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今更「虹の行方」のエモさに気付いた話

はじめに


シャニマスに限らず、私は曲を聴くときにメロディを重視して好みを判別するタイプで、歌詞に着目するのは相当聴きこんだ一部の楽曲のみである。だから楽曲に関する考察とか意味合いとか立ち位置とか、そういったものを考えることはあまりない。
かといって、コードとかアレンジとか作曲家の特徴とかに詳しいわけでもないので、本当に感覚派である。

それに対して「わかる」とか「そんな勿体ない」とか、感想は人によってさまざまだろうが、今回の本題ではないのでいったん置いておくとして。

そのような人間がどうなったかというと、とにかく「シャイノグラフィ」という楽曲が好きになった。イントロの入りが好きで、サビの尻上がりなメロディが好きで、なんとなく歌詞もおしゃれな響きでいい感じ。ライブで披露されると盛り上がるし、シャニマス楽曲の中でもTOP5に入るほどお気に入りになった。

一方、4周年記念楽曲「虹の行方」についてはというと、正直なところ、初披露の4thライブ現地で聴いたときも、そんなに刺さってなかった。「まあよくある全体曲かな」「メロディは変わってるな、おもろ」とか思っていた。本当に失礼な話だけれども。

しかし私は、あるきっかけをもって「虹の行方」の歌詞をあらためて考え直したいという衝動に駆られた。そして今では私の中で「虹の行方」が「シャイノグラフィ」を超えるほど好きな楽曲になった。

その魅力をぜひ伝えたい。そんなのもう知ってるという人もいると思うけど、伝えたい。そんな一心で筆を執ったので、長いけど最後まで見てもらえるとありがたい。

なお、本文中には4thライブや5thライブの演出に関するネタバレがあるので注意。

きっかけは5thライブ

拙者、5thライブのテーマと構成好き好き侍と申す…

という話をしだすとキモ長くなるのでまた別で語るとして。

5thライブのテーマを端的に言うと、Day1が我々Pとアイドルが出会わなかった世界線のファイナルライブ(Anniversary聴くとPが死んだ世界線の気もするけど)、Day2はこれからも羽ばたき続ける現在の世界線すなわち真の5thライブ、というものだと思っているのだが、そのテーマを念頭に「虹の行方」を聴いたとき、否が応でも耳につく歌詞がある。

たとえ出会えてなくて 一緒にいない世界でも
君を響かせる光の歌

「虹の行方」より

え、これ5thライブのテーマに沿った曲なのでは?

Pと出会わずアイドルやってる可能性もあるけど、そんな世界線でもこの曲はきっと君に届く、みたいな力強い歌詞なのでは?

その時の私のアハ体験による気持ち良さたるや、オタクスマイル全開でニチャったものだが、直後に衝撃の事実に気づいてしまった。

待って、5thライブって「虹の行方」披露してない。

アハ体験勘違いでした。

嘘でしょ、こんなにマッチしてそうなのに。実は4thライブよりも前から5thライブの構想が決まってて、それをもとに古屋さん※が書いたんじゃないの?
※「虹の行方」の作詞担当であり放クラの6人目

じゃあ逆にこの曲のテーマってなんなの?

こうして私の歌詞考察の旅が始まった。

5thライブから考察が始まるまでめちゃくちゃ時間がかかってるけど、

それだけ普段から歌詞を考えることが無かったので許してほしい。最後には反省するから。

各全体曲のテーマ

歌詞考察を進めるうえで「あ、これ今までの全体曲も歌詞見ないといけないやつだ」となったため、結局「Spread the Wings」から聴き直した。

その結果、全体曲はリリース順に、283プロダクションのアイドル達の成長に沿った内容になっていると気づいた。

それは「虹の行方」を語るうえで欠かせない内容となるため、まずは各全体曲がどのようなテーマを歌っているのか、読みとった結果を以下に述べる。


「Spread the Wings」
翼を広げて飛び立つ、始まりの歌
Brilliant Wing:輝きだす翼

「Ambitious Eve」
飛び続ける迷いを振り払い前を向く、決意の歌
Fragment Wing:不完全な翼

「シャイノグラフィ」
自分の翼の色と輝き方を模索する、成長の歌
Gradate Wing:変わりゆく翼

「Resonance+」
七色の翼たちが空を染め上げる、完成の歌
Layered Wing:重なりあう翼


加えてすべての楽曲に共通するのは
・アイドルを翼をひろげて空へはばたく鳥に例えている
・一人で飛ぶことはなく必ず隣に誰かがいる

ということである。

これだけ見ると、いや「Resonance+」でもう完成しとるやないかい、と思うかもしれない。

正直なところ「Resonance+」のテーマ定義は難しかったが、正確に言うと、たどり着いたのはアイドルとしてのゴールの一つであり、彼女らはこれから七色を越え、虹を越えて舞い上がっていくとのこと。

これを踏まえて「虹の行方」は何をテーマにしているのか。

ということで次章、ついに本題へ。


ところで、それにしても各曲が出たタイミングで加入したアイドルとの関係性が深い。

決意を固める強さを持つストレイライト
アイドルとしての進み方を探すノクチル
シーズに完成というテーマは合わない気がするけど、曲名の和訳は”共鳴”

親和性が高いなぁ。


閑話休題


「虹の行方」について本気出して考えてみた

結論から書こう。

「虹の行方」のテーマは"過去と未来"。

過去を振り返り成長の過程をたどる歌であり、未来を見据えて新たなゴールに向かいだす進化の歌でもある、そう解釈した。

これまでの楽曲でも「過去から成長した現在の自分」「未来のありたい自分」を描くことはあった。例えば、「虹の行方」ではこれまでのフィールドから、さらなる高みとなる次の空へ手を伸ばすという、今まで以上に輝く可能性を提示してくれるが、これは「Resonance+」のラスサビでも同様だ。

しかし大きく異なるのは、アイドルとして踏み出した始点と、現在地である終点が明確に描かれていること、つまり成長の絶対値が実感できる点だ。

これは、アイドル達の成長がある程度の域に達しなければ歌えないテーマであり、283プロとして一つの区切りをつける歌といえる。

上記の解釈に至った理由として、以下、曲の流れに沿って歌詞の要約と解説をしていく。ぜひ曲を聴きながら、歌詞を見ながら読んでほしい。


歌いだし

「Resonance+」で自分の色を見つけて空を彩り始めたアイドル達だが、次の空を探しに行く。

初手から結論を出してきた。もうアイドルとしての強さを感じる。


Aメロ

自分達がアイドルという道を目指すきっかけ、それはすでに輝きを放ち、活躍するアイドル達が開いた道あってこそ。
アイドルとして一つのゴールに到達した彼女たちも、その高みに届いてはいない。

これが2番の伏線になっていると気づいた時の衝撃たるや。


Bメロ

アイドルとしての輝きで世界を照らす。しかし283プロのアイドルが見据えるのは、そんな今だけではない。それは”どんな”過去も未来も。

“どんな”の部分はサビに効いてくる。5thの振り返り上映で高山Pからもコメントがあったが、既にこの曲をリリースしたあたりでシャニマス運営は「アイドル達がアイドル以外の道を選ぶこともあった。その可能性を否定したくない。」といった思想を強く意識していたと思われる。


1番サビ

要約は割愛。歌詞を見てくれ。
聴いてて泣きそうになったんだ。

これこそ5thライブの描いたif(可能性)にもつながる話だが、もちろんアイドル達は違う進路へ向かう選択肢もあったはずだし、今飛び続けているアイドルという空は、それらと比べると辛く険しい道かもしれない。でもそれは自分で選んだ道だから、決して後悔していないという強い意志表示。

こんなにプロデューサー冥利に尽きることはない。アイドルからの恩返しを受けたような気分だった。成長ポイントその1。

しかし当方果穂P、これを果穂が歌ってると思うと色々な意味で心が張り裂けそうです(成長と巣立ちを感じた複雑な表情)。


そして深掘りをしていくことで諸説ポイントとなった問題の個所もある。

たとえ出会えてなくて 一緒にいない世界でも
君を響かせる光の歌

(再掲)「虹の行方」より

一緒に居ない”君”というのは、当初はPのことかと思っていたけれども、それは過去の全体曲の解釈によって変わってくる。

これまで隣でともに羽ばたいたのが”ほかのアイドル”と考えると、ここでいう”君”も同様か。はたまたアイドルとして響かせるのはステージを観ているファンたちか。


個人的にはPとしたい。なぜならそれが一番エモいから(唐突な感情論)。


Cメロ(現在 きのう~)

前述のとおり、過去から未来へ続く無数の選択肢がある。そのどれを選んだ世界線の私もきっと元気にやってるはずという、まさに他の可能性を否定しない、アイドルになった現在が絶対の正解ではない。

公式の思想の強さを再認識。


Cメロ(正解を~)

この部分については特筆して語らせてほしいので分割した。

ここの歌割りが神。え、ここシーズに歌わせるんですか。

理想を追求し続ける美琴さんが正解を捨てるんだって。
常識をたどり続けるにちかが嬉しいのに泣くんだって。

“矛盾”という言葉から遠いはずの二人が高く飛ぶために必要なことは、見ようともしなかった、目をそらし続けてきた”矛盾”にこそあったということか。

シーズPではないが、ここ聴いたときはリビングで床になった。
これは成長ポイント番外編。


2番サビ

自分が憧れた、アイドルという空へはばたくきっかけとなった存在がいる。その憧れにはまだ追いついていないけれど、今の私は空にいる。そして、まだ飛び立っていない誰かに、ひとひらの羽をつなげる存在になっている。

はいここ伏線回収ポイント。と同時に成長ポイントその2。
1番では空から落ちてきた羽を手に取る女の子だったが、2番ではその羽を落とす存在となっている。1曲の中でアイドルの成長をこれでもかと魅せる構成、大好きです。
あと2番では「羽」と言わずに「ひとひら」って表現して理解らせるのがおしゃれ。


Dメロ

トップアイドルという最果てを目指す道半ばでたどり着いたのが、自分の居場所となる大事な場所=アイドルとしての一つのゴール。
でももちろん、目指すはトップアイドル。今の場所に満足せずにさらなる高みへ手を伸ばすとき、隣にいる君も一緒に手を伸ばしている。

他の全体曲にも共通しているとおり、全体曲において一人で空を飛ぶことはない。シャニマスはユニットにスポットが当たっているためだろう。一貫したトンマナ※が感じられる。

※”トーン&マナー”の略。あるコンテンツに対しての基本ルールを意味するデザイン用語。以前にインタビュー記事で高山Pが使っててかっこよかったから太字にした。


ラスサビ

過去の成長をたどり、今の自分がいる場所を自覚したアイドル達は、輝き方も、仲間との絆も手に入れた。あとは信じて、次の空へ飛び立つだけ。

え、俺らのアイドル頼もしすぎる…。
こんなに自信を持って上を向いてくれるのは、日頃のプロデュースに対するアイドルからの最高の答え(応え)である。また恩返ししてもらっちゃった(号泣)。成長ポイントその3。


最後に

結局ほぼすべての歌詞に触れて冗長となったが、「虹の行方」の魅力について伝わっただろうか。

今回の考察でわかったことをまとめると、
・全体曲はすべてが一つのストーリーになっている
・「虹の行方」はアイドルの成長した姿を感じやすくてエモい
・アイドルとしての道を後悔してないことも分かってエモい
・多分キリッとした顔でさらなる高みを目指しててエモい

(歌詞を読むだけでこんなに感情になれるのだったら、もっと早く見ておけばよかった)

もちろん、この解釈が正解ではなく、違う考えを持つプロデューサーも多くいることだろう。
探しに行くからどこかで語ってほしい。または直接教えて欲しい。

「虹の行方」には、私のnote以外にもエモくなれる解釈が無数にあり、少なくとも私はそれを忘れてはいけないと思っています。
それを忘れ、”都合よく”解釈を規定してしまうのは、シャニマスに対して不誠実だと思っています。


おあとがよろしいようで。


おまけ~4thライブとの関連性~

前述のとおり、「虹の行方」のテーマは「過去と未来」。
初披露されたのは4thライブ。

そして4thライブといえば、アイドル達が過去と未来の自分に宛てた手紙。


点と点が線でつながった。


現地で虹の行方を聴いて「ほーん、まあいい歌だな。」しか思っていなかった当時の自分。お前は最大の機会を逃したのだ。

そう、曲とライブの関連性を考察してDay1後の打ち上げで仲間内に「今日が過去への手紙ってことは、虹の行方の歌詞を踏まえると、明日は未来の自分への手紙を読むだろうね。」とドヤ顔で話して気持ち良くなる機会を。

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