父性のロールモデルがほぼ見当たらない日本
日本に生まれて暮らして42年。
私は父親と父性に触れずに過ごしてきました。
いや、実際に「父親」はいますが、家庭内で機能していないのです。仕事が終ったら飲み会、休日はパチンコ、終いには女を作り、借金まみれ。
このような人間は父親ですかね?
母は私たち子ども2人と夫っぽい人間と家族として暮らしていましたが、自分の金だと遊びにバシャバシャ使う夫っぽい人間がいるので家計のやりくりが大変。家事子育てはほぼワンオペ。弟が小学校3年生くらいになったら外に働きに出ました。
やったことを書くと母は本当に頑張ったと思いますが、私たち子どもは機能不全家庭で育ったので、立派な毒親に育てられた人間になりました。
私は大学入学と共に精神を病み、結果大学中退。
弟もうつ病になりました。
と、自己紹介みたいになりましたが、
「父親」ってこの日本にいなくないですか?
アラフォー世代の父親って恐らく多少なりとも私の父のような状態だったのではないでしょうか?
仕事中心…というか職場での男性同士のマウント合戦に夢中。
飲み会に行かなければマウント合戦の席が無くなりますし、家族サービス(この言葉の酷さよ)したところでマウントの攻撃ポイントにはなりません。マウントで積み重なったストレスは休日に発散しなければいけません。趣味が無いので自分の父親がやっていたギャンブルを模倣するしかありません。ギャンブルは依存症になり得ます。私の父はもれなくギャンブル依存症でした。海外に出張する時は現地で女を買わないとマウント合戦から取り残されます。スナックで良い顔してママと寝たらスナック内でのマウント合戦の勝者です。スナックのママとしては良い鴨です。金づるです。
そんな感じでマウント合戦に夢中になって自分の家族は蔑ろです。
だって、子どもは親がいなくても育つって聞いたし、自分も実際親がいなくても大丈夫だったし(実際は大丈夫ではない)、借金しても奴隷の妻に任せておけば何とかしてくれます。
いざとなれば消費者金融に行けばお金を借りられます。CMもたくさんやってるし大丈夫っしょwww
団塊世代、しらけ世代、新人類世代、そんなちょっと考えが浅いタイプの日本人男性は多かったのではないでしょうか?
母は離婚しません。なぜなら女手一つで育て上げることが難しい社会だからです。親にも出戻りだと思われたくありません。一人前の母親になったのだと思っていて欲しい。何より仕事始めたら3年で帰って来いと言われた約束を破ってまで結婚したのです。周りの目だって気になります。
そもそも一人で育てる自信もないし、子どもを捨てる決断もどっちもできない!!
だったらこの生活を苦しくても続けるしかありません。
夫にわかってもらうまで怒鳴りつけるしか方法がわかりません。
夫は家に帰ると怒鳴られるので深夜になって帰ってくるようになってしまいました。通帳などのお金の出入りがわかるものも巧妙に隠されていきます。
ストレスが溜まります。
しかしながら子どもを放っておくわけにはいきません!大事なかわいい子ども。しかしながら長女はなんてどんくさいのでしょう。同性だからか無性に腹が立ちます。このままだと友だちもできずに孤立してしまいそうです。勉強はできるけど、お手伝いを全くしない!部屋も汚い!女の子なのに!!
毎日怒鳴ってしまいます。人格も否定します。止まりません。
だって誰も助けてくれないのです。ストレスが溜まりまくっています。
子どもをしつけないといけないし、怒鳴っていても叩いても仕方ないでしょ?
近所の同じような境遇の女性と話してもうらやましさが募るばかりです。休日にドライブにいってずっと運転してくれる夫。男の子なのにお手伝いしてくれる子ども。楽しそうな家族。
愚痴を言っても軽く捉えられてしまいます。この身を引き裂くような苦労がよくあることだと言われてしまいます。カウンセラーなど一般的ではありません。話を誰かにしても問題が解決する糸口に繋がらないのです。
この子どもたちがいなかったら、この男から、この生活から逃げることができるのに!!!
…とまあ、こんな感じの家庭で私は育ちました。
これはまだ小学校中学年くらいまでの話ですが、私たち子どもが思春期に入るともうそれは泥沼でした。私は家に帰りたくないし、実害を与えて来る母を心から憎んでいましたし、家に寄り付かない父は死んでしまえばいいのにと思っていました。母はきっと自分ばかり犠牲になって…と思っていたことでしょう。私からしたらもっと外の人に言って大事にすれば良かったのに…と思いますけども、母はコミュ障なのでそれも無理だったと推測します。
この時代の社会の空気感がこのような毒親を生み出し、機能しない家庭をたくさん作ったことはこの記事を読んでる方は簡単に推測できることでしょう。
とにかく、男性がマウント合戦に駆り出されて父性を育てられなかったのです。団塊世代の前の世代は戦争を経験している世代です。たくさんの男性が死にました。そこで日本の父性のロールモデルも死んだんだと推測します。
日本復興と共に男と女の役割は自動的に分かれました。
父性が死んだまま、次の世代が大人になりました。
私と同世代の人たちは父親のロールモデルがありません。
夫もそうです。
父親という存在が無かったと言っています。
無言だったそうです。
しかしながら私と同世代の男性は「父親」になることを私たち女性から強要されます。家事育児がどんなに大変な事業なのか、女性も経済的な仕事をフルタイムで経験して理解したのです。こんな大変なことを一人でなんてできない!一人でこなしてしまうと母の二の舞になってしまう。私みたいな毒親に育てられた子どもになってしまう!と少なくとも私は思いました。
父親のロールモデルがいなかった男性は何もできません。
母親からも家事育児なんて教わっていません。
妻から言われてやっと気づきます。仕事で疲れているのに、その中で俺なりに「手伝って」いるのに何でこんなに責められなければならないんだ?なんてひどい女だ。そしてなんて俺はダメな人間なんだ。
親世代から受け継いだ負の連鎖を我が家はまだ断ち切れていません。
これも全ては父性が無かったから。
どうにかしないとね、日本。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?