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英 シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ (Silchester International Investors LLP) が電通グループの大株主に

株式会社電通グループについて、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピー (Silchester International Investors LLP) が3月13日 関東財務局に大量保有報告書(5%ルール報告書)を提出しています。

大量保有報告書によると、シルチェスターは

  • ロンドンに所在する英国法人

  • 2023年1月11日から3月10日にかけて電通グループ株を市場内外で取得

  • 取得資金 567億円

  • 現在2億7000万株(5.05%)を保有し、第3位の大株主

となっています。

電通はそもそも第二次世界大戦後に解体され、共同通信・時事通信・電通に分かれています。その名残で以下の通り、今でも共同通信社(6.93%)と時事通信社(5.85%)が2大株主であり、シルチェスターは第3位の株主となったことになります。

電通グループ 大株主

英カンパニーハウスの開示資料を見ると、シルチェスターは2010年にロンドンで設立されています。(親会社のシルチェスター・パートナーは1994年設立)モルガン・スタンレー出身者が設立したそうですが、役員には日本人もいるようです(Akiko Kikuchi)。
アクティビスト、いわゆる「物言う株主」のようですが、長期保有を前提としたバリュー株(割安株)投資が基本で、経営陣との対話に重点を置き、「穏健派」という位置づけだったようです。しかし、去年くらいから投資先の地方銀行に対して配当金を2倍程度に引き上げる株主提案を行っており、積極的になり始めているようです。

これまで電通はあまり物言う株主と対峙したことはありません。
もともとそのビジネスモデルは独自性が高く、特に海外投資家にとっては介入しづらい投資先であったようです。
他のメガエージェンシーグループとも経営体制が大きく異なるため、電通株が低迷した時期も、海外エージェンシーグループが買収に乗り出すことはないと考えられていました。業界では、電通はアンタッチャブルであり続けるであろうと言われていました。

今回のシルチェスターも経営すること自体に興味があるのではないと思いますが、電通がオリンピックスキャンダルに揺れる中、どのような要求をしていくのか、興味深いと思います。

なお、電通は12月決算で、2023年3月30日に定時株主総会を招集しています。シルチェスターは電通グループ株式を1月から3月にかけて取得しているため、この株主総会で5.05%の議決権を有するわけではないと思われます。


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