拝啓、最低なきみへ。

きみから買った愛は痛くて脆くて愚かで、どうしようもなかった。だけど本当はそんな愛が大好きで大切だった。死にたくなるほど大好きだった。尊敬していた。それは才能から容姿から、頭からつま先まで全部全部狂おしいほどの愛だった。だけどもう、きみの心を感じたいという感情もなにもかも全て失くなってしまった。もうきみに対しての感情は空っぽだけれど、ただ一つ残っているのは、今でもきみの心が知りたいという気持ちだ。今までにも何度かぼくたちの目の前に霞んだ大きな蟠りができたことがあった。きみが何をおもっているのか分からなくてもぼくにはきみに対しての信念があった。だから1gの触れたくない気持ちと共にきみの愛を繰り返し買っていた。レシートが出なくてもお釣りがかえってこなくてもそれが幸せできみのことが大切だった。ねえ、これを読んできみはなにを思っているの?こんなに優しく語りかけたくなんかないのに、何故か心と口調が追いつかない。きみのまわりの悪魔たちのことだって、心の底から大嫌いなのにそこに執着して目で追っている自分もいた。きみからの注目を浴びるためだけに悪魔に手を染めたことだってあった。だけど結局もうぼくたちは完全に終わってしまったんだよ。きみの愛を買って、レシートもお釣りもなにも帰ってこないまんまぼくたちは全ての糸が切れてしまったんだ。きみに侮られたあの瞬間、涙を飲んだ。頭が真っ白なった。屈辱的な思いをしたし、悲しかった。苦しかった。狂おしいほど大切だったあの気持ちが全て無駄だったと感じてその場で泣き叫びたい気分を必死にこらえた。もうこの文章がきみに届くこともないし、悪魔たちには理解なんてされるわけがないけれど、きみとぼくの数年間は誰よりも輝いていて最低な愛でした。 拝啓最低なきみへ。だいすきでした。さようなら。

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