『転生王女と天才令嬢の魔法革命』の転生者の概要について

 こちらの記事に足を運んでいただいた方、まずはありがとうございます。
 今回、何故こちらの記事を投稿しようかと思ったのか、それは私が書籍で出版させて頂いている『転生王女と天才令嬢の魔法革命』で幾つか疑問の声を頂いておりまして、その都度対応している内にこれは一度、作者としても明確な考えを述べなければならないと考えたからです。

 では、どのような声を頂いているのか? それは『転生王女と天才令嬢の魔法革命』の主人公であるアニスフィアが「TS転生者」に該当するのではないか? というお声です。
 「TS転生者」ってなに? と言う方もいるかもしれませんが、簡単に言ってしまうと「前世は男、今世は女」或いは「前世は女、今世は男」と言うように転生前と転生後で性別が変わっているキャラクターたちのことを示します。

 主人公・アニスフィアは王女として生まれ、前世の記憶を持っている主人公です。
 この話題の問題は、転生者であるということは前世があるということ、その前世が「男」であった場合、アニスフィアの性別認識が男なのではないか? という疑問です。
 そして、もしそうであるならば「百合」として売り出しているのは詐欺にあたるのではないか? という問題に繋がります。

 結論から言いますと、アニスフィアは「TS転生には該当しない」です。
 ここが皆様にも「それはどうなのだ?」という声も少なからず頂いた設定なのですが、「アニスの前世はじゃあ女の子なのか?」という事象が確定するかどうかという話です。
 作者はこれを「男かもしれないし、女かもしれない。必要にならなければ決定しない」と最初に回答したのですが、これが「男の可能性もあるなら安心して読めない」とお声を頂きました。
 とはいえ、作者も理由があってアニスフィアの前世の性別についてはボカしております。何故かと言われれば「決めたくない」だからです。それ以上の理由もありません。
 そこは永遠に触れられず、読者が「どっちなのだろう?」「私は男だと思う」「いいや女の子だ」と言うのは個人の解釈に任せたかったのです。
 私は決めたくなかった。だから触れないで欲しかった。どうしても必要に迫られない限りは、アニスフィアの前世の性別は永遠に謎のままです。
 
 私は作中でも敢えてアニスフィアの前世について、人格や前世の人物の個人的な体験、そういったものは描写していません。もし出ていたら作者の多大なるミスですので、可能な限り修正します。
 私にとってアニスフィアは「前世の記憶を思い出した女の子」であり、「中身の人格が前世の人格に置き換えられた人」ではないのです。別にそれが悪だとは言いません。現在の転生ものの主流だと思いますしね。ただウチは違いますよ、という話です。

 アニスフィアの転生前の記憶というのは、例えを出すのならばある一人の人生のドキュメンタリー映像を我が事のように追体験した、と表現しております。
 自分ではない自分の人生を一気に追体験した、といえば良いのでしょうか。それ故にアニスフィアの人格はアニスフィアのままです。勿論、色濃い体験は人格への影響を大きく及ぼします。
 だからこそ彼女は現代で当たり前に見かけるような自動車、飛行機、生活する上で頻繁に見かけるような文明の数々を思い出すことが出来ます。
 一方で、前世の人格、つまりその人物がどのような性格をして、どのような性別で、どのような人生を送ったのか、というのは思い出せません。
 唯一の例外が「魔法に憧れている」という強烈な感情ですが、これはそれだけ思い入れが強かった思念だったからこそ焼き付いたもの、と思ってくださればと思います。

 アニスフィアの人格はアニスフィアのものなので、「アニスフィアの人格=前世の人格」と前世の人格や認識した地続きのものではないのです。
 だからアニスフィアが転生者だとしても「前世が男で、自分も男の性自認があるTS転生者」ではないのです。自身の性別認識も女性として彼女は自分を捉えています。
 昨今、転生者は転生の際に様々なスキルを獲得するのが主流となっていますが、アニスフィアは「前世の経験、知識、そして魔法への憧れの感情」をスキルのように獲得した、と言えば良いでしょうか。

 なのでアニスフィアの前世の人格や性別は「設定する必要のないものであり、何かしらの圧力でどうしてもねじ曲げない限りは永遠に空白にしておきたい」なのです。
 その後で、手に取った皆様が「アニスフィアの前世は男なんだろうな」「いいや、これは女の子でしょう」と考えたりするのは自由です。ただそれは作品とは一切まったく関係ありません。
 これでアニスフィアが「TS転生者ではない」と明確な否定を述べさせて頂きました。
 正直、話はこれで終わっても良いのですが、そもそも前世を明確に「女性」だと設定してまえばこのような騒ぎは起き得なかった、という話があります。

 ここからは作者の個人的な体験によるもの、そして主義主張のお話となりますので、ご興味のある方だけはお進み頂ければと思います。
 その上で、私がこのように考えているから他の人への強要などは絶対にやめて頂きたいので、その点だけは絶対にご了承して頂ければと思います。
 これは個人の感性・解釈によるものなので万人への納得は不可能です。傷つけ合うための主義主張論議は絶対にやめてください。

 よろしいですね? では、お話させて頂きます。

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