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休校になってよかった

早いもんで休校になってから始めた遊び場も、次で9回目を迎えます。
町内の2か所の公園・ひろばにて遊び場を開いていますが、顔なじみの親子、子どもたちも増えてのびのび遊んでいます。

4月から授業を再開との情報もチラホラ入ってきているようで、通常の生活が戻るのもあと少し・・・?と思いつつも、東京や神奈川で続く週末の外出自粛要請、愛知県も東京への移動自粛が要請されました。まだまだ予断を許さない日々が続きそうです。

この非日常的な状況が続く中、イライラ、モヤモヤ、ぐるぐる、ざわざわ、色んな感情が子どもも大人も巡っていることと思います。

だからこそ”遊び”を通して制限された時間や空間ではあるけれど、少しでも自由に発散・表現できる場になればと継続して遊び場を開いています。

ただ遊んでいるだけなのですが、この「ただ遊ぶ」がやっぱり大事だなと思うし、大人が奪ってはいけないもので、守るべきものだと感じています。

黒板に絵を描く、即興ラップをする(笑)、縄跳び、鬼ごっこ、缶ぽっくり、コマ、けん玉、友達とおしゃべり・・・・。
中には「そんなことしてないでさ、体使って遊んできなよ」という声もあったりしますが、その何をするかは子どもの自由だと思っているので私からは何も言いません。ただ、とっつきやすい遊びのしかけは色々準備するし、まいておきます。それを使うか使わないかはもちろん子どもの自由です。

遊ぶのも自由、遊ばないのも自由。何をするかまで大人に決められたらたまったもんじゃないですもんね。

「せっかく外に来たんだから」だったり「せっかく」に続く言葉や思いは誰のために発している言葉なのかを、常に私も考えるようにしています。

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そんな感じで開いているのですが、先日公園にひょろっとやってきた少年が。

「おぅ、こんちは。今日はいいお天気だねぇ」と声をかけると「今日は公園にぎやかですね。」と少年。
「そうそう~休校中みんなヒマかな~と思ってさ、今月頭から遊び場やってるんだよね~良かったら何でも使って」と言うと早速「これ使っていいですか」と彼は缶ぽっくりを使い始めました。縄跳びやコマや色々物色しては、「これも使ってみてもいいですか」と声をかけてくれました。
「聞かなくても良いよん、ここでは自由に使って~」と声をかけると「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言ってくれました。

しばらくして黒板に落書きをした女の子が「あぁ~早く学校始まらないかな。本当ひま。」と呟きました。そこへ彼が来て「僕は逆にずっと休校でいい。」と言いました。続けて、「むしろ僕はずっと学校行けてないから休校になって良かった。」と笑顔で呟いていました。

「休校になって良かった。」
「むしろずっと休校でいい。」

彼にそう思わせるものは一体なんなのか。

「よっしゃ~明日から休みー!アベシンゾーさんありがとー!ひゃっほい!」と喜んでいる子どもたちとはまた別の意味で休校を望むその気持ちはどこから来るのか。

東日本大震災の時、子どもの学習支援や居場所づくりをやっている方から「震災があってよかった」という子どもの呟きがあったと聞いたのを思い出しました。地域では問題児扱いをされ、後ろ指を指されていた日々を震災がぶっ壊してくれたと話す子ども、狭い地域の中で引きこもりだと噂され同じく後ろ指指される日々が震災のお陰でなくなったと話す子ども。

私も仮設に住むおばあちゃんから「震災前はさ、生きづらかったのよ。家が汚いとか、ゴミ屋敷だ、とか言われてさ。でも津波あってみんなバラバラになったでしょ。だから私の事そうやって言う人もうここにはいないからさ。ここはいいよ。大変だったけど今の方がうんといい。」といった話を聞いたことがあります。

大多数の声が表面化され、なかなか浮かんでこない少数派の声も、というかどんな声も受け止める場であり、受けとめる人でありたいと思いました。
そして私には何が出来るかをやっぱり考え続けたい。また、どうか皆さんにもこんな子どもたちの声を知って、考えてほしいです。

震災と同じで、今回のコロナウイルスで浮き彫りになった事はたくさんあると思います。だからこそ改めて子どもの遊び、取り巻く環境、子どもに関わる大人の在り方、色んなことを大人が考えるきっかけになればと感じています。

彼は「そういえばお金って・・・とりませんよね?」と恐る恐る聞いてくれたのですが、「遊びにお金はとらないよー!」と言うと「良い人でよかった」とほっとした表情を見せてくれました。(笑)

子どもの遊びに子どもからお金は取らない、でもその環境づくりに日々取り組む大人たちの価値やその活動の意義はもっともっと認知・評価されるべきだと思っています。日本全国色々な団体で長年子どもたちに寄り添っている先駆者の皆さんを見てきて改めてそう思います。

と、いうことで引き続き、感染予防などに努めつつ遊び場を開いていきます。休校解消後については未定ですが、次回は月曜日です。

※本内容と写真に写っている子どもは一切関係ありません。

【おまけ】  
ドラえもんをあーでもない、こーでもないと言いながら描くみんなの図。
「いやドラえもんの目玉離すでしょ!」
「ドラえもん鼻でけーし!」
「だからそうじゃなくって、ドラえもんはこう丸く描くんだってば!」
なんてドラえもん議論が飛び交う中、

「ねぇ聞いてんのドラえもん!!!!!!」と私の腕をつかむ女子。

「うんうん、ごめん何だった・・・って、ドラえもんじゃねーし!!!!!(笑)」
ドラえもんが飛び交う中で、ドラえもんと呼ばれるのでした。
めちゃ笑った。

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