きみをひかりに導きだすから

きみは夢の中で、遣うはずのない汚い言葉であの人を罵倒した。「生きててえらいわけがないけれど、ぼくが生きていてきみが生きているこの世界線は愛すべき空間だよ。」そんな言葉をぼくにかけてくれたきみが愛おしくて、いちごのシャンプーの香りがするきみの髪をふわっと撫でた。キッチンの一角で手首から血を流して嗚咽混じりの涙声を漏らすきみが切なくて切なくて、ぼくまで涙が出そうになった。きみを救う術を殺しにかかるこんな世の中が憎いけれど、絶対に僕の手できみをひかりに導き出すから、大丈夫だよ。ぼくを信じてどうか生きていてね。大好きだよ。

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