ジョージ・バークリーまとめ
ロックの 【一次的性質】・【二次的性質】を否定、そんな分類は存在しない
対象との間の距離によって見える大きさは変わる
視覚だけでなく対象まで近づき、触れないと「大きさ」は判断できない
【物体そのもの】言い換えると 【一次的性質】はない
全ての認識は【二次的性質】に分類される
物体そのものによって知覚されるものがない
→知覚があって初めて物体は存在する
『存在するとは知覚することである』エッセ・イズ・ペルキピ esse is percipi
世界を主体とした一元論でもデカルト二元論でもなく、
精神を主体とした一元論
精神だけが確実な存在であり、
その精神の働きによって初めて物体が知覚され、
精神の働きがなければそもそも物体を認知できないのだから
それは存在していないと言っても良い。
バークリーは聖職者でもあった
God… その存在を誰も知覚していないと思えるようなときでも
実はそれを知覚している存在
著作「人知原理論」
・副題——諸学の過誤及び難点の主要原因並びに懐疑論・無神論・無宗教の根拠を探究する
・人間の心は有限
→無限性を享けた事物を取り扱う
→不合理&矛盾 脱出するのは不可能
・目的——不確実/不合理/矛盾を導入した原理
・事物——性質・様相が混合している
→抽象観念が心に形成される
例)延長/色彩/運動
・動物——抽象観念の組成分
生命/感官/自発運動
・私以外の人が自分たちの観念を抽象するこの不思議 cf.観念の複合/分割
★疑問
「全て存在するものは個物に止まるから、私たちはいかにして一般観念をえるのか。」
【答】言葉は一般観念の記号
例)運動の変化——加えられる力に比例
延長を有する物——分割可能
・抽象観念
思想の伝達/知識の拡大にとっては不必要
——事物の表示&標示 cf.関係性に依存しているから
・二等辺直角三角形=2直角
⇒抽象観念:無差別な特殊観念を扱う
・言語=情緒/行動喚起/標印etc
・事物の存在=知覚されること
⇒知覚するところの思考する事物の外で、かりそめにも存在することは不可能
◎可感的事物
・知覚——感覚、思念、観念
例)光/色彩/熱/寒/延長/形状
★およそ天の群れと地の備えとの一切は、一言でいえば世界の巨大な仕組みを構成するすべての物体は、心の外に少しも存立しなく、物体の存ることは知覚されること、すなわち知られること、であり、従って、物体が私によって現実に知覚されないとき、換言すれば私の物体は存在しないか、もしくは或る永遠な精神の心の内に存立するか、そのいずれかでなければならないのである。
・精神は一つの単純で分割されない能動的な存在者である。精神が観念を知覚するとき、精神は知性と呼ばれ、観念を産み、或いはそのほかに観念に作用するとき、意志と呼ばれる。それゆえ、霊魂ないし精神の観念はこれを造ることができない。
・感官の観念——定常性/秩序/整合性
⇒自然法…感官の観念を喚起
不動の規則・秩序
・Godによる保存→連続的創造
・延長・形状——観念として心にある
・観念について
①事物——心の外に在るものを指表
②事物——観念より包括的な意義
cf.精神・思考する事物を含む
③反論:事物を外に見る
【答】夢 事物は心のうちにのみ存在
視覚観念 触覚観念
④反論:事物は瞬間ごとに消滅、新しく創造
【答】知覚されずに存在できるか?
⑤ 反論:心は延長や形状の道理
【答】様相・属性⇒観念
⑥ 反論:力学的諸原理——形態的実体に基づく
【答】形状——観念
⑦ 反論:自然的原因を取り去る⇒精神直接作用 万全を帰す
【答】Godのみが万物の直接作用因 説明困難
⑧ 反論:事物/外物——
【答】自己欺瞞/無反省/真理証明の脆弱性
⑨ 反論:原因を見出しがたい
【答】①背理②至高精神——限界がない③自由の標印
⑩ 反論:哲学&数学の撞着
【答】自然の知識——矛盾せずに保存
⑪ 反論:植物——目的⇒役に立つのか?
【答】①アプリオリには重要性を持ちえない
②形状・運動——自己の内に能動性・効力を有しない
⑫ 反論:無力・無感な実体だけ存在(観念の機会因)
【答】①偶有性のない実体の想定——不合理
②不知の実態——どこに存するのか?
・人知——①観念②精神
・懐疑論への反駁
——事物/実在/存在の意味を反映させること
★精神…能動的で不可分な実体
★観念…無力/はかない/依存的/存在物
⇒心即ち精神的実体の内に存する
・物質は無から生み出されない
⇒Godの所有
・重力=およそ一切の物体に内属する本質的性質
★①心・精神——作用因
②目的
③自然の来歴——God
④自然の一般的法則(演繹)
…論証するとは言わない
⇒自然の造り主
・全ての物の中に働いて全てのことをなさる精神/また万物は彼にあって成り立っている精神
⇒God——自然——精神(自然の造り主)
有神論の確立
神へと向かう道の出発点を確保するべく、物質の存在を否定し、知覚をもって事物があると主張
デカルト・ロック批判
精神と物質という二つの実体からなる二元論的世界観
実体…存在するために他のいかなるものをも必要としない存在のこと
⇒精神と物質の間には、相互作用や依存関係というものが存在しないことになる
⇒精神は物質をいかにして認識することができるのか、という大問題が生じる
デカルト:精神と物質は、認識においては観念(idea)によって結びつく
ロック:デカルトの生得観念説を否定するものの、上記の発想を借用
⇒二人とも、精神の外に事物が存在している前提
観念も表象(Representation)の一種
表象実在論(Representational realism)
…頭に浮かんだものには対応した事物があるという立場
バークリー:
事物が知覚に無関係に存在しているという習慣的な考え方は「人知の第一原理」に据えることはできない
知覚より先に事実は存在しない
事物の先在性と外在性を否定
知覚の外部に事物は存在しない
精神一元論…二元論の克服
精神の内側で生じる知覚がまずあって
それによって事物が成立する
このとき、事物は精神の外側にではなく内側に存在している
エッセイ・イズ・ペルキピ esse is percipi (存在とは知覚されること)が人間認識の第一原理
知覚の原因
…至高精神、つまりGod
自然神学
…創造された自然のうちに神の働きをみる立場
「人知原理論」は自然神学的証明
自然は神の存在と神の力を指し示す記号
その記号を読み取る主体が我々人間であり、
記号を読み取るという行為が知覚経験
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