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An Ugly Truth - Inside Facebook's Battle for Domination

Facebookが抱える数多くの問題について,内部の証言をもとにその実態を暴いた本「An Ugly Truth」を読んでみました.

Facebookは,以前はハーバードの若き学生によるサクセスストーリーとして語られていましたが,現在は (特に米国では) プロダクトが抱える問題点やその管理体制に批判が高まっています.社名をMetaに変更し,ブランドイメージを刷新した理由も,こうした背景が1つにあると言われています.

本書では,そのようなプライバシーや倫理的な問題について,従業員の証言に基づき詳細に語られています.例えば以下のような問題が事例として挙げられており,大きな話題になったものも多いです.

・多くの社員が個人情報にアクセスできる状態だった.ある社員はデートの後に音信不通になった女性の現在位置を追跡して解雇された.
・ユーザの同意なしに感情操作実験がおこなわれた.約70万人が,ポジティブあるいはネガティブに偏ったコンテンツを見せられた.
・Facebookの8,700万人分のデータがCambridge Analyticaにより政治的利用されていた.
・2016年の大統領選で,ロシア政府系企業により情報操作に利用された
・トランプにより連邦議会議事堂占拠の煽動に利用された

一貫してプライバシーや倫理観よりもプロダクトのグロースを優先する企業体質であったようで,直近も内部告発者の証言が話題になっていました.

今後はメタバースに舵を切っていくと予想されますが,メタバースも設計思想を誤るとFacebook以上に問題をはらむプラットフォームになりうると思うので,プライバシーや倫理面に慎重になりながら進めてほしく思います.

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