入っている時に急に裸の小人に会ってしまったら嫌だなと思っていた。

静かになる場所

 ぼくはサウナに入らなくなった大きな理由は、家からサウナがなくなったからだ。実家のサウナは気づいたら物置ばになりかけていたので、リノベーションしてサウナをバスタブに変えた。お家以外でサウナに入る場面でいうと、親戚の家、プールのサウナくらいで、特に入りたいとも思わなくなった。
日本も家のお風呂に一人でゆっくり入りたい人と銭湯文化が大好きな人がいるように、ぼくも家で一人でサウナに入りたい派なのだ。去年数年ぶりにフィンランドに帰省した時に親戚の家で一人で入ったが、めちゃくちゃ気持ちよかった。ただ、東京に帰っても街の銭湯のサウナに入ってみたいとは思えなかった。文化として非常に興味はあるが、知らない人と一緒に入ることに対して、どうしても少し苦手意識がある。フィンランド人にとってのサウナは、体と心の疲れをとり、静かになる場所。例えば、サウナにテレビが付いているなどは絶対にない。一人で静かに入ったり、仲間や家族との仲を深めるための場所がサウナ。

日本の銭湯文化みたいに、フィンランドでもバブリックサウナや少しアンダーグラウンドな、隠れ家のようなサウナが流行っているのを聞いたことがある。このような文化の共通点がすごく面白くて、研究してみたくなるが…まずはぼくにサウナに入る勇気をください。

クー🌛

今週のリアルフィンランド語 
viedä saunan taakse  ゔぃえだ さうなん たーくせ
= サウナの裏に持っていく 意味:殺す、罰を与える
昔は食料として動物を殺す時に、サウナの裏でやっていたらしい。今では喧嘩を売る時などの表現として使われている。
*こちらで紹介するフィンランド語は日常で使う方言又はスラングになりますので、いわゆる正確な書き言葉でない場合もあります。


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