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大学生散文|感情紀行記

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感情の動いた時を書き記す【感情紀行記】をまとめています。
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2024年5月の記事一覧

【感情紀行記】人生に慣れる

 暖かい日差しが差し込み、明るく照らされる部屋を出て、まだ寒さの残る廊下を通る。春になり、朝の寒さも少しずつ和らいできた。  冬に、新しく家具を新調するため、家具屋さんに出向き、家具を注文した。するとなんとも配送時期が遅く、待っているうちに春になってしまった。今まで愛用していた家具を全て分解し、玄関へと搬出する。数日間のうちに次々と粗大ゴミとして搬送されていく。青春とも言われるような、人生の大事な時期を共に過ごした、夢の詰まった家具たちが玄関でポツンと並ぶその姿は、侘しさと

【感情紀行記】春満月

 ここ数年間、自分は孤独である、という現状をコンプレックス、ひいては悩みの種として抱え続けてきた。実際は、家族や親戚、友人たちに恵まれていたので、完全に孤立、孤独であったわけではなかった。しかし、何か社会に対して自分は一人で向き合っているような、少なくともペアではないような感覚に襲われていた。しかし、生活と、それを支える精神がものすごく強力なスタビライザーによって支えられるようになった。自分の確実性や、自分を構成する何かが足らないという状況から、変わったのだ。これまでにないス

【感情紀行記】世直し階級社会

 最近、急速に動画市場を席巻しているショート動画というものを見ている時に、惑星が地球に衝突しようとするような動画が流れてきた。  その動画は、地球にいる人の視点で、ぐんぐんとその惑星が近づいている様子を動画に撮っている風であった。妙にリアルで、見入ってしまった。コメント欄には重力がなんとかなど、色々と理系的分析で持って批判がなされていたのだが、個人的に気になったのは、近づく惑星の手前で発射されていたロケットだ。地球の終末感を描くための脱出ロケットだと思われる。少なくとも自分

【感情紀行記】正義の名前

 冬の夕さがり、数日間で急激に寒さが増し、冬へと本格的に突入した。冬といえば、暖かなココアが美味しい。そういうことで、ココアを買いに出かけた。そうは言っても、なんだか少し健康的そうで、朝も飲みたいと思えるmiloを買っている。コンビニでは、新たに増えた、湯河原に公用車で通っていそうな某元東京都知事のような男性の店員さんが会計を済ませてくれた。そんな店員さんは、会計を済ませるとなぜか、プラスチックの白いスプーンをつけてくれた。そのまま粉を食べるとでも思ったのだろうか。そんなこと

【感情紀行記】家族と共に

 我が家には大変ポンコツな母がいる。自分を産み育ててくれた親に対してポンコツというのは何事かという問題はあるのだろうが、そういう社会の目に忖度せずに申し上げれば、ポンコツである。全てがポンコツというのではない。一部分ではとても優秀であるし、とてもデキる人である。  そんな母がなぜポンコツかといえば、忙しなく、どことなく抜けている部分があるからである。決してボケているわけではないのだけれども、少し考えればわかるような当たり前のことを聞いてきたり、物にぶつかったり、ひっくり返し

【感情紀行記】寂しさと期待と

 寂しさというものにはわりかし耐性がある方であった。もちろん、人並みには寂しいと感じることはあったものの、それは、一人でいるということを持って発生していた様に感じる。  大学も終わり、春休みへと突入した。しかし、付き合っている相手は、実習という大変に気を病むよな大変な期間へと突入している。事前に、連絡もあまり取れないし、会うこともできないだろうという話をされていたために、旅行を入れていた。しかし、いざ実習が始まってみると、お互いに会えないという事実に耐えきれず、会う予定を立

【感情紀行記】沈黙のコンセンサス

 常識や日常における当たり前はどこから来るのだろうか。そして、いつ、その常識に馴染んだのだろうか。自分には、時々驚くような発言をする常識のない後輩がいる。  その後輩は高校生の時、「ボディソープは体に使う、シャンプーは髪の毛に使う。リンスは残っている顔に使うものだと思った。」と言っていた。そういうわけで、彼は高校生になるまでリンスを顔に塗っていたようだ。まぁ、一般社会からしたら恐るべき発想による、恐るべき行為だ。しかし、その後輩のリンスを顔に塗るという当たり前はいつの日か形

【感情紀行記】小さな世界

 幼い頃は、世界が有限だった。有限だったからこそ、世界は無限に続いていた。小学生の頃は、今では徒歩20分もかからないような場所が広大に広がっているように感じていた。それより外の世界なんて考えたことも、見たことも踏み入れたこともほとんどない。もちろん、旅行やお出かけはすることはあっても、単発的なものであったし、飛び地のような、未知の新たな世界であったことに違いにない。  いつの日からか背が高くなり、耳にはイヤホン、片手にスマホを持つようになり、アクセスできる世界は広く、相対的

【感情紀行記】有閑階級

 丁寧に暮らしたい、そう願ってやまない季節がやってきた。常々思っているものの、やはり夏よりかは、寒いの冬の方が身がしまって、何か丁寧に暮らしていこうと思える。そんなことで初めた、「丁寧な暮らしライフプロジェクト」。暮らしなのにライフという、頭痛が痛くなるようなネーミングだが、完璧は求めない、なんとなく自分が丁寧に暮らせているな、と思えたら良いということで、この乱雑なプロジェクト名を命名した。  ここで言う丁寧な暮らしというのは、一つ一つの動作や、物にこだわりを持って、優雅に

【感情紀行記】一服

 今年の残りの日数を改めて数字で言われると驚くような数字になってきた。秋から冬への明確な転換を迎えようと、日に日に肌寒くなってきた。毎年、冬が近づくと、部屋で過ごす時間が増えてくる。外に出るのも嫌になり、リビングよりも大きくなく、適温に調節された小さくまとまった自分の部屋に籠ることになるのだ。  一年のルーティーンも体に染み付き、慣れきったところで一息つく季節なのだ。自分の部屋で一人、素敵な時間を過ごそうと、様々な工夫をする。自分で作った温かい飲み物を抱え、本やインターネッ

【感情紀行記】代議士

 「引き続き、政府一丸となって、、、」とある機会があって国会議事堂の本会議を見学する機会を得た。さまざまなセキュリティを潜り抜け、国会議事堂の本会議場へとついた。  幼少期にも見たことがあるような気がしたが、興味がなかった上に、議場には誰もいなかったのでなんとも思わなかった。しかし、今回議会には、全国各地から選出された全国民の代表が列挙していた。演台には、行政府長官である内閣総理大臣が立ち、国民の代表たる質疑者からの質疑に答えていた。  リベラル系の質問には、傍聴席から見

【感情紀行記】済成

 人間生きているとうまくいかないことは山ほどある。些細なものから大きなものまで様々だ。やりたいことができなかったり、やろうと思っていたことができなかったり。失敗と言っても色々だし、思うように奏功しなかったというレベルのものもあるだろう。  受験などにおいても、こういう問題は発生してくる。しかし、そんなに落ち込むことでもないのかもしれない。その場所との相性が悪かったのだ。それは自分自身が合っていないのもあれば、相手が自分に合っていないのもある。様々なレベルにおいての不適合はあ

【感情紀行記】波乗り

 服を選ぶのが苦痛だ。よく、服が趣味ですとか、ファッションが好きだ、という人が一定数いる。そういう人は、高額な服から安価な服まで様々な服を着こなし、おしゃれに街に出歩いている。私は、真反対の人間である。  スーツにはこだわりも知識もあり、服飾が好きで、こだわる人の気持ちはよくわかるのだが、「おしゃれ」という定義がよくわからないものに果てしない不安を感じる。スーツはその点、間違いというものを避けて、こだわりを持てば良いので簡単なのかもしれない。スーツでも色々あるというのに、服飾

【感情紀行記】並走者

 世の中、色々なものに色々な名前がついている。人々の関係性や、肩書きにも複雑怪奇な名前がついている。そんな名前は時々変化する。昨日まで一般人だった人が、国家議員になったり、国家議員が一般人になったり。もっと言えば、国会議員が天皇に任命された途端に国務大臣になることだってある。こういうことはあまり一般人には馴染みがないが、関係性や人物の肩書きの変化というのは、意外と世の中でもたくさん起きている。  世の中がクリスマスを通り過ぎ、年末年始を過ごした後、日常としての新年が幕を開け