5/7-掌編小説 時代と共にセックス変遷

 セックスすることしか考えてない男たちと、やらなければならないことをすべて終えたのちするセックスのことを考えながら考えないようにしながら頑張る母親たちがいた時代を過ぎ、セックスすることしか考えてない男たちと、やらなければならないことをすべて終えたのちにセックスする元気などない中、すべてを頑張る母親たちがいた時代を経て、セックスすることしか考えてない男たちと、セックスすることしか考えてない男たちがやらないことをやらなければならない事実に耐えられなくなり、やらなければいけないこともやりたいことも何もやりたくなくて、セックスしたいなんて感覚を消した女たちがいた時代を超え、自分のやるべきことを自分でみつけ自分で把握し、こなし、皆で協力してやらなければならないことは力を合わせてこなし、皆で終わらせたあと、初めて、言い訳できない唯一無二の相手とセックスする人生、世界がひとつになる時代、始まってるよ。

 おれはそれやんないよ、それはおれの仕事じゃないよ、待ってるから早く終わらせてよ、はやくセックスしようよって感じの男が家族だったとして、この男に対する女はどんなだったらいいと思う?結論から言うと、こんな男を相手にしてはいけない、こんな男を甘やかしてはいけない、こんな男に耐えてはいけない、こんな男をこんな男のまま生かしておいてはいけない、眼中に入れてあげてはいけなかったんだよ。こんな男に対する女がもしも、急いでやるべきことを終わらせて男のもとへ行ってあげる女だったり、やるべきこと多すぎて終わらなくて行きたいけど行けなくて、ずっと無理してる女だったり、こんな男のためになんて頑張れないと気づき逃げ出したいけど、逃げ出すことは許されず何もやる気が起こらない重すぎる体を無理やり動かしてる女だったりするとどうなる?こんな女たちが誰かの母になっちゃってく恐怖、悲劇、残酷の連鎖を断ち切る時代が来たよってぼくは叫びたいんだよ。
 男だからとか、女だからとか、ないよ、目の前にあるやるべきことに対して、これは自分の仕事じゃない、とか、ないよ、生きることはお金じゃないんだよ、目の前にいま、やらなければならないことがあるとして、でもあなたにはそれをこなす力はなくて、誰かの力を借りなければならない時、なぜ、威張っていていいんだい?おれはたくさんお金を動かしてるとか、おれにはみんなにはできないことができるとか、その事実があったとしても、いま目の前のそれができないことには変わりないよ。あなたに何ができるのだとしても、あなたにできないこと、やれないことを誰かがやることになるのなら、そこで感謝を表せないのはおかしいよ。
 やりたいのに、あなたにそれはできないよ、あなたはそれをやってはいけないよって、身につけるべき能力を身につけさせてもらえなかった男性たちがいた。女性たちがいた。
 セックスすることしか考えてない男、ではない男性のほうが数は多いし、セックスすることしか考えてない男、ばかりじゃないってちゃんとわかってる女性のほうがたくさんいるのだけれど、セックスすることしか考えてない男と、男はみんなセックスのことしか考えてないと決めつけている女たちは声が大きく、力ずくで物事を動かそうとするから凶暴で、人の手に負えなくて、野放しになっているんだ。
 そして、ぼくが悲しいのは、この者たちの愚行やその愚かな考えではなく、ぼくらの多くがこの生き物たちの下で働いていることだ。人に上も下もないのに、人々が自ら、その頭のない哀れな生き物たちの下に入っていくことだ。一昔前はそうするよりほかなかったかもしれない、でも今は違うのになぜ続けるのか、そうすると楽だからだね、凶暴な生き物たちに敵視される前に、凶暴な生き物たちの懐にはいって仕舞えば、凶暴な生き物たちに目をつけられることがなくなるから、頭をなくし、心を捨て、自らの意志で、入っていくんだ、染まってしまえばいいのだ、体だけ働かせ、セックスして、ただ、生きながらえればいいのだ。

そんな楽な苦しみの時代は終わってるよ、次の時代来てるよ、気づかないふりができない、甘くない本当の苦しみを味わえる時代が来てるんだよ、いつまでそんな甘いものばっかりたべてるの、こどもじゃあるまい、もう騙されたふりはいいよ、ほんとに美味しいものをたべたいとは思わないのか?

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。