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その人は本を読む

2020/02/15

「人に会うとやっぱり元気が出る。」
昨日、大学の時の友人宅に集まり、ほんの少し久しぶりなだけだと言うのに、みんなして息を吸う様にそう口に出しては笑い合っていました。

人に会った時ほど高確率で"日常の旅"に出られると感じられた日でもあって私は尚更嬉しかった。

"日常の旅"というのは、私自身の"感覚"でしかないのですが普段の場所から離れなくても、感覚として少し旅に出たような、普段の自身から離れた様な感覚になれる時の事を指します。

昨日もそんな感覚になったタイミングがありました。

芥川賞とると思ってたんだけどね…
その旅は、そう言って手渡された、本の話から始まった、と思います。その人からこうやって本の話を聞くのは初めてでは無かったけれど。
寧ろその人が本を好きな事、特に芥川龍之介さんが書いた本を好きな事は知っていました。

しかしこの本が芥川賞を取るであろうと考えた事や、そもそもこの本が芥川賞になるかもしれないと思った事、更には本を手に取った事さえ一度も無い私には、その人が当たり前の様に考えていた事、その感覚から出てくる話の中には、知らない事の山詰みでした。これが、旅の醍醐味です。

私は、本当に本を読んでこなかったし、特別大好きだとか得意だと感じた事もない。その事に変わりは無いけれど。嫌いという訳では無いんです。
寧ろ、高校生の頃は本が大好きな友達と本を眺めに図書館へ行くのが好きだった。

そんな私にとって、例えば今回であれば本を大好きな人、沢山読んできた人、から本についての話を聞けるという時は、かなり面白い時間。

こうやって本を読む事の楽しさ、楽しみ方やその魅力を、"その人"から聞けた事で私自身もその楽しさや魅力を知り、前よりも好きになるんです。

これはまさに海外旅行で、現地の人に、ここのお店は美味しいよ!この場所から見る景色は最高だよ!と教えてもらう様な感覚です。

例えば、今回であれば
本のスピンとも言うらしい、しおり(紐)の色や見返し、表紙の色合いや装丁について。
(ブックデザインが好き!!と表面上の好きという気持ちで本を買う事はあったけれど。)そこがうまい具合に中のお話、書いてある事や伝えたい事に見合っている時の愛着や感動の仕方はやはり、その本を読んだ人に味わえる特権だと感じました。あ〜〜!そんな感覚味わいたい!!!

この話をしてくれた事で、私は次回本を開いた時もう少し長く読んでいると思うし、全く縁のない位置にあった本との距離が縮まったのでした。

○紹介してもらった本のメモ
・作家:今村夏子さん
あひる
むらさきのスカートの女(第161回芥川賞受賞)
こちらあみ子

・作家:町屋良平さん
1R1分34秒(第160回芥川賞受賞)

・作家:岸政彦さん
ビニール傘

・作家:滝口悠生さん
・死んでいないもの(第154回芥川賞受賞)

今のところ1番気になっているのは、"死んでいないもの"かな〜。あ、1R1分34秒も気になる…🥊

こんなちょっとした、旅の話でした。


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