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『ちぐはぐな身体』を読んだ
2022/2/11、読了。
「ファッションは自己表現である」という言説をよく耳にする。この言葉の意味するところをより理屈立てて知りたくなったら、本書を読むのがいいのではないか。
ヨウジヤマモトやコム・デ・ギャルソン、イッセイミヤケといった、一般に前衛的とされてきた日本人デザイナーの服を例に取り、ファッション/モード論を展開していく。服のスナップはもちろん、マグリットやベネトンの広告等、話題に登場するものは多岐にわたるが、それぞれの写真をその都度掲載してくれているためイメージを掴みやすい。
たまになんというか粘性の高い表現が使われており、おえっとなるけれども(もちろん個人差はあるだろうが)、作者が親しみやすく説明しようとしている結果なのであろうと好意的に理解しておくことにする。
モードに逆らおうとするアンチ・モードが、皮肉にもその時代のモードと化してしまうという指摘は、どこの界隈でも普遍的にみられるものだと思う。ではどのようにそれを打破していくのかということについては、これからのファッション界にとっても課題であり続けるだろう。
初版は2005年に発行されたが、2022年現在のファッションの傾向を鷲田がどうみているのかにも興味が湧いた。とはいえ、自己と時代の距離を批評的に捉えるというファッションの本質は、いつの世も変わらない。読後はもっと敏感に、丁寧に、服を着てみたくなる。
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