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より正確なギターのイントネーション調整 ~②概説 1~

ギターのオクターブ調整の考え方を一歩進め、より正確なピッチをフレット上で得るためのチャレンジです。

最初から読みたい方はこちらからどうぞ。

調整にあたっての私なりの考え方をいくつか記しておきます。

全て実音で調整する。ハーモニクスは一切使わない


後述する調整においてハーモニクスは一切使用しません。その理由は、求めていくピッチに対してハーモニクスは相応しいものではないからです。ハーモニクスはわかりやすいところでは4/5/7/12/19フレット等で発音しますが、実はハーモニクスはすべて純正律なのです。ギター自体も普通のチューニングメーターも平均律で設定されていますし、今回私が求める調整法も平均律に基づくものですので、ハーモニクスを使うとおかしなことになります。

一例として、7フレットハーモニクスは開放弦に対して5度となりますが、それは純正律の5度なのです。純正律の5度と平均律の5度は実はピッチが異なります(調べればネットで情報が出てくると思います)。純正律と平均律でピッチが一致するのは基音(開放弦/12/24フレットの実音または5/12/24フレットのハーモニクス)だけです。

なので、昔からよくある5弦5フレットと4弦7フレットのハーモニクスを合わせて・・・みたいなチューニング手法は弦ごとに純正律と平均律でピッチを合わせていることになり、これを6弦から1弦までやってしまっては、それは全体としてどんどん狂っていってしまいます。

その結果「最後に6本の弦を鳴らしてみて全体を調整」みたいな、後出しじゃんけんな話になったりもします。最後に全体を調整する必要があるのは、過程=プロセスが間違っているからです。

今回ご案内の調整方法は平均律の中でいかに響きを高めていけるかというアプローチなので、とりあえず純正律の要素は排除しましょう。

またこれは経験則ですが、開放弦、5フレット(2オクターブ上)、12フレット(1オクターブ上)の3つのピッチもなぜか一致しません。原因はわかりませんが、だいたいにおいて12フレットハーモニクスは開放弦実音よりも低い(正確な1オクターブよりやや低い)ピッチを記録します。このような12フレットハーモニクスを調整の基準においてしまっては、基準自体が間違っているということになります。

なので、もし従来通り12フレットを使ってオクターブ調整したいならば、少なくとも[チューニングメーターを使って、開放弦実音と12フレット実音が同じピッチ(同じ針の位置)になるように調整する]ほうがより実践的だと考えます。

EVHアプローチも・・・

あと、某EVH的な「2弦を少しフラットさせて」なアプローチも致しません。今回の調整方法は歪み全般、特にパワーコードには効くと思いますが、某EVHアプローチは純正律方向であるとともにキーやコードフォームを選ぶのでここでは一切考慮しません。あの曲たちを真剣に再現したいときにそちらでお使いください。

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