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あめ
そろそろ散歩したいな、
そんなこと考えていたら雷が鳴った。
これは大雨降りそうだなあ
いっそ、思い切り濡れたいな
なんだ、この気持ち
そしてツイートした。
https://twitter.com/pii_gyakuii/status/1171704684710486017
想いを言葉にした途端、雨が降りだした。
「あ、ダメだこれ」
黒いキャップを被り、外に出た。
思ったより、すでに大雨。
でももう外に出たくてたまらなくて、歩く。
傘はさした。傘に落ちる雨音は心地いいし。
ああそっか、こんな姿誰かに見られたら心配されるよね。
実家だと、帰ってきて「どうしたの?」って聞かれてしまう。
「なんとなく」なんて答えたら、この子は病んでるんじゃないかと親を不安にさせる。
だから今までこんなこと出来なかったのか。
見知らぬ土地だから大雨の中、時々傘を下ろして空を仰げる。
雨に濡れるって、どんな感じだったっけと味わえる。
最初はなんだか傘の外から落ちる雨粒が気持ちよくて、サンダルでびしょびしょの素足が自由で、子どものときはこんな風にワクワクしたのかなって思う。
ずっと歩いてると、適当に履いてた部屋着のズボンが濡れて脚にこびりつく。重くてちょっと不快。
もちろん帰ったらタオルで拭いたりなんだりをする羽目になる。
だから雨が嫌になるのか。
だから濡れないようにするのか。
そんなの知らなければまた雨に濡れるのに。自然のまま生きるのに。
無知って楽しいんだな。
知ることは幸せでもあり不幸でもある気がする。
知れば知るほど、いつの間にか大人になってしまう。
中学の時、私は毎日日記を書いていた。
「どうして大人は私の気持ちわかってくれないの?昔は子どもだったはずなのに」
そう思って毎日ただただ感じたことを書き綴った。
私は最近30になった。
家族に「辛い」と言えなかったあの時、1番優しくしてくれたのは2歳の姪な気がする。
誰にも見えないように、姪を抱き締めながら私は泣いた。
中学生の私のことを真っ直ぐ見ようとするのは大人の私なのか、子どもの私なのか、どっちなんだろう。
なんて考えながら、帰ってズボンの裾を絞る。
こんなに濡れるとかいつぶりだろう。
まあ、どっちでもいいか。
とにかく今は『雨に濡れるために散歩する』というなんだかバカみたいなことをした変な満足感でいっぱいの私。
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