赤いドレスと白のドレス


5歳の頃、ピアノ教室で出会った女の子に出会った
名前は桃子ちゃん、
桃子ちゃんは一生懸命ピアノの練習をして、自分に嘘をつかずにどんな時でもピアノの前に向かっていた
練習をした日にはシールを貼る、そしてレッスンの時に先生に見せる、そのシールが七日間全て貼られていたら、可愛いぷくぷくシールや、水の入ったシール、キラキラシールがもらえる、それを選ぶ時間がレッスン中にある
桃子ちゃんと私は毎週火曜日、ピアノの時間が前後、幼稚園の方が終わるのが早いから桃子ちゃんが先で、その後が保育園のぴか

ぴかはその頃、毎日ピアノの練習をしていないのに、シールを貼り、先生に可愛いシールを選ばせてもらってた、
だけど桃子ちゃんはシールのためではなく、ピアノのために自分に厳しく正直だった、7日連続で5歳児がピアノに向かうなんて難しいこと、
桃子ちゃんが可愛いシールを選ぶところはあまりみたことがなくて、たまにシールが7個全て貼ってある時、とても嬉しそうにシールを選んでいた
その頃から真っ直ぐな女の子だなあとみていました。
13年前のピアノ教室での出来事。

大きくなるに連れて二人のピアノの実力はかけ離れ気づけば遠いところに桃子ちゃんはいた
同じ教室でやっていたのに、レベルアップのため別々の教室になり桃子ちゃんはコンクールのために毎日ピアノに向かってた
ぴかは遊んだ、1週間練習せずにレッスンに向かう事なんて何回もあった
きっと桃子ちゃんはぴかが友達と鬼ごっこや、3DSをしている時にピアノと闘っていたんだろうな、その日々たちが桃子ちゃんのピアノに火をつけ桃子ちゃんはいつからか誰もが認める実力のあるミニピアニストになりました
同じコンクールに出ても桃子ちゃんは一番いい賞を取って、ぴかはその下の賞、
ぴかが桃子ちゃんの上なんてことは一回もなかったけれど、小さな頃から一緒に頑張ってきたお友達だから、桃子ちゃんの最優秀賞がぴかはきっと1番に嬉しかったと思う
そんな小さな頃の思い出


そんなかんやで18歳になり、あと二週間ほどで13年間のピアノ生活が終わります、
最後の最後まで桃子ちゃんと頑張ることができてよかった、

ずーっと近くにいて、ピアノのことや、学校のこと、それぞれの話を長い時間してきた桃子ちゃんと、会うのが今日で最後でした。
4月から自分たちの夢のために離れます
いつものように最寄りで降り、駅でバイバイ
桃子ちゃんは車でぴかは歩き、
お母さんが車に乗っていたから、会釈をして帰ろうとしたら、
桃子ママが "ひいちゃん県外に行くんだってね、寂しくなるね、合格おめでとう、がんばってね!!!"   
私にエールをくれました、大きな声でがんばれ!と車の窓越しに言われた、私も大きな声で
"ありがとうございます!桃子もお疲れ様でした!"
そう返しました、桃子ちゃんと桃子ママを背に向け歩いて帰っている途中、涙があふれた
ピアノでうまくいかなかった時、小三の頃ぴかが桃子ちゃんを大きく傷つけてしまった時、大人に近づくに連れて現れた壁を越えようと必死に二人で戦い抜いたあの頃、いろんな思い出が頭に浮かんできて、気づいたら泣いていました。
今日で最後なんて寂しいなあ、、
でも、桃子ママがエールをくれた、頑張らなければ、もう無理だと簡単に帰ってはいけない、そう思えたよ、ありがとう。


桃子ちゃんは今日、もうピアノなんて全然弾いてないようと言っていた
ぴかはあの頃に比べ、出来るだけ毎日ピアノに向かっているよ、
幻想即興曲、1ヶ月で弾けそうです、
桃子ちゃんは最後に弾いた曲なんだろうか
何年経っても私の中で1番のピアニストは桃子ちゃんであり、1番桃子ちゃんのピアノが好きだよ

離れていてもピアノ音と共に繋がっていられるような気がした、今日の帰り道でした。

私たちが1番最初に出たステージで着た衣装は赤いドレスと白のドレス

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