3/24-掌編小説 死にたいと、セックスしたいは、その源、同一

 卑しいものではなくしよう。身体を清潔に保つ権利を与えよう。身なりを綺麗にし着飾り、時には華やかに美しく自分を装飾する権利を持っている、我々は人なのだと、忘れないように、人と人と目と目を迎え合わせて言葉を交わそう、話をしよう。
 死にたいと、セックスしたいと、宇宙に馳せる想いは、これ、繋がりあるものだと思うんだよな、本来、どれも分けられない一つのものであるのに、分断すること、分けて分けて切り裂き、数を増やすことを奨励する私達は、どれか一つを専一に背負い、他を馬鹿にしたり、妬んだり、罵倒したりする、もしくはすべてをなくし、無になり、適当にセックスして適当に星を見上げて適当に死んでいく我々であったが、適当がもうないんだよ、私達は増えすぎた、奪い合うものすらなくなった、一人一人の役割を極限まで減らし、数を増やし続けた結果、増えていく体を束ねられる能力を持った人が足りたくなり遂には呑み込まれいなくなった。
 どうしようか、奪われた自分を、与えられなかった役割を、教えてもらえる日は待っていても来ないから、自分自身が思い出すしかない、本来の自分の願いを叶えなければならない我々の、この自分ってやつの役目はなんなんだ。
 ぼくの名前を呼んでくれよ、合ってない合ってないんだよ、ぼくはまだ実は年齢にすると中学を卒業したあたりの青年で、ぼくが欲しいのはきっと、そう、身体だけ、ぼくは全部を持っていた、「僕はもう何も望みはしないから」って言えるくらい全て持っていたんだよ、ぼくに必要なのはきみだけだったんだ、それ以外は何もいらない、だってそれ以外は最初から全て、誰にも奪えないかたちで持っていたんだ。

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。