組織パターン - 組織で発生する問題とその対処法

組織パターン を読んだ.プロジェクト (特に新規開発) を遂行するにあたって,組織で発生する問題とその対処法がパターン化されている.

今まさに会社で起こっていることが言語化されていて,腑に落ちるところが多かった.以下は印象的だったパターン.

ぐずぐずするな (4.1.3)

プロジェクトの一部に着手するのに十分な情報があれば,完璧なスケジュールができるまで作業の着手を待ってはならない.タスクによっては要件が固まりきる前に着手することができ,作業時間の確保につながる.

まず見積もりを精緻に作って,それから実装に着手する,みたいなケースが自分も多いので,はやいタイミングで手を動かし始めるということは意識していきたい.

細かいリスケをしない (4.1.9)

スケジュール遅延が発生した場合,1 度だけ大きなリスケをおこなう.細かいリスケを不定期におこなって,チームのモチベーションやスケジュールの信憑性を下げるべきではない.

自分もある PJ で,最初は 1 週単位でスケジュールを延ばすことをやっていたが,途中で 1 度大きくリスケして,そこに絶対に間に合うように調整し続けるようにすることで,割とうまくまわり始めた.

常に誰かが進捗させる (4.1.20)

チームの進捗が妨害されるようなことが度々あるなら,何が起きても,最優先の目標に向けて常に誰かが動き続けられるようにする.進捗が止まっていると,モチベーションが下がってしまう.

PJ で問題が発生すると,全員で解決を試みようとしがちだが,よしなにやるのではなく,対応する人としない人を明確に分けるようにしていきたい.

誰か 1 人を犠牲にする (4.1.22)

余計な作業がメンバー全員に積み重なると,力が蝕まれてしまうので,1 人だけを割り当てて解決してもらう.

見積もりだったり QA のバグ対応だったり,本質的ではない作業はどうしても発生してしまうものなので,その時ごとに誰か 1 人を割り当てて,他のメンバーには常に最優先の作業をやってもらうというのは考えてもいいかもしれないと思った.

顧客の代理 (4.2.7)

PJ 内に顧客の代理というロールを作り,顧客のように考えようとする人物を誰か割り当てる.そして本物の顧客のように扱う.

チームメンバーだけだとサービスへの視点が偏りがちなので,実際に引いた視点でサービスにフィードバックを与えられるロールは必要.マネージャーがこのロールを担えるのがベストなように思った.

賢い愚者 (4.2.21)

問題が簡単に公言されないのであれば,賢い愚者というロールを作り,誰も言いたがらないことを言ってもらうようにする.また,それによって罰を受けずにいられるようにする.

このようなロールがあることで,チームが健全に保たれる部分もあるように思う.なので,チームもそれを煙たがるのではなく,ありがたいと思うべきである.

成功報酬 (4.2.25)

成功したい企業は,成功へ導く振る舞いに報酬を与えなければならない.そうでなければ,そういう振る舞いが埋もれてしまい,成功を測るのが難しくなってしまう.チームと個人両方に対して様々な報酬の仕組みを確立する.

メンバーが組織に貢献できているかを客観的に測るためにも,評価制度ははやい段階から必要だと感じた.人は,報酬が与えられることをやるので,組織が価値を置くものに報酬を与える設計にすることが重要.

ロールは少なく (5.1.2)

組織の中でコミュニケーションのオーバーヘッドが高ければ,組織内のロールを見定め,ロールの数を減らす.

経験上,時間とともにロールは増える一方で,減るということはないので,意思決定をスムーズにするためにも新たなロールを作る時は,慎重になるべきである.肩書きは組織に本質的には価値を与えない.

分割統治 (5.1.6)

組織が大きくなりすぎて,コミュニケーションが非効率になってきたら,相互の関心と結び付きに従って組織を区切り,別々の組織とプロセスを形成する.

組織が大きくなりすぎるとマネジメントが難しくなるので,独立性の高いチームを切り出し,適切なサイズに保っていくことが重要だと感じている.

コンウェイの法則 (5.1.7)

組織を構造化する関心が,地理や専門知識,政治などの要因によって分断される場合,主要な組織構造をビジネスドメインの構造に合わせる.そして,組織構造がプロダクトのアーキテクチャを反映するようにする.

ビジネスドメインの構造,組織構造,システムの構造を整合させ,最適な構造を導き出すのが重要.組織の成長によって容易にずれうるので,漸進的に変化させていく必要がある.

組織はマーケットに従う (5.1.9)

あるマーケットに対して明確に責任を持つ組織がないのであれば,そのマーケットのニーズに合わせられるように,各マーケットに対応する組織を作る.

顧客のニーズ異なれば,目指すものも変わってくるので,そのニーズにスムーズに対応できるためにも,組織はマーケットごとに独立させるべきだと思った.

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