見出し画像

ユーザの行動を変える「可視化」デザインの事例

ユーザの行動変容を促すための方法の 1 つに 可視化(見える化)があり、普段の生活では気づきにくいものをユーザに意識させるのに有効である。

多くの場合、可視化はシステム 2(論理)に訴えかける目的で使われる。例えば「業務の可視化」は、業務の課題を把握し改善する目的でおこなわれ、可視化そのものは 1 つの手段にすぎない。

一方で、可視化されるだけでユーザが無意識に反応してしまうような、システム 1(直感)に訴えかける可視化 というものもある。ユーザに思考させることなしに意識させられるため、新たな行動を定着させやすい。

本記事では、後者の「システム 1 に訴えかける可視化」をうまくデザインに落とし込み、ユーザの行動変容を促しているプロダクトの事例をいくつか見つけたので、紹介しようと思う。

1. ダイソンの掃除機

ダイソンの掃除機のダストカップは透明になっている。これには 2 つのメリットがある。1 つ目は 掃除をしている感が出る こと。以前の掃除機は中が見えず、どの程度ゴミが取れているのかが不透明だった。ダイソンは、この部分を透明にすることで、大量の吸い取ったゴミを確認することができるようにし、掃除をしたかいがあったとユーザに感じさせることができている。

そして 2 つ目は、頻繁なダストカップのゴミ捨てを促せる こと。ゴミを吸い取り続けるとダストカップの中が汚くなってきて、そのままの状態で放置しておくのが気持ち悪くなってくる。結果として、ユーザに頻繁なゴミ捨てを促すことができている。

2. Smoking Time Machine

Smoking Time Machine は、タバコを吸い続けると 10 年後、20 年後にどのような見た目になるかをシミュレーションしてくれるアプリである。生活習慣病や依存症などの病気は、その影響が出始めるのに時間がかかるため、ユーザにとってその深刻さを意識するのが難しい。このように将来を可視化することで、ユーザは その深刻さを理解することができると同時に、問題を自分ごと化することができ、改善のモチベーションを高めることができる。

3. UPRIGHT GO 2

先日、猫背改善のために UPRIGHT GO 2 というデバイスを買った。アプリと デバイスを Bluetooth 接続すると、アプリの中のピクトグラムが自分の姿勢と連動してリアルタイムに動くようになる。これにより、自分の姿勢の悪さを客観視することができ、その深刻さを直感的に理解することができる。これまで猫背をなおそうと毎年思っては失敗していたが、最近はこれにより少しずつ姿勢を意識することができるようになってきている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?