いつかの離ればなれが怖くってさ

何も分からないから大丈夫と希望や夢を語るふりをして絶望を吟味するきみは、もう味なんてなくなった己の感情を遠くから悲しげに見つめ、まだ生きたいと呟いた。きみの真っ黒い心と表情が愛おしくて、届かないきみを抱きしめた。

いつかの離ればなれが怖くて堪らなくなって、きみの髪をふわっと撫でた。世間は師走で忙しなく街が動いているけれど、ぼくはきみがいなくなってしまいそうで怖くて何も手につかないよ。きみが毎年、年末に全てを終わらせたいと泣いて空を飛ぼうとしていることや周りが師走で色めきだっている雰囲気が嫌いなことだって僕は知っている。きっと周りはきみのことなんて何も知らずに片手間できみを泣き止ませているけれどぼくはきみのこと全部わかっているんだよ。きみと年を越して来年を生きたいよ、ねえ、大好きだよ、ずっと一緒にいようね。

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