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大学生散文|感情紀行記

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感情の動いた時を書き記す【感情紀行記】をまとめています。
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2023年10月の記事一覧

【感情紀行記】妖怪四つ耳

 現代科学が滅ぼした「妖怪」を現代に復活させる試みをいまだに行なっているのだが、そのことをいつも話を聞いてくれている人たちに冗談話として話した。最近この手の自分の考えなどをユーモラスに受け取り、楽しく聞いてくれる人が増えている。最近は、「私もそういう考えになりたい!」とかいう稀有な人々も現れた。絶対におすすめはしないのだが。  そんな話をした帰り、妖怪を発見した。名付けて妖怪四つ耳である。夜になると千葉方面から現れるとされており、幸せそうな顔をしているが、明らかに疲れ切った

【感情紀行記】夢の起点

 自然体験とか学習的なものを重視していたのか、たまたま機会がなかったのか、興味がなかったのかはわからないが、幼少期においてほとんど遊園地とか、ディズニーというものに触れてこなかった。初めてディズニーに行ったのもディズニーに詳しい友人家族に誘われていったくらいだ。そのような幼少期を過ごしたからなのか、遊園地とか、アトラクションというものに興味がないどこか、嫌いであった。高所恐怖症であるのも一因であるけれども、鶏が先か卵が先かわからない。  そんな自分が中学以後、ディズニーにど

【感情紀行記】能率

 タイムパフォーマンス、いわゆるタイパが巷で噂され初め、一定期間が過ぎ、定着し始めた。タイパ世代と呼ばれる年代であるが、本当にタイパなんて意識しているのだろうか。それとも、自分が理解していないだけで、タイパを意識しているのだろうか。  確かに、長時間のコンテンツというのは、小さい頃から苦手であった。自分でコンテンツの速度を調整できるようになっては倍速などを使ったりもする。読書も昔からそんなに得意な方ではなかった。掻い摘んで要点だけ掴めれば読んだ気になれるし、読んだ気になって

【感情紀行記】臆病者

 臆病者と言えば、ハリーポッターと死の秘宝において、スネイプ先生にマクゴナガル先生が放った言葉として想起される人もいるだろう。その少し後には衝撃的な展開とともに多くの人が自省したであろうが。  自分は多くの分野で割とさまざまなことが語れる方であると思う。流行には強くないが、時事には疎くない方であると思う。それに伴って意見なども持っているが、それを表明するのを毎回躊躇ってしまう。そうというのも、どこで誰が何を考えているのかわからない上に、このインターネット時代、どこから何が始

【感情紀行記】文殊の知恵

 三人寄れば文殊の知恵という古からの知恵に倣って、自分の不安や悩み、考えを近しい人から少しずつ話、打ち明けるようになった。今までは、文字に起こして文章に残しておくとかそういうレベルであった。たとえ打ち明けたとしても一人か二人であった。  しかし、最近は打ち明ける先が少人数であることに危機感を覚え、心機一転、打ち明ける先を増やしてみた。今までの交友関係が特異なものであったからか、意外に好感触で、新たな自分を見てくれるかのように真剣に、共に考えてくれる人だらけであった。  今

【感情紀行記】国債

 日本の赤字国債発行は財政法4条において禁じられている。大日本帝国憲法時代の赤字債務の連発が最終的に日本経済の壊滅を招いたためだ。一方で、毎年度の特例を作ることで現在の日本の財政を担う実質の赤字国債を発行している。  大学生現在、大したバイトをしていない。自分の興味関心にまかせ、経済的対価を伴わない仕事などはしているのだが、もちろん経済的にはなんのメリットもない。また、バイトは一応しているものの、殿様商売ともいうべきような働き方であるし、需要が発生した時にのみ交渉に乗って勤

【感情紀行記】科学する人類

 社会的人間と、個としての人間という話をした。深夜に始まったこの議論は思わぬ白熱を見せ、時間と空間を超越したものとなった。  社会や、地域にアイデンティティを持つ空虚な像たる人間に、代替可能性というものは本当にないのかという疑問が、心の奥底から、本質的課題として社会的人間の側面を持つ自分に恐怖を植え付ける。社会的人間の「機能」としての個人という問題は根深い。人間はいつの日からか、発端が機能的な側面を持っていたとしても、恥を知り、服を着るようになった。そこからなのか、人間は社

【感情紀行記】字面

 留学先で出会った友人たちと定期的に会っているのだが、久々に会うことにした。毎度のこと、前日まで何をするのか、いつどこで会うのかが決まらない。いつもやることは特にないので、ふらふらと歩きながら、話して1日を過ごす。  定期的に会える範囲に住んでいる友人としては最も遠い位置にいる友人がいるのだが、毎回興味深い話を聞かせてくれる。自分の生活では見ることがなかったような世界が広がっているのだ。自分の住んできた世界では考えられない、もしくはその世界では「常識」とされているようなこと

【感情紀行記】繰り返し

 何度も何度も暗誦し、何度も何度も手書きする。そんな単語の記憶が苦手である。大学生になってもなお、語学学習からは脱却できず、単語の小テストを定期的に受けることとなっている。  とにかく意味もなく、テストのために記憶をしなければならない、短期記憶から長期記憶へと捩じ込む作業がとにかく苦痛である。もしかしたらコツなどがあるのかもしれないが、現在においては徹底的に暗唱し手書きを繰り返す方法より良いものは見つかっていない。言語とは、追い込まれ、必要性を感じれば学習できるものなのであ

【感情紀行記】粉骨砕身

 ゼミというものを探し、入っていかなければならないことになった。色々探したのだが、選択肢はそんなに多くはなかった。楽しそうだと思え、学びたいと思えるゼミというのは限られている。  ゼミの選考の一つに、これまで力を入れてきたことを記述する場所があった。大学生になるまで、自分の興味関心に突き動かされて様々な経験をしてきた。恐らく、他の人がなかなかしないことや、できないこともあったと思う。しかし、何か面白味にかける、味気ない文章となってしまった。自分の経歴は果たして面白くないもの

【感情紀行記】気高き店

 世の中、意識の高い店が肩を寄せて立ち並んでいる。ただ料理が美味しいというよりも、店舗が綺麗とか、盛り付けがオシャレというのがSNSの発達から急速に進んだように感じる。それは体感的にも、社会的な認識としても大きな相違はないだろう。  自分はそういった店が本当に苦手である。普通の店であっても初めての店はとてつもなく緊張する。メニュー表がわからない、価格帯がわからない、店の雰囲気、店員さんの態度がわからないなど、入ってみないとわからない、恐ろしい未知の要素がそこらじゅうに溢れか

【感情紀行記】決定権

 先日、性格の話をしているところから、個性などの自分の構成要因はどこからきているのかという話にたどり着いた。性格については、いくつかの類型に基づいて語ったのだが、権力者型という物について話が重点的に広がった。決定権を握ることを主としている人だ。  果たして人間の決定権というものはどこまで認められるのだろうか。自由意志というのはどこまで真実のなのだろうか。過去の自身の決定はベターなものであって回避のしようがない、確定要因であったのだろうか。個人的には、技術の進展によって人間に

【感情紀行記】精神安定外部依存主義

 とある友人と関わるようになってからというもの、精神の波というものを意識するようになった。精神の波は生来あったようには思うが、しっかりと認識され、上下を認識するようになったのは出会い以来だと思う。確かに、ものの分別が付くようになり、様々な人生体験を経てきたタイミングであったことは間違いないが、この出会いが大きな起点であったことは間違いないであろう。  人生に物足りなさとか、落ち込みというのがわかるようになってから、自分の精神は外部の人々に左右されるものであることが多いように

【感情紀行記】請求

 周囲の友達からスーパーボランティアの名を冠するような、ボランティア精神あふれる人物へと化してしまった。なぜそう呼ばれるようになったかと言えば、本来ならば賃金を請求できるような業務や行為について賃金を請求せずに、行うことが多いからだ。やりがい搾取の最たるものである。よく、「もっと請求していいんだよ!」とか、「なんで請求しないの!」と指摘されることが多いが、どうしても気が引ける。  賃金を請求する相手が、支払いの主体者であって、その人のお財布からお金が減っているのをどうしても