「無理する」ことが怖くなったワケ
今、このnoteを見ているということは、
あなたは目が見えますね?文字が読めますね?
そんな当たり前のようなことが、当たり前でない人がいる。
そう腹落ちしたのは、自分の体験から。
非常勤講師として小学校に勤めていたとき、ある日突然音が聞き取りにくくなった。
なんだか詰まっているようで、プールで耳に水が入ってしまったときのような、あの感覚。
父も耳を悪くして入院したことがあり「耳は3日で治らなくなる」と聞いていたので、すぐに病院へ行った。
聴力検査をすると「あなたの耳は今こんな状態」とグラフを見せられた。
イメージとしてはこんな感じ。うろ覚えだけど。誰が見ても、左側の低音だけ下がっているグラフ、両耳そうだった。
ほぼ真っすぐな線になるのが正常らしい。つまり私の耳は低音が聞こえにくくなっていた。
原因は、ストレス。と言われた。
当時ストレスを自覚していなかった私は意味が分からないと思った。
今思えば、周りの期待から教員採用試験を受けて、合格したいと思っていなかったのに合格して、本当は非常勤講師のままでいたかったからだろうか。
理由はどうあれ、耳の治療として毎食後に3種類の薬を飲むことになった。
この治療期間の方がよほどストレスだった。
先生が薬を飲めば子どもたちは心配する。私自身よくわかってない症状を説明なんてできないから、上手くかわす。
ざわついた教室の中で1人の子どもの声を聞き取るのは困難。
大好きなドラマは字幕を付けないとBGMにかき消され、内容がわからない。
飲み会なんて当然周りがざわついているので、みんなの会話についていけなくなった。
それでも「原因はストレス」ならば、なるべく気にせずいつも通り過ごすようにする。
それなのに、一向に良くならない。
夏に始まった治療は、冬まで続いた。
不安で色々調べた。お医者さんは詳しくは言わないけどおそらく自分は軽度の「低音難聴」だ。
このままずっと治らないのか?もしかしたら聞こえなくなるんじゃないか?
不安ばかり増していく日々。
不安になるほど、症状は良くならない。と思っても、怖い。
耳が聞こえないと、大好きなライブも行けない、音楽も聴けない、誰かと会話も楽しめなくなる。
当たり前に聞こえていたのに。
そんなの辛い。
※この頃励みになったのは大好きなサカナクション。ボーカル山口一郎さんが突発性難聴で耳を悪くしながらも、素敵な音楽を創り続けていたことですが、この話は割愛します。
結局半年ほどで治ったが、この後正職員になってストレスで再発した。
ストレスを感じるとすぐ耳に違和感を感じるようになってしまった。
音の世界をなくしてまで頑張りたいことはなかった。
耳が痒くなったら、私の危険信号。
これは教員をすぐ辞めるに至った理由の1つでもある。
当たり前にある『きこえる』世界を守りたいから、
「頑張る」ことが怖くなった。
「頑張れ」は辛いとか、でもやっぱり励みになる、とか色んな意見があるけど、私はやっぱり自分も他人も「無理しないで」ほしい。
身体を壊してまでしないといけないことなんて、あるのかな。
苦しくなったら誰かに助けを求めてほしい。
私でいいなら私に「辛い」と言ってほしい。
「私は頑張ってない」と思っても案外みんな頑張っているもの。
引きこもっていようが、生きることだけでも頑張ってる時期もある(私もあった)
学生、アルバイト、専業主婦、サラリーマン、フリーランス、社長…
どの立場だから頑張ってない、頑張ってる、なんてことあるのかな。
「頑張れていない」と悩んでいることそのものが「自分と向き合う」という頑張りをしているんじゃないかな。
心の声は身体に出るもの。疲れたら休んでいい。
とにかく「無理しない」で生きたい。
だって私の耳が聞こえなくなってまで無理したいと思うことは、今はないから。
だから人にも無理しないでほしいし、無理しなくても生きていける世の中になってほしい。
みんなが生きやすい世界を目指すのが、私のキレイゴト。
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