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【事故物件恐い間取り】ラブ・アンブレラ・パワー【ネタバレあり感想】

怖いか怖くないか、と言われれば怖くない映画でした。
正直コメディ要素が取り入れられていることでより「わけわからん」映画になっていると思います。

けど、よく考えてみれば、割と筋の通った「わからなさ」だったりとか、あと映像にすることによって光っていた部分もあるかなと思いました。以下感想。ネタバレありです。


よくある話

松原タニシさんの本は、実際に住んだ事故物件でのお話や、タニシさんが人から聞いたお話などが収録されていて、私はとても好きなのですが、反面、「これをどうやって映画化するんかな」と思ってました。

結局単純に、

番組企画で事故物件に住むことになったお笑い芸人・山野ヤマメは、事故物件を移り住むごとに不可解な出来事に遭遇する。いい関係の女の子(梓ちゃん。霊感がある)に止められながらも振り切り、4件目に移り住んだ事故物件で、彼はとうとう、とんでもない出来事に遭遇してしまって…

って感じの話になってました。オチとしては、事故物件に居る霊(事故物件で死んだ人の集合体かな?)に憑りつかれた山野ヤマメと梓ちゃんが、前の入居者と同じように無理心中しようと思ったところに相方が入ってきてとんでも除霊で霊を追い払っておしまい、と思いきや、まだその霊はすぐそばにいるのでした…といった、「まだおるやんけ!」系オチ。

怖いかといえば全然怖くないです。昨今のホラーでありがちな、わかりやすすぎるCGで幽霊出されたりとか、SEが過剰だったりとか、そういう点は普通に最近のホラー映画でした。

ただ、最後の15分、怒涛のお笑いシーンがあるので、それで笑い転げられたら勝ちです。

逆にあれで笑えなかった人は、正直「何に金を払ったのか…」となるのではないですかね。

私はあのお笑いシーン、意味があるものだろうと解釈してますが、それは後述します。

死ぬことの恐怖

山野ヤマメが住む事故物件、今回映画では4件出てきます。

事故物件(つまり心理的瑕疵ありの物件)なので、全住居者は普通でない死に方をしているわけです。3件殺人、1件は自殺でした。

その、全入居者の殺人シーンとか、自殺するシーンが入るのですが、そのシーンに関しては映像化することで100倍怖くなってましたね。

特に2件目の「無職の息子が母親を殺害」するシーンは恐ろしかったです。

幽霊は怖くなかったですが、”人が死ぬ瞬間”は怖かったです。

んで、松原タニシさんは著書の『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)の中で、

本書を読んでよりリアルに死の恐怖を感じ、今みなさんが”生きている”ことを実感してもらえれば幸いです。

と述べられてます。映画を観て幽霊よりも生身の人間が”死ぬ”シーンに恐怖を感じたとき、私は、松原タニシさんのこの言葉を思い出してました。


最後のお笑いシーン

最後の15分くらいから、事故物件幽霊の四天王みたいなのが出てきて、そのあとでチャンピオンみたいな真っ黒の幽霊(?)が出てくるんですけど、その除霊シーンが滅茶苦茶にコメディだったんですよ。

たぶんホラー慣れしてるからコメディに見えたんじゃなくて、誰でもそう感じると思うし、作る側も「コメディ」として撮ってるんじゃないかと思うんですが、違ったらすいません。

山野ヤマメと梓ちゃんのピンチに飛び込んできたヤマメの相方(劇中では元・相方ですけど)が電話で除霊の指示を仰いでるのが不動産屋のお姉さん(江口のりこ)なの、めちゃくちゃ面白かったんですけど。

と、まあラストは怒涛の展開でして、結局「必ず最後に愛は勝つ」みたいにラブ・アンブレラ・パワーで苦難を乗り越えるわけですね。ラブ・アンブレラ・パワーが気になる人は劇場へどうぞ。嘘じゃないです。

この最後のコメディシーン、人によっては「バカにしてんのか」とか思うかもしれませんが、私は好きでした。

笑いのツボに入ったのもありますけど、これは作中で山野ヤマメが言う「笑いで人を幸せにする」というポリシーにかかってるのかな、と。

「笑うことで人の寿命は174秒伸びる。自分は人を幸せにしたい」という信念からお笑いを始めたヤマメだったんですが、事故物件に住むようになって人を怖がらせる芸風になっていって、それについて梓ちゃんとちょい喧嘩してたんですけど。

よく考えたら最後に私は大爆笑してたので、多分寿命が174秒伸びたでしょう。

そう考えると、あるべくしてあったシーンかしら、とちょい納得してます。
あと江口のりこさんがほんとによかったので。


黒い幽霊みたいなやつ

この映画で悪の親玉、というか事故物件の霊の集合体みたいに書かれてるやつ。事故物件の死神みたいな位置づけなのかはわかりませんが、正体はとくに明かされてません。

けど、松原タニシさんは著書のなかで、人と写真を撮ったとき、自分の顔だけ真っ黒に映ったことがあると語っています。そして、自分と同じように事故物件に住み、自分と同じように写真の顔が真っ黒になった人は、写真を撮って5年後に亡くなったらしいとも。

一連の顔面真っ黒おじさん(ベンゼン星人に握られた手か?ってくらい真っ黒です)は、この経験?をもとに書かれてるのかしら、と思いました。

ちなみに、2021年がタニシさんが写真を撮られて5年後にあたる年らしいです。何事もないといい。


まとめ:楽しかった

色々書きましたが、私は好きでした。もっかい映画館に観に行くか?と言われれば行かないですが、配信始まったらもう一回観ようかな、と思います。

亀梨さんが結構ちゃんと太ってたこともびっくりしたし、あと、「ファンが寄ってこなくてシュンとする亀梨さん」も観ることができます。

強いて不満をいうなら、関西弁がおかしかったことですかね。

関西人なので引っかかるとこが多くて、それだけ残念だったかな。


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